空に星が輝く様に
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78部分:第七話 二人の仲その三
第七話 二人の仲その三
そして帰り道には陽太郎がいる。彼もいるのだ。
「なあ」
「はい?」
その陽太郎の言葉に問う。今は駅で電車を待っている。そのプラットホームに二人並んで立ってだ。そのうえで彼の言葉に応えたのだ。
「どうかしたんですか?」
「今日居合部凄くなかった?」
こう言ってきたのである。
「練習」
「そうですか?」
「何か皆の素振りが凄かったじゃない」
それを言うのだった。
「もう真剣に振っていてさ」
「皆凄く上達したからでしょうか」
「上手くなったんだ」
「はい、そうです」
だからではないかというのだ。
「私にしてもです」
「西堀もか」
「はい、何か最近どんどん上手くなってきている気がするんですよ」
笑顔で陽太郎に話すのであった。
「やっぱりあれですよね。毎日のことですから」
「毎日のなんだ」
「剣道もそうじゃないですか」
そしてここで陽太郎がしている剣道の話もしてきた。
「やっぱり毎日の練習ですよね」
「そうなんだよな。実はさ」
「実は?」
「俺学校から帰っても素振りしてるんだよな」
そうしているというのだった。
「一日五百本はさ。してるんだよな」
「五百ですか」
「最低それだけしてるよな。まあ筋力トレーニングとかランニングは家ではしていないけれどさ」
「それはなんですか」
「学校で滅茶苦茶やってるしさ」
「そういえば剣道部って今も」
「ずっとらしいからさ」
笑って月美に返す。
「もう陸上部と同じ位走ってるんだよな」
「そんなにですか」
「もうまずは走って体力つけろって考えだからね、うちの顧問」
顧問の話もした。
「何でも知っている剣道の先生のやり方を真似てるらしいんだよな」
「その先生も走ったりすることが主体ですか」
「らしいんだよな」
「それで走るんですね」
「とにかくそうなんだよ」
それがこの学園の剣道部だった。
「何かにつけてもまず走れってさ」
「それで足腰を、ですね」
「まずは足腰」
陽太郎はこうも言った。
「それが先生の重要ポイントの指摘なんだよ」
「足腰は確かに大事ですよね」
「金田正一の話も出してさ」
言わずと知れた四百勝投手である。
「それで言うんだよ」
「金田さんもですか」
「知ってるよね、金田さん」
「はい、野球は私は阪神なんですけれど」
それでもというのだ。
「国鉄、今のヤクルトの人ですよね」
「一応巨人にもいたけれどね」
だがそれはほんの数年に過ぎない。その選手生活の大部分は国鉄で過ごしてきた。まさに国鉄の象徴とも言っていいピッチャーだったのだ。
「金田さんって現役時代物凄く走っててさ」
「それでお話にも出されるんですね」
「とにかく走れ」
今度は一言だった。
「そう言うんだよ」
「そうなんですか」
「まあ走るのはそれでもいいけれどさ」
それはいいというのだ。
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