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戦国異伝供書

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第八話 浅井家の内その十二

「熱田の様にですか」
「そうじゃ、あの港の様にな」
「領地内の港をよくしていき」
「船での商いをさらに多くしてな」
「当家の利をしますか」
「そして銭でじゃ」
「より国をよくしますか」
「鉄砲を買うだけでなくな」
 これに留まらずというのだ。
「巨砲も買いたい」
「あれもですか」
「それも多くな」
「そうお考えとは」
「よいであろう」
「いや、あれもとは」
 信行も驚きを隠せない顔であった。
「そこまでお考えとは」
「あれを使って城攻めもじゃ」
 それもというのだ。
「これまで以上にな」
「楽に行えるからですな」
「それでじゃ」
「あの砲もですか」
「多く入れてじゃ」
 そうしてというのだ。
「城攻めに使うぞ」
「わかり申した」
「それでじゃ」
 さらに言う信長だった。
「無論鉄砲もな」
「これまで以上にですな」
「多くの用意してな」
「戦の場において」
「使っていくぞ」
 こちらもというのだ。
「よいな」
「わかり申した」
「何千と用意したい」
 その鉄砲はというのだ。
「そしてじゃ」
「その鉄砲の力で」
「戦にも勝つ」
「そうしますな」
「うむ、しかしな」
「しかし?」
「ただ鉄砲を揃えるだけではな」
 それだけではというのだ。
「足りぬな」
「といいますと」
「鉄砲だけでは騎馬に突っ込まれるとな」
 そうされればというのだ。
「脆いであろう」
「言われますと」
「だからじゃ」
 それでというのだ。
「他にも用意したい」
「そしてそれが」
「槍じゃ」
 これだとだ、信長は明智に話した。
「当家の長槍じゃ」
「あの異様に長い槍で、ですか」
「敵を先に叩くのと共にな」
「槍衾を作って」
「そして敵の騎馬隊を退ける」
「そうしたお考えもありますか」
「そうじゃ、当家の騎馬隊はな」 
 信長はこちらについても述べた。
「用意出来てもな」
「それでもですな」
「武田や伊達の様にはいかぬ」
「みちのくも良い馬を産しますが」
「こちらはそうはいかぬ、だからな」
「それで、ですか」
「こちらは鉄砲と槍で対する」
 良い馬達から成る騎馬隊を擁する家々にはというのだ。
「そして城にはじゃ」
「巨砲ですか」
「それも使ってじゃ」
「戦っていきまするか」
「そう考えておる、ではな」
「港も整えて」
「銭を手に入れていくとしよう」
 戦のことも見据えてだ、信長は政を進めていた。彼の戦は天下統一を見据えたもので先の先までも見ていた。


第八話   完


                2018・7・1 
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