戦国異伝供書
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第八話 浅井家の内その十一
「それならばな」
「そうして頂いて」
「文も止めて頂くか」
「それでは」
「わしからお話する」
義昭、彼にというのだ。
「是非な」
「わかり申した」
「それでじゃが」
さらに言う信長だった。
「朝廷はな」
「はい、帝と公卿の方々は」
「好意を抱いて下さっている」
「有り難いことに」
「このことはまことに有り難い」
信長は笑みさえ浮かべて話した。
「当家にしてもな」
「はい、朝廷が我々を大事に考えておられることは」
「まことにな」
「では朝廷については」
「このままな、お助けしていこう」
「純粋に」
「そうしていく、しかし幕府は」
こちらはというと。
「どうか」
「そうなっていますな」
「そうじゃ、気になる」
幕府についてはそうだった。
「どうかとな、出来れば公方様ともな」
「よくしていきたいですな」
「別に害するつもりはない」
義昭、彼はというのだ。
「だからな」
「では殿」
幕府にも仕えている明智が言ってきた。
「公方様をお招きして」
「宴でもか」
「されて親睦を深められは」
「そうじゃのう」
信長も明智のその言葉をよしとして頷いた。
「ではな」
「はい、あの方と」
「何度でもな」
「腹を割ってお話もですな」
「するか」
「それがよいかと」
「わしは別に害するつもりはない」
幕府も義昭もだ。
「だからな」
「宴においても」
「よくお話しよう」
「そのことを」
「天下の為にもな」
「わかり申した」
「それと南蛮のことじゃが」
信長は今度はこちらの話をした。
「今は堺で商いをしておるな」
「はい、あの港で」
また小西が言ってきた、堺の商人出身なのでこの話にも通じているのだ。
「明とも商いをしております」
「うむ、堺だけでなくな」
「他にも港をもうけますか」
「領地の中の港をどんどん整えておきたい」
「堺だけでなく」
「そうじゃ、播磨や讃岐や土佐のな」
海に面している国々のというのだ。
「若狭にしてもな」
「若狭もですか」
「あちらの海の方も商いを拡げてじゃ」
そしてというのだ。
「より賑やかに儲けたい」
「そうですか、港もですか」
「整えたい、街も道も整ってきた」
「ならば次は港を」
「そうじゃ、領地の港達をな」
「整えて」
「そうして賑やかにしていこう」
「ではですな」
信行が応えた。
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