ドリトル先生と奇麗な薔薇園
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第十一幕その一
第十一幕 先生のお心の薔薇
先生はお芝居を観た次の日です、朝起きて御飯を食べてから登校して研究室に入ってから動物の皆に尋ねました。
「昨日のお話だけれど」
「お芝居?」
「よかったわね、昨日のお芝居」
「本当に素敵だったわ」
「いや、お芝居自体のことじゃなくてね」
先生は朝の紅茶を飲みつつ皆に言うのでした。
「王子に言われたことだよ」
「ああ、何か言われてたね」
「先生のお心にも薔薇があるってね」
「オスカルさんみたいに」
「そう言われていたね」
「うん、その時にね」
まさにというのです。
「僕の心にも薔薇があるってね」
「言われてたね」
「そうだよね」
「先生のお心に薔薇がある」
「そうだよね」
「そう、そしてね」
それでというのです。
「僕の心はどんな薔薇なのかな、そもそもね」
「先生のお心に薔薇があるか」
「それはどうなのか」
「そのこと自体がなのね」
「そうだよ、どうもね」
それでというのです。
「僕みたいな人間の中に薔薇みたいな奇麗なお花があるのかな」
「あると思うよ」
「先生のお心にはね」
「ちゃんと薔薇があると思うわ」
「王子が言った通りにね」
まさにとです、動物の皆は先生に言いました。
「それならね」
「ちゃんとあるよ」
「まさに高貴な心がね」
「薔薇みたいな」
「そうかな、僕はね」
先生は皆の言葉に首を傾げさせつつ応えました。
「とてもね」
「だからそう言ってもだよ」
「先生自身はそう思っていてもね」
「実際は違うから」
「先生の心はとても奇麗だよ」
「誰よりもね」
動物の皆は先生に言うのでした。
「だから王子もああ言ったんだよ」
「先生の心にも薔薇があるってね」
「オスカルさんみたいにね」
「僕はオスカルさんみたいに高貴な心はないよ」
あの人とは違うというのです。
「あの人は何ていうか義侠心があるよね」
「そうそう、それがあるんだよ」
「どうしてあの人が高貴かっていうとね」
「義侠心も大きいよね」
「それがあることも」
「そうだね、けれど僕はね」
どうしてもというのです。
「義侠心はないと思うけれど」
「あるよね」
「先生にも義侠心が」
「ちゃんとね」
「それがあるよ」
「確かにね」
「いざって時は助けてくれるじゃない」
皆は先生のことがわかっています、それでこぞって言うのです。
「そちらに歩いて行って」
「それで助けてくれてるじゃない」
「誰が困っていても」
「そうしてくれてるから」
「そういうのが義侠心だよ」
「人を見捨てない」
「絶対にそうしたいことがね」
先生に言うのでした、義侠心は確かにあるとです。
それで、です。先生はその皆に言うのでした。
「あるかな、僕は勇気はね」
「ないっていうんだ」
「そう言うんだ」
「うん、ちょっとね」
どうにもというのです。
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