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空に星が輝く様に

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493部分:第三十九話 あの場所へその三


第三十九話 あの場所へその三

「右に警棒、左にスタンガン」
「よくわかったわね」
「ポケットの膨らみでわかる」
 殆ど目立たないがそれでもだというのだ。
「それで」
「ううん、鋭いわね」
「とにかく。そうした武装は必要ないから」
「悪い奴とか出て来たらどうするのよ」
「その時は私がやっつける」
 このことも造作もなく言ってのけた椎名だった。
「私の足で」
「そういえばあんた格闘技もしていたわね」
「そう。だから大丈夫」
 その万が一の時もだというのだ。
「大抵の奴が来ても」
「大勢が来ても?」
「全然平気」
 その場合でもだというのだ。平気だというのである。
「十人いても」
「私が足手まといになるかも知れないわよ」
「そうならないから」
「それより前にやっつけるの」
「男はある場所を蹴ればそれで一発で終わり」
 椎名のその目が怖いものになった。
「完全に」
「ってことは。つまりは」
「急所攻撃」
 やはり怖い目で言うのだった。
「それが一番」
「おっかないわねえ。そこ蹴るのね」
「そういう相手には容赦しない」
 また言う椎名だった。
「だからいい」
「蹴り潰してもいいのね」
「むしろそれを狙う」
 言葉も表情もさらに怖いものになる。
「悪いことを二度とできないように」
「まあそういうことする奴はね」
 星華も何だかんだで椎名のその言葉に頷いた。
「報いを受けて当然だしね」
「だからいい」
 椎名は言い切ってもみせた。
「そこまでしても」
「急所を一撃なのね」
「そう。これだったら一撃一撃で終わりだから」
 つまり一人ずつそれで倒すというのである。やはり容赦がない。
「十人いても」
「相手が女だったらどうするの?」
「それはそれでやり方がある」
「急所攻撃しなくても?」
「急所は一つじゃない」
 またこんなことを言うのだった。
「人間の身体の中心にはそれが集まってるから」
「ああ、脳天とか喉とかお腹とかね」
「他にも一杯ある」
 そしてだ。このポイントも指摘した。
「眉間とか」
「ああ、ここね」
 星華は椎名の言葉を受けて自分のその眉間を右手の人差し指で指し示した。そうしてそのうえで彼女も椎名に対して言うのだった。
「ここ、攻撃したらいいのね」
「鼻と唇の間も」
「ここも?」
 星華はそこも指差したのだった。
「ここも狙ったらいいの」
「そう。そこでもいい」
「ここも攻撃したらいいんだ」
「悪い奴は急所を攻撃して一撃で倒す」
 一直線の言葉だった。
 
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