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空に星が輝く様に

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492部分:第三十九話 あの場所へその二


第三十九話 あの場所へその二

「だから私もなの」
「あんたのお母さんが、なのね」
「そう。今でもそのマフラーはいつもしてる」
 過去だけでなく現在もだと。話はそちらにも及んだ。
「それで自分で編んでお父さんにもプレゼントして」
「随分仲のいい夫婦ね、あんたのところのお父さんとお母さんって」
「だから好き」
 椎名の顔が僅かだが微笑みになった。そのうえでの言葉だった。
「大好き」
「仲のいい親子かあ。いいわね、それって」
「そっちはどうなの?」
「うちもよ」
 にこりと笑って答える星華だった。
「あんたのところと同じよ」
「そうなの」
「そういうこと。同じよ」
 星華は椎名にそのことを繰り返し述べた。
「マフラーの色の理由は違うけれどね」
「確かに」
「けれど同じよ」
 また言う星華だった。
「そうしたところはね」
「そうね。同じ」
「私達全然違うって思ってたけれど」
 星華は椎名と話しているうちにだ。このことに気付いてきたのだった。そしてそのことをその椎名に対して直接話をするのだった。
「同じ部分もあるのね」
「人間は皆そう」
「そうなの?」
「同じ部分もあれば違う部分もある」
 そうだというのである。
「そういうものだから」
「ううん、そうなのね」
「そう。趣味が同じ場合もあるし」
 星華にこのケースも話した。
「そういうことだから」
「これまで。そんなこと全然考えなかったけれど」
「変わった?」
「ええ、変わったわ」
 その通りだと答える星華だった。素直な顔で。
「高校に入って。色々あったし」
「そうね。私も色々あった」
「こうして今。大嫌いだったあんたとも一緒にいて」
「だった、なのね」
「ええ、今は嫌いじゃないから」
 自分でもそれが不思議で仕方ないといった顔でだ。椎名に話すのだった。
「本当に人間って変わるものなのね」
「そう、色々と変わるもの」
「それもわかったわ。お星様をこうして見に行くようにもなったし」
「今度のお星様は」
「今の季節の星座を見るのよね」
「ううん、違う」 
 星座を見るかどうかについてはだ。椎名は首を横に振って答えた。
「見るのは星座じゃないから」
「あれっ、けれどお星様見るのよね」
「けれど星座は見ない」
 椎名はまた星華に話した。
「それは見ないから」
「じゃあ何を見るのよ」
「それはそこに着いたら話す」
 そうするというのである。
「その場所に着いたら」
「そう、じゃあその時に御願いね」
「場所は寒いけれどいい場所」
「寒いの」
「けれど。安全な場所」
 椎名はそのことは保障してきた。
「完全武装していなくてもいい」
「あれっ、気付いてたの」
「オーバーのポケットに」
 椎名は星華のその黒いオーバーを見ながら話す。
 
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