魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者
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第57話 ダメっ子シスターズ、初めての学校
「起きなさい!!」
ウェンディの部屋から加奈の怒鳴り声が聞こえてくる。
今日から学校だと言うのに寝坊みたいだ。
全く、図太い妹だよな………
「ノーヴェ、コーヒー飲むか?」
「砂糖多めでお願い」
「了解」
そう言ってコーヒーを入れてくれる桐谷。
翠屋で士郎さん頼んで売ってもらったコーヒー豆なのでとても美味しい。
飲むのは私と桐谷だけだけど…………
「桐谷様、洗濯物全て終わりました」
「ありがとうエタナド、助かるよ」
「いえいえ、我がマスターは家事が苦手なので代わりに力になれて嬉しいです」
そう言って紳士服を着た男の人はデバイスに戻った。
さっきの男の人は加奈のデバイスのエタナドだ。
何でも家事を手伝ってもらっているらしい。
と言うより、食事も含め全部だけど…………
何故か零治と桐谷、加奈のデバイスは融合騎でも無いのに人型になれる。
零治は滅多にさせないけど…………
桐谷のデバイスのレミエルはほとんど人型でいるし、エタナドは家事などをやるため、ほとんど人型だ。
ただ、一日中はなれないらしいけど。
最初は誰!?ってビックリしたよ………
「セイン、寝癖直ってないぞ」
「嘘っ!?ノーヴェ手伝ってよ〜これじゃあ恥ずかしい………」
洗面所から出てきたセインに桐谷が教えた。
別に癖っ毛って訳じゃ無いんだけどな………
寝相が酷いんだよなセインは。
今もピン!っと後ろ髪の寝癖が跳ねた。
「飯はもう少しで出来るから手伝ってこいよ」
「仕方ないなぁ………」
私は姉の寝癖を直しに、洗面所へ行った。
「さあ、行く準備は万全っスか?」
「まだだって!!お前、一番起きるの遅かったのになんで一番早く準備が終わってるんだよ!!」
一番遅く起きたウェンディだったが、誰よりも早く準備を済ませ、玄関で騒いでる。
「それがウェンディクオリティっス!!」
「意味が分からねえよ…………」
「ノーヴェ、気にしたら負けよ………」
加奈、それでいいのか?
「よし、後は頼むなエタナド」
「了解しました、気をつけて行ってらっしゃいませ」
「レミエル、お前も少しは…………」
「はいはい、いってらっしゃいマスタ〜」
「…………エタナド、任せるな」
「…………お任せを」
桐谷のデバイスのレミエル、ただの引きこもりだもんな……………
「それじゃあ行ってくる」
こうして私たちは家を出た。
「どんなクラスだろうね?」
1ーBの前に私達3人が立っている。
何かこういうのは初めてだから緊張するな…………
「面白い奴が多いクラスならいいんスけど………」
「まあ、それもそうだな」
クラス全員がガリ勉ってのはつまんなそうだな。
『今日は転校生を紹介します』
「それじゃあ入るか」
私たちは教室に入っていった。
「初めまして、セイン・イーグレイと言います。姉がここの学校にいるので私たちも転校してきました。分からない事が多いと思いますが、皆さんよろしくお願いします」
いつもとは違う丁寧なセイン。
まあ流石かな。
クラスのみんなは拍手で迎えてくれる。
「私はノーヴェ・イーグレイだ。知らない事も多くて、迷惑をかけてしまうかも知れないけど、どうかよろしくお願いします」
どうかな?
変な所は無いと思うけど…………
みんな、拍手で答えてくれたし大丈夫みたいだ。
「最後は私っス!!私はウェンディ・イーグレイっス!!スリーサイズは上から78、54、75っス、最後に宇宙人、未来人、超能力者は私の前に来るっス!!!」
ウェンディの一言でクラスが凍った。
みんな、ウェンディをイタい子と思ったに違いない。
「そ、それじゃあ3人は空いてる席に座ってね」
先生もウェンディを問題児と見たようだ。
何か警戒しているように見える。
そんな感じで何とも微妙な感じに自己紹介は終わった。
「ノーヴェさんたちの姉って、フェリア先輩?」
「ああ、そうだよ」
「えっと………言って良いか分からないけど、似てないよね………」
「ああ、そりゃあ血の繋がりは無いからな」
「あっ、ゴメン…………」
質問してた人達全員の顔色が曇る。
「別に気にする必要ないよ。私達姉妹みんな本当の家族だと思ってるからさ」
そう言ってもやっぱり曇ったまま。
何でそんなに気にするのか私には分からないな。
「それじゃあ零治先輩とか知ってる?」
「レイ?」
「セインちゃんはレイって呼んでるの!?」
「えっ、そうだけど…………」
あれ?女子がきゃーきゃー言い始めたけど…………
「ねえ、零治先輩とどういう関係?」
「どうって言われても…………」
「そうだな…………最初はフェリア姉に会いに行く時にお世話になってからそれなりにお世話になってるとしか言えないし…………」
「いいな〜あんな面白い先輩が知り合いにいたら楽しそうだな〜」
まあ確かに、零治といると飽きないよな。
「ねえねえ、それじゃあ加藤先輩は?」
「加藤って…………」
「桐谷の事?」
そう言うと更にきゃーきゃーと盛り上がる女性陣。
一体どうしたんだ?
「いいな〜!桐谷先輩ってかっこいいし、クールだし………」
「一度抱きしめて貰いたいよね」
「やっぱり彼女とかいるよね…………」
これは一緒に住んでるとか言ったら大変な事になりそうだよな…………
「ううん、桐谷に彼女はいないよ」
えっ!?
「な、何で知ってるの〜!?」
「だって桐谷の家に居候させてもらってるもん」
「「「「「「「「「「ええっーーー!!!!?」」」」」」」」」」
バカセイン………
「何で教えるんだよ!?」
「ええっ!?駄目だった?」
そんな事教えたら…………
「ねえねえ、どうして居候してるの!?」
「本当に先輩とどんな関係!?」
「今度遊びに行っていい?」
「その時は先輩の好きなお菓子持ってくる!!」
「あっずるい!!私も!!」
こうなるだろうが……………
「み、みんな落ち着いて…………」
「セインのアホ…………」
どうにか逃げる方法は……………
そういえば………
「セイン、ウェンディ知らない?」
「そういえば…………」
質問攻めに合いながら答えるセイン。
ウェンディを探すと言って逃げれば…………
「おい、ウェンディどこに行ったか知らない?」
取り敢えず近くにいた男子に聞いてみる。
「えっ、何か姉御にも教えてあげるって言って、菊地さんと何処かへ行ったけど………」
「…………セイン」
「やばそうだな」
逃げるためとか思ったけど、はやてさんの所に向かったと聞くと何かやばそう。
不安で一杯になった私達は取り敢えずウェンディを探す事にした。
やっぱり学校は凄いところっス!
まさか現実に金髪ロールが実在するとは!!
これは姉御にも教えなければ!!
「待ちなさいって!!」
「何スか?早くこの感動を姉御たちにも教えてあげなければならないっスよ〜」
「何に感動してるのよ………ってそうじゃなくて、私の話を………」
「さあ、早く2年A組に行くっス!」
「待ちなさいって!あんた場所分かるの!?」
いやあ、楽しみっス!
あのバカ妹は…………
「問題起こしてなきゃいいけど………」
…………無理だろうな。
私とセインは急いで2年の教室に向かったけど、恐らく遅いかな…………
「あっ、桐谷!」
セインの声で桐谷も気づいたみたいだ。こっちを待ってくれている。
「ウェンディ見てない?」
「ウェンディなら、零治達の所に行って直ぐに、慌ただしく出ていったぞ。あのアイドルを連れて」
「「アイドル?」」
「金髪ロール」
「「そうなの!?」」
「まあ、知らないか」
苦笑いしながら桐谷は言うけど、結構不味くないか!?
「大丈夫だと思うぞ………………多分」
「「不安だ」」
取りあえず、私達は二人を探すことにした。
「「フェリア姉!!」」
「おおセイン、ノーヴェ」
ウェンディ達を探していると、トイレから出てきたフェリア姉を見つけた。
「どうだ、学校は?」
「結構クラスのみんなも優しく……………って、それよりもウェンディ見てない?」
「ウェンディか?さっきこっちに来て以来見ていないが…………」
本当にどこ行ったんだよ…………
「案外教室に戻ってるんじゃないのか?」
う〜ん、言われてみるとそうかもな…………
「セイン、どうする?」
「どうしようっか…………休み時間も終わりそうだし、一旦帰る?」
「そうするか…………」
結局見つからなかったけど、普通に帰ってきてたらどうしよう……………
問題起こしてないだろうな?
………………一発くらい殴ってもいいだろうか?
「おっ、二人共どこ行ってたんスか?」
紙パックのジュース片手に軽いノリで話しかけてきた妹。
「ウェンディー!!」
「ぎゃはああ!?」
飛び蹴りをかましたけど悪くないと思う。
飛び蹴りは見事にクリーンヒットし、ウェンディは椅子から転げ落ちた。
「このやろー!桐谷から目立つような行動は控えろって言われてんのに、勝手にフラフラしやがって!コッチは必死に探してたのに、当の本人はのんびりかよ!?」
「ノーヴェ、流石にそれは…………」
「いいや、いつも尻拭いしてんだ!これぐらいやらないと割に合わないって」
「だけど、場所を考えようよ…………」
「場所………?」
ふと、周りを見ると、驚いてるクラスのみんなが……………
って、
「しまったああああ!」
「はぁ…………」
転校初日からこれじゃあ引かれるだろ……………
「流石ノーヴェ、良い蹴りっスね…………だけどこんな蹴りじゃあ私を倒す事は出来ないっス!!」
頼むから私を巻き込むな!!
私は普通でいたいんだよ!
「ちょっと、アンタ大丈夫なの?」
「大丈夫っスよ、ツンデレドリルアイドル!」
「変なあだ名付けるな!!」
ベシンと頭を叩かれるウェンディ、だけどウェンディのお喋りは止まらない。
「何言ってるんスか!!そのドリル頭は人間国宝に指定されてもおかしくないものっス!!」
「この髪型がいけないの!?この髪型が………」
「いいや、褒めてるんスよ!!これから先絶対変えちゃいけないっス!!そこのアイドル好きの男子、そう思うっスよね?」
「えっ!?いや……………」
いきなり話しかけられた男子が返事に戸惑う。
「優柔不断な男子は駄目っスね。次、そこのチャラ男の男子」
簡単に切り捨てて、隣の男子に話しかけた。
「めっちゃ、グット!!」
「キモイから止めてくれっス」
冷たく切った!!!
チャラ男の男子は傷ついてる。
「セインはどう思うっスか?」
「えっ、この流れでまさかの私!?えっと……………綺麗な髪だし、似合ってると思うよ」
「うっ、ありがと………」
セインに褒められて照れる、ドリル女。
そう言えば名前は菊地さん…………だっけ?
「流石セインっス!!自然に褒め言葉が出る所がさっきの男共とは違うっス」
更にダメージを受けるさっきの男子。
流石にいじめすぎじゃないか?
「ということで絶対に止めちゃいけないっス!」
「そうね…………それに普通の人とは違う方が目立つわよね…………」
ウェンディの言うことを信じちゃいけないと思うけど…………
「分かったわ、私、自分を貫く!!」
「よく言ったっス!!」
ガシッ!っと手を繋ぐ二人。
「何か駄目な方向にいってるよね…………」
「そうだよな……………」
ふと回りを見てみると、他のクラスメイトも同じような顔をしている。
「あれは、ずっとウェンディのおもちゃだな」
「そうだね…………」
仲良く話をしている2人を見ながら私達は話したのだった。
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