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レーヴァティン

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第六十七話 宗教都市その四

「次はローマに行くけれどな」
「永遠の都だな」
 正はローマと聞いてこう言った。
「まさにな」
「ああ、こっちの世界でもそうか」
「そうらしいな、人も多くて店もな」
「沢山あって賑わっていてか」
「かなり栄えているそうだな」
 この世界のこの島のローマもというのだ。
「キリスト教、カトリックの総本山もあってな」
「こっちの世界のカトリックもローマか」
「ああ、ただこの世界のカトリックの総本山はな」
 それはというと。
「下の世界にあるそうだな」
「海の中にあるんだな」
「今はな。眠らさせられてな」
 そのうえでというのだ。
「そこにあるらしいな」
「そうか、じゃあこっちのローマのカトリックはあれか」
「そうだよ、この島での総本山でな」
「この世界全体の総本山じゃないんだな」
「そうなんだよ」
 あくまでというのだ。
「そこはわかっておけよ」
「成程、わかったぜ」
 その辺りのことがというのだ。
「この島のバチカンのこともローマのこともな」
「そういうことでな、じゃあ今からな」
「ローマに行くか」
 この島のその街にとだ、久志は言った。そうして昼になって馬車の中で旅の途中の食料として買っていたパンを齧ってこんなことも言った。
「案外美味いな」
「うん、保存食だけれどね」
 剛もそのパンを食べつつ久志に応えた。大柄な為その食べる量は相当でパンの他にも干した鱒やオレンジを食べている。
「甘くて美味しいね」
「乾パンだよな、これ」
 要するにとだ、久志はこうも言った。
「このパンは」
「そうなるね」
「だよな、あのパンは日本生まれっていうけれどな」
「奥州にも昔からこうしたパンはありました」
 良太が言ってきた、勿論彼もこのパンを食べている。
「それで、です」
「旅の時には食ってたんだな」
「そして戦場でもです」
「進軍中にもか」
「食べていました」
「戦争でも保存食は欠かせないしな」
「ですから」
 それでというのだ。
「奥州にも昔からこうしたパンがありました、ビスケットにしても」
「ああ、あれも保存食だしな」
「言うならパンの亜種です」
 ビスケットはそうしたものだとだ、良太は久志に話した。
「これはクッキーも同じです」
「そうだよな、実はな」
「ああしたものは保存食なので」
「こうした時に食うものか」
「お菓子ではなく」
 今の日本ではビスケットやクッキーは保存食と思われない、お菓子である。だが実は違うというのだ。
「そちらです」
「そうなんだな、じゃあ今はこのパン食ってな」
「そうしつつですね」
「ローマに向かうか」
「明日には着くからな」
 ここでこういったのは芳直だった、見れば地図を開いてそれを見ている。
「朝にはな」
「近くて何よりだな」
「そうだよな、やっぱりな」
「近いってのはいいよな」
「それだけ便利だからな、しかもな」
 芳直は笑ってこうも言った。
「暖かくて何よりだぜ」
「北と比べるとか」
「本当にな、俺っちがずっといた場所はな」
「ああ、あそこは寒かったな」
「あんまりにも寒くてな」
 それでとだ、芳直は久志に笑って話した。 
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