オズのガラスの猫
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第九幕その七
「一体」
「ええ、貴方達はどうしてそう叫んでるの?」
「デュパンが出たぞって」
「そう、デュパンは貴方達のことよね」
「そうだよ」
その通りだとです、赤毛のデュパンも答えました。
「デュパンは僕達のことだよ」
「そうよね、貴方達が出たことを知らせているの」
「誰かがこの道と道を通りそうならね」
その時はというのです。
「普段は周りの草原で群れで暮らしているけれど」
「人が道を通ったら」
「というか壁の前を通るならね」
その時はというのです。
「僕達はそれを事前に察してね」
「壁の上に乗って」
「そうしてこう叫ぶんだ」
「つまりそれは」
そう聞いてすぐに察したナターシャでした。
「自己顕示ね」
「そう言うんだ」
「そう思ったけれどどうかしら」
「そうなるね」
デュパンも否定しませんでした。
「言われてみると」
「そうなのね」
「こうしてあえて言うことですね」
「自分達のことをなのね」
「知らしめているんだ、僕達は傍から見ると狼だよね」
「そうとしか見えないわ」
実際にとです、ナターシャは答えました。
「外見からは」
「それが違うということをね」
「あえて言ってなのね」
「皆に教えてるんだ」
「そうだったのね」
「狼に似ているけれど狼じゃないんだ」
このことを断るデュパンでした。
「そこを知って欲しいから」
「壁の上に皆で集まって立って叫んでるのね」
「そうなんだ」
「そのことがわかったわ」
「そういうことでね」
「ええ、じゃあ貴方達がデュパンであることをね」
まさにと答えたナターシャでした。
「覚えておくわ」
「そうしておいてね」
「是非ね」
「何かね」
ここでガラスの猫がこう言ってきました。
「狼に似ているのが嫌みたいね」
「嫌というかね」
「嫌ではないの」
「僕達のことを知ってもらいたいんだ」
「自分達のことをあくまで」
「そう、妖精であることをね」
「ううん、あたしにはわからないことね」
ガラスの猫はデュパンのお話を聞いて考えるお顔になって述べました。
「どうにも」
「それはどうしてかな」
「だってあたしはあたしだってね」
まさにというのです。
「もうはっきりわかってるから」
「他の人がどう思おうといいんだ」
「いいわよ、というかあたしは何に見えるかしら」
「ガラスの猫君だよ」
デュパンははっきりと答えました。
「そう見えるよ」
「そうよね、けれど水晶の猫とも見えるわよね」
「見方によっては、人によってはそうかもね」
「それならそれもいいのよ」
「そう見られても」
「だってあたしがあたしってわかってるから」
ガラスの猫だということをというのです。
「だからね」
「自分で言うこともしないんだ」
「する必要も感じてないわ」
それも一切というのです。
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