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スナイパーになった訳

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第一章

               スナイパーになった訳
 美河由紀は戦いの絶えないこの雪国の女子高生だが何しろ戦いの絶えない国だ、だから女子高生でありながら戦場にもいた。
 戦場において由紀は狙撃兵、スナイパーとして活躍していた。遠い距離から物陰に隠れて敵を狙撃して倒している。
 この日も雪が降り積もっている森の中から敵の指揮官に照準を合わせていた、そうしてその遠く離れた場所からだった。
 銃弾を放ち指揮官の頭を貫いた、狙撃を終えるとすぐにその場を離れた。
 部隊に戻って報告する、報告を受けた隊長は由紀に満足して言った。
「今回もよくやってくれた」
「有り難うございます」
 由紀は隊長にクールな顔で応えた。
「それでは次の任務があるまで」
「この基地に待機してだ」
「訓練ですね」
「それにあたってもらう」
「わかりました」
 由紀は隊長にクールな表情と声のまま応えた、そしてだった。
 部隊に戻る、由紀がいる部隊は彼女が通っている高校の生徒達の部隊で学校をそのまま基地に使っている。
 その基地の自分の居場所つまり教室に入った時にだ。
 クラスメイトの女子達が彼女にだ、こんなことを言ってきた。
「今回もやったらしいじゃない」
「敵の指揮官仕留めたんだって?」
「何でも中将だったそうじゃない」
「大物やったわね」
「しかもかなり優れた人物だったそうだから」
 それでとだ、由紀も自分の席に座った姿勢で周りに来た友人達に答えた。
「よかったわ」
「戦局にも影響するわね」
「間違いなくね」
「そうなるわね」
「そうね、我が軍の有利に働くわ」
 今回の自分がした仕事はとだ、由紀は友人達にこうも話した。
「だからね」
「ボーナス出るわね」
「それで昇進も出来るわね」
「そうなりそうなのね」
「そのこともよかったわ」
 由紀は無表情だがそうしたことも素直に喜んでいた、それ故の言葉だ。
「本当にね、ただね」
「ただ?」
「どうしたの?」
「戦争が終わったら」
 その時のこともだ、由紀は言うのだった。
「そうも思うわ」
「それはね」
「皆思ってるわよ」
「ずっと戦争ばかりで」
「もう街もボロボロだし」
 実際にそうなっている、戦争が続いている結果だ。
「人も死んでるしね」
「このクラスも減ったわね」
「入学した時はもっと多かったのに」
「七人いなくなったから」
 もう感覚が鈍くなっていた、少女達は気付いていないが戦争が長く続き人が死ぬことへの感覚も鈍っているのだ。
「戦争終わって欲しいわね」
「和平交渉とかしてるのかしら」
「どうかしらね」
「戦争が終われば」
 由紀はぽつりとした口調で言った。
「今死ぬかも知れない、明日死ぬかも知れないとか」
「考えずに済むわね」
「そんなこともね」
「だからよね」
「戦争終わればいいのに」
「早く」
 誰もがこう思っていた、生死や破壊への感覚が鈍ってしまっていてもそう思う気持ちは変わっていなかった。
 その中でだ、友人達は由紀にこうも尋ねた。 
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