レーヴァティン
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第六十六話 自分達の船その八
「どうなりますか」
「その時は誰かが金を払えば復活させてもらえる」
「そうですか、では」
「後もどうにかなる、だからな」
「出ても問題ないですね」
「そうだ、保険で親父に死んだ時に復活の術を使わせる金も渡せるしな」
「そうしたことは考えていますか」
このこともだ、謙二は理解した。
「それでは」
「戦うか」
「一度行ってみます、拙僧も法力で戦いますし」
その中で攻撃を放って戦っているだ、それが一行にとって重要な戦力の一つにもなっている。回復の術だけではないのだ。
「それでは」
「ではな、勿論我も行く」
幸正自身もというのだ、こう言ってだった。
一行は実際に翌日から闘技場に入って戦った、そしてだった。
暇を潰し鍛錬も行った、その中には英雄もいて彼は天羽々斬を使い相手を次から次に倒していった。そして気付けば。
「あいつ強いな」
「ああ、もう二十人抜きか」
「それも一気に倒していくな」
「凄いな」
「とんでもない強さだな」
観客達がその彼を観て言っていた。
「鬼みたいだな」
「その手に持っている武器も凄いな」
「もう何でも切り裂く感じだな」
「それも真っ二つで」
「あの刀何だよ」
「とんでもない刀だな」
話題になっていた、だが英雄の勝負は続き。
三十人抜きとなった、ここで闘技場の親父が彼に言ってきた。
「もう人間よりもな」
「魔物の相手にか」
「それもとびきり強いのと戦うかい?」
笑ってこう誘いをかけてきたのだった。
「そうするかい?」
「そうだな」
英雄もまんざらではないといった声で応えた。
「ではこれからはな」
「他の場所でも凄い奴ばかりだしな」
闘技場の他の戦う場所でもというのだ、そこでは言うまでもなく幸正が戦って暇潰しと鍛錬を行っているのだ。
「今日は凄いぜ」
「凄いことになっているか」
「ああ、観客もどんどん来ている」
面白い勝負が行われていると聞いてだ、集まってきているのだ。
「あんたも他の奴も強くてな」
「その強さを観にか」
「皆集まって来てるんだよ、それでな」
「魔物との勝負か」
「牛鬼出すけれどいいか?」
親父は少し剣呑な顔になって英雄に言った。
「あの魔物な」
「牛鬼か」
「知ってるよな」
「二種類いたな」
牛鬼と聞いてだ、英雄は親父にこう返した。
「蜘蛛の身体に鬼の顔、牛の顔の大男にな」
「両方いるけれどどっちがいい?」
「どちらがより強い」
これが英雄の関心だった、今の。
「一体」
「そうだな、蜘蛛の方か」
こちらは俗に蜘蛛牛鬼と言われる、身体からこう呼ばれるのだ。
「そっちだな」
「ではそちらを出してもらおう」
「そしてだな」
「倒す」
返答は一言だった。
「その魔物もな」
「よく言ったな、正直牛鬼は強いぜ」
「湖に出る魔物の中でもだな」
「ああ、とんでもなく強い」
それが牛鬼だというのだ、英雄達が起きた世界にある古典枕草子でも恐ろしいものの一つとして語られている程だ。
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