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空に星が輝く様に

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412部分:第三十一話 夜の港でその七


第三十一話 夜の港でその七

「それまでには帰らないと」
「あっ、そうか」
 言われてだった。それに気付いた陽太郎だった。
「電車で来たんだったよな、俺達」
「はい、ですから」
「高校生だから。車とかないし」
「あったらそれで、でしたね」
「それは仕方ないよな。免許は十八歳からだし」
 二人共まだ十六歳だ。無理な話だった。
「それはだよな」
「ですよね。ですから終電まで」
「ここで見ようか」
「そうしましょう」
「食べるのはいいか」
 陽太郎はこのことも思い出したのだった。
「それは」
「ううん、ちょっと辛いですけれどね」
「それよりも今は」
「はい、星座ですね」
「こういうのもいいか」
 陽太郎は温かい笑みになっていた。その笑みで星座達を見上げそうして月美に言うのだった。そうしたうえでの言葉だった。
「本当に」
「デートですよね」
「そうだよな。デートだよな」
「はい、それを今二人で」
「そうなんだよな」
 こうして二人はそのデートを終電の時間まで楽しむのだった。そうして終電で帰ってからだ。月美は椎名から携帯の電話を受けたのだった。
「夜分遅く」
「あっ、愛ちゃん」
「どうだった?」
 家に帰る途中でだ。道で電話を取り話をはじめる。
「それで」
「うん、陽太郎君ね」
「喜んでだ?」
「とてもね」 
 そうだとだ。椎名に声だけでわかる満面の笑顔で話した。
「喜んでくれたわ」
「それは何より」
 それを聞いて喜ぶ椎名だった。
「じゃあ成功ね」
「ええ、とても」
「今はそうしていくといいから」
「これでいいの」
「高校生には高校生の恋愛があって」
「だからなの」
「そう、気張らなくていい」
 椎名はこう言った。
「ゆっくり。少しずつ」
「そうして進んでいけばいいのね」
「そう、焦ったら駄目」
 こう言ってだった。月美自身のことも話すのだった。
「つきぴーみたいな娘は特に」
「確実になのね」
「そういうこと。つきぴーは焦ったら駄目」
 それは強く言うのであった。
「かえってよくないから」
「何でもそうよね」
「勉強でも部活でもそう。つきぴーは焦ったら駄目」
「焦るのって何か合わないけれど」
「だからなの」
「そういうことなのね」
「その通り。それじゃあ」
 ここまで話してであった。
「続きは」
「明日ね」
「学校で聞かせてもらうから」
「うん、じゃあね」
「お休みなさい」
「お休みなさい」
 最後の挨拶をしてそうして携帯を切ってだった。月美は家に帰る。するとだった。
 母がだ。声をかけてきたのだ。
「遅かったわね」
「起きてたの」
「ええ、待ってたわ」
 こう娘に言うのだった。
「心配していたし」
「御免なさい」
「まあ変なことはないと思ってたけれど」
「そうなの」
「だって。陽太郎君とのデートでしょ」
 母はくすりと笑って娘に述べたのだった。
 
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