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ドリトル先生と奇麗な薔薇園

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第八幕その九

「赤で派手だったね」
「あっ、そうだったね」
「デザインも豪奢でね」
「かく言うイギリスもね」
「派手だったね」
「そうだよ、他の国のことは言えないよ」
 軍服の派手さはというのです。
「そこはね」
「そうだね、今でもね」
「赤い軍服残ってるしね」
 チープサイドの家族がここで言いました。
「バッキンガム宮殿の衛兵さんとかね」
「グラスバンドのチームにしても」
「騎兵隊もそうね」
 ダブダブはイギリス自慢のこの兵隊さん達のことを思い出しました。
「儀礼的だけれど今も赤い軍服ね」
「やっぱりイギリスの色は赤かな」 
 ジップもこう言いました。
「軍服については」
「もう赤い軍服は儀礼的だけれどね」
 チーチーはこのことからお話しました。
「今も残ってるね」
「陸軍さんが赤でね」
 ポリネシアは陸軍以外の軍服も思い出しています。
「海軍さんはまさに青ね」
「ネイビー=ブルーだね」
 ホワイティが老馬の頭の上から言いました。
「その色だね」
「ネルソン提督も着ていたね」
 老馬はホワイティに続きました。
「あの色の軍服だったね」
「けれど陸軍で言うと赤は絶対だったね」
 トートーはきっぱりと言い切りました。
「当時はね」
「あの赤い軍服は今は儀礼的でも」
 それでもと言ったガブガブでした。
「フランスの青い軍服と対を為していたね」
「それで戦場でも戦ったね」
「ワーテルローでもね」
 オシツオサレツも歴史を語りました。
「我が国とフランスは敵同士でね」
「長い間戦争したんだよね」
「うん、今では協力することが多いけれど」
 それでもと言う先生でした。
「フランスとは長い間何度も戦争していたね」
「百年戦争とかね」
「欧州以外でも戦争していたし」
「フランスはオーストリアともずっと戦争していたけれど」
「イギリスともだったんだよね」
「あの国はどちらとより戦争をしたのかな」 
 フランスの歴史にも詳しい先生はふと思いました。
「イングランドから今に至る我が国と神聖ローマ帝国から至るオーストリアとね」
「プロイセンとも戦争していたけれどね」
「我が国とオーストリアとはしょっちゅうだったね」
「もう何度もね」
「戦争していたよね」
「そうだったよ、そしてお花の話に戻るけれど」
 ここでまた言った先生でした。
「フランス王家のお花は百合だったんだよ」
「確か盾の紋章でも使われていなかった?」
「そうよね」
「最初の王朝のカペー家の頃から」
「そうだったね」
「うん、そうだったよ」
 本当にというのです。
「白い百合がずっと王家のお花でね」
「国のお花だったんだね」
「ずっと」
「そうだよ、だからベルサイユの薔薇といっても」
 それでもというのです。
「薔薇が愛されていてもね」
「第一は百合だったのね」
「ずっとそうだったのね」
「日本の桜みたいかっていうと」
 そこまで絶対の位置にあったかといいますと。
「そこまではいかなかったと思うけれどね」
「日本人の桜への愛情は凄いから」
「もう何か違うから」
「特別な思い入れがあるから」
「春イコール桜っていう位に」
「そう、だからね」
 それでというのです。 
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