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レーヴァティン

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第六十五話 志摩の海賊その十一

「充分だ」
「そうか、ではだ」
「三千両の船を買うか」
「船乗り達もな、そしてだ」
「その船でだな」
「十人目を仲間にしに行こう」
 こう言ったのだった。
「これからな」
「ああ、じゃあ話は決まりだな」
「船を買う」
 今からとだ、英雄ははっきりと言った。
「そうする」
「決断が速いな、しかしな」
「この場合はだな」
「速いのはいいことだよ」
 決断、それがというのだ。
「こうした時はな。短慮や無思慮は駄目だが」
「決断が速いことはな」
「いいことだ」 
 こう英雄に話した。
「ではな」
「船を買ってだ」
「島に行こうな」
「そしてその島でござるが」 
 その島について尋ねたのは智だった。
「どういった島で何処にあるござろうか」
「結構暑い島で志摩から東にある」
「東でござるか」
「八丈島だ」
 それがその島の名前だというのだ。
「名前は知っているな」
「かつては流刑地でござったわ」
「我等の起きている世界じゃな」
 江戸時代の話である、その時その島は流刑地であり五大老の一人だった宇喜多秀家が流され幕府が出てはどうかと言われても残り長い人生をそこで過ごした。
「そうだったな」
「まさか」
「いや、そいつは別にだ」
「罪を犯していないでござるか」
「ただそこにいるだけだ」
 八丈島、そこにというのだ。
「それだけだ」
「そうでござるか」
「そしてだ」
 幸正はさらに言った。
「八丈島に向かうまでは湖だが」
「そこのこともでござるか」
「話しておく」
 今この様にというのだ。
「そうしてだ」
「今からだな」
 英雄がまた幸正に応えた。
「船を買って船乗り達を雇ってな」
「八丈島に行くことになる」
「わかった、では買いに行こう」
 その船をとだ、英雄は決断を下した。そうして今度は船を買い船乗りを雇いに動くのだった。


第六十五話   完


                   2018・5・8 
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