レーヴァティン
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第六十五話 志摩の海賊その十
「次の場所に」
「俺達はまだ仲間を探している」
英雄は出発を言った幸正に飲みつつも鋭い目を向けて告げた。
「だから次に行く場所はだ」
「十人目の場所だな」
「そうだが」
「その十人目のあてがある」
幸正はこう答えた。
「そう言えばどうだ」
「それならだ」
英雄の返答は決まっていた、英雄にすぐに答えた。
「すぐに行くか」
「そうだな、では船を買うか」
「船か」
「まだ船は持っていないな」
このことをだ、幸正は英雄達に問うた。
「この島までは乗せてもらったというしな」
「それで船を買ってか」
「その船で行くか」
十人目がいるそこにというのだ。
「そうするか」
「船でないと行けない場所か」
「そうだ、島にいる」
「十人目に仲間になる者はそうか」
「だからどうしても船が必要だが」
幸正はその目を鋭くさせて英雄に告げた。
「買う金はあるか」
「どれだけだ」
「千両だ」
それだけだとだ、幸正は英雄に答えた。
「いい船で三千両か」
「三千両か」
「この志摩ではいい造船所もあって売っている商人もいてな」
「千両以上あればか」
「船も買える、そしていい船になるとな」
「三千両か」
「そして船乗りも雇うことになるがな」
彼等もというのだ。
「食わせて報酬を支払う銭も必要だ」
「そうか、わかった」
「あるか、それだけの銭が」
「銭のことは心配無用だ」
一切とだ、英雄は幸正に答えた。
「それはある」
「どれだけ出せる」
「今十万両ある」
「何っ」
十万両と聞いてだ。これまで感情を見せていなかった幸正も僅かだが感情を見せた。それは驚きのものだった。
「そこまであるのか」
「これまで何度か巨人を倒してきたからな」
「連中は倒すと銭が違うからな」
落とすそれがとだ、幸正も知っていた。
「我も戦ってきて勝っているが」
「それで銭も持っているか」
「七千両だ」
それが幸正が持っている分だというのだ。
「それだけ持っている」
「そうか、では俺がだ」
「その十万両の中からか」
「船乗りの分も含めてだ」
「船を買うか」
「そうする、幾ら多くても一万両あれば充分だな」
三千両で一番よい船を買って船乗り達を雇って彼等に飯を食わせてもというのだ。
「そうだな」
「充分過ぎる、そこまではいらない」
「六千両か」
「船乗りを雇って食わせてもな」
幾ら多くてもそれで済むとだ、幸正は話した。
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