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レーヴァティン

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第六十五話 志摩の海賊その三

「色々と面白い話も聞けた」
「あやかしのこととかかい」
「そうだ、色々と聞かせてもらったからな」 
 この世界の湖のことをというのだ。
「だからだ」
「大判九枚か」
 英雄達一行一人一枚としての数だった、まさに。
「それだけくれるか」
「そうだ、貰っておいてくれ」
「悪いな、じゃあこの金は貯めておいてな」
「そしてだな」
「この銭で大きな船を買うな」
「それにはもう一つ条件がある」
 ここで目を鋭くさせてだ、英雄は船乗りに告げた。
「それにはやはりだ」
「博打か」
「それは止めよ」
 船乗りにこのことを注意したのだった。
「さもないと貯まる金も貯まらない」
「そうか、博打が一番やばいっていうしな」
「だから止めることだ」
 大きな船を買いたいならというのだ。
「あれで蔵を建てた奴はいない」
「賭けてな」
「儲かるのは場所を貸す奴と開く奴だ」
 賭場、そこをというのだ。
「そうしたものだ」
「だよな、やっぱり」
「だからしないに限る」
「金を貯めたいならな」
「やれば船も買える筈がない」
「そうだよな、じゃあな」
「もう二度とだな」
「ああ、かみさんにも言われてるしな」
「博打はしないな」
「そうする様にしていくな」
 船乗りは英雄に約束した、そうして一行は彼と笑顔で別れた。そうして志摩の港からそこに続いている港町に入ったが。
 その港町に入ってだ、良太はすぐに言った。
「強い気を感じますね」
「はい、確かに」 
 その良太に峰夫が答えた。
「感じるであります」
「この気は間違いなく」
「我々と同じですね」
「外の世界から来た者です」
「その気です」
 こう二人で話した。
「それでは」
「その気のところに行きましょう」
「これから」
「是非」
「そうだな」 
 英雄も二人に真剣な顔で応えた。
「それではな」
「今からですね」
「行きますね」
「そうする」
 こう言ってだ、そのうえでだった。
 英雄は二人が言ったその気を探った、そうして彼も感じ取ったのだった。
 するとだ、英雄はその気がする方に顔を向けて言った。
「あちらか」
「そうでござるな」
 智もそちらを見た、見れば他の者達もそちらを見ている。
「ではでござる」
「あちらに行くか」
「これより、しかし」
「しかし。何だ」
「これまでは順調にでござる」
「八人が集まったな」
「あと四人、しかし」
「その四人がだな」
「果たして順調に来てくれるか」
 自分達の仲間にというのだ。 
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