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レーヴァティン

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第六十五話 志摩の海賊その一

                第六十五話  志摩の海賊
 一行は船乗りが操る船に乗せられて遂に志摩まで来た、その志摩の港に入ってだ。愛実はすぐにこんなことを言った。
「奇麗な湖とお空っちゃ、泳ぎたくなる位っちゃ」
「そうですね」
 紅葉も愛実のその言葉に頷く。
「西瓜割りなぞをしたくなりますね」
「そうっちゃな」
「海の家にも行って」
「それもいいっちゃな」 
 海の家と聞いてだ、愛実はさらに笑顔になった。
「海の家で食べるものは何かっちゃ」
「普通にラーメンや焼きそばを食べるよりも」
「美味しいっちゃ」
「海を見てそれで潮を感じつつ食べるので」
「普通に食べるのもいいっちゃ」
「本当にそうですね」
「海の家?この島にはねえぜ」
 船乗りは二人の話を聞いて彼女達に後ろから告げた。
「砂浜で遊ぶ連中の為の食いもの屋はあるけれどな」
「海の家ではないっちゃ」
「その呼び名ではないですか」
「湖の家っていうんだよ」
 この島ではこの呼び名だというのだ。
「何しろこの島には海がないからな」
「それでっちゃな」
「湖の家になるのですね」
「ああ、最初は湖のお宿って名前だったらしいがな」
「宿ではないっちゃな」
「泊まりませんので」
「それで名前が変わったんだよ」
 その湖のお宿からというのだ。
「湖の家にな」
「そうっちゃな」
「その様に変わったのですね」
「そうなんだよ」
 実際にというのだった。
「これがな」
「言葉にその場所が出るっちゃからな」
「そうなりますね」
「ああ、あと水着はな」
 船乗りは二人に笑ってこちらの話もした。
「こっちの島のは西の島のと変わらないぜ」
「そういえばぜよ」
 当季がここで言った。
「こっちの世界では水着だの下着だのはトランクスだのショーツだのあるのう」
「ああ、褌もあるけれどな」
 親父は当季にも明るく笑って応えた。
「そうした水着や下着が主流だな」
「そうじゃのう、昔の世界っちゅうに」
 自分達が起きている世界の服の歴史からだ、当季は考えて述べた。
「トランクスが売っちょってわしは驚いたぜよ」
「それは普通だろ」
 親父は完全にこの世界にいる人間として当季に返した。
「俺だってトランクスだぜ」
「こっちの世界では違ったぜよ、こうした時代は皆褌だったぜよ」
 この下着だったとだ、当季は話した。
「そうだったぜよ」
「へえ、そうだったのか」
「おう、おなごは穿いてない娘もおったちゅうのう」
「下着は穿かないと駄目だろ」
 すぐにだ、船乗りは当季に反論した。
「やっぱりな」
「冷えるし汗も吸わんしのう」
「あと汚れるだろ」
 下着を穿かずにそのまま下半身を覆う服を着るとだ。
「だからな」
「よおなおうのう」
「そうだろ」
「ところがわし等の世界ではそうだったぜよ」
「あんた達の世界の昔はか」
「そうだったぜよ」 
 下着は皆褌で女では穿いていない者もいたというのだ。 
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