海賊になって
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第三章
「女子供にも手を出さないし取るもの取ったらいいけれどな」
「ああ、性質の悪い連中もいますね」
「襲った船に乗ってる奴は皆殺しにしたりとかな」
「そうした海賊は聞いてますよ、俺も」
店にいた時にとだ、ホセはハイメに返した。
「酷い連中もいますよね」
「ああ、そうした連中は俺達が仕事をした後とかにな」
「襲ってきたりしますか」
「そうした奴等は手段を選ばないからな」
「同じ海賊相手でもですか」
「金やお宝持ってたら遠慮なく襲ってな」
そうしてというのだ。
「皆殺しにしようとしてくるからな」
「見張りはですか」
「気合入れてしろよ、特に夜に来るからな」
「夜ですか」
「見ろよ、周りを」
ハイメはホセにここでこう言った。
「船のな」
「ああ、遠くに島が幾つか見えますけれど」
「海のど真ん中だろ」
「隠れる場所はないですね」
「だったらわかるよな」
「昼に襲うとですね」
「丸わかりだよ」
相手を見付ければというのだ、見れば今彼等の周りには船は見えない。ただ遠くに島が幾つか見えるだけだ。
「だからな」
「夜にこそですか」
「来るからな」
「夜の見張り番の時は」
「特に気をつけろよ、襲われたらな」
その時はというのだ。
「不意にやられたら皆殺しだからな」
「気をつけます」
顔を真っ青にさせてだ、ホセはハイメに答えた。
「取り締まりのあちこちの国の海軍の船だけじゃなくて」
「やばそうな船が見えたら言えよ」
「わかりました」
くれぐれもと答えたホセだった、鮫達がうようよしている海の中で。そうしてだった。
数日後船は商船を襲ってそうしてお宝を得た、ここで船長は夜に船の寝込みを襲ったがここで船員達に言った。
「いいか、歯向かう奴は斬ってもいいがな」
「へい、いつも通りですね」
「大人しくする奴はですね」
「縛ってですね」
「ああ、武器を取り上げてな」
そうしてというのだ。
「殺すな、殴ったりもするな」
「わかってますよ」
「それが頭のやり方だからですね」
「この船にいるならですね」
「そうだ、下手に殺したりするな」
普段は陽気な船長もこの時は違っていた、随分と厳しい顔だ。
「いいな、それを守れねえ奴こそだ」
「鮫の餌ですね」
「そうしますね」
「そうだ、だから絶対に下手に殺すなよ」
こう言って商船を襲わせてホセもだった。
はじめて刀を持って襲撃に参加した、幸い彼は戦うことなく仕事を出来たがそれでもだった。お宝を得て商船の乗組員達を解放してその商船から離れた時にだ。
ようやくほっとしてだ、こんなことを言った。
「いや、初仕事は」
「緊張したか」
「はい、本当に」
「小便ちびらなかったか?」
「ちびってませんよ」
笑って言う船長にすぐに返した。
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