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空に星が輝く様に

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345部分:第二十六話 聴かれたことその二


第二十六話 聴かれたことその二

「別にね」
「いいわよね。じゃあ時間が来れば温めるからね」
「うん、御願い」
「それで今日は外に出ないの?」
「部活も休みだしさ」
 陽太郎が言う理由はそれだった。
「だから今日はずっとさ」
「ゲームなのね」
「もうかなりたまってるんだよ」
 困ったような、それでいて実に楽しそうな声であった。それでも言ったのだった。
「やりかけのゲームがさ」
「そういえば高校に入ってからあまりゲームしてないわよね」
 扉が開いた。そうして母が来たのだった。
 そのうえで陽太郎が前に座っているその画面を見るとだ。今話題の格闘ゲームであった。母はそれを見たのであった。
「そのゲームなの」
「うん、今全キャラクリア目指してるんだ」
「まあ好きにしなさい」
「本当に久し振りだよ」
 陽太郎は母のいる後ろを振り向かずゲームを続けている。
「このゲームもさ」
「何もかもが久し振りなのね」
「そうだよ」
 まさにその通りだった。
「だから思うように動かないんだよな」
「けれどやるでしょ」
「うん、やるよ」
 それは絶対に変わらないことだった。
「そういうことだから」
「夜にはちゃんと寝なさいよ」
「わかってるよ。それはさ」
「じゃあ頑張りなさいよ」
「ゲームしてて頑張れっていうのもなあ」
「何でも頑張ってやることはいいことよ」
 だからだという母だった。
「そういうことよ」
「それでなんだ」
「その通りよ。じゃあお母さんもね」
 母もだ。楽しそうな声で言う。背中を向けたままの息子にだ。
「今からDVD観るから」
「DVD?韓流ドラマ?」
「違うわよ。特撮よ」
「特撮ねえ」
「仮面ライダーのDVD買ったのよ」
 まさに特撮の金字塔と言える名作である。それは最早日本の文化の一つと言ってもいい。ウルトラマンや戦隊と並ぶまでである。
「それ観るからね」
「長いね、そりゃまた」
「長いからいいのよ」
「だからいいんだよ」
「そうよ、だからなのよ」
 母の言葉は笑っていた。
「観応えがあるじゃない」
「確かにね。九十八話もあるからね」
「映画版も買ったのよ」
 これまた実に楽しそうに話す。
「じゃあ今から本郷さん観るから」
「俺は二号も好きだけれどな」
「勿論一文字さんも好きよ」
 母は彼もだというのだった。
「どっちも大好きなのよ」
「そういうことなんだ」
「ダブルライダーが最高ね」
 中々贅沢な趣味であると言えた。仮面ライダーの見せ場の一つでもあるのがダブルライダーの同時活躍だからである。
 それをだ。母は好きだというのであった。
「そういうことだからね」
「うん」
 そんなやり取りをしてだった。母は特撮に、息子はゲームに熱中するのだった。陽太郎は今はのどかな休日を過ごすのだった。
 そしてだ。月美はだ。白いふわりとした丈の長いワンピースにカーディガンという格好だった。その頭には白い幅の広い帽子がある。
 右手には白いバッグだ。その格好で駅前にいた。
 するとだ。そこにだった。黒いタイトのミニに同じ色のジャケット、それと赤地のキャラクターがあるシャツを着た椎名が来た。スカートの下は黒タイツだった。
 
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