空に星が輝く様に
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323部分:第二十四話 過ちその七
第二十四話 過ちその七
三人がその彼女を追いかける。そうして彼女に声をかけた。
「ね、ねえ」
「大丈夫?」
「落ち込んでない?」
「え、ええ」
歩きながら俯いている。そのうえでの返事だった。
「それはね」
「またチャンスがあるから」
「挽回しよう」
「その時にね」
三人も必死に彼女を宥めようとする。しかしだった。
今の星華は心が乱れていた。それはもうどうすることもできなくなっていた。顔にもそれが出てしまっていてだ。俯いて隠していたのだ。
そのまま足早に駆け去ろうとする。だがここで。
前から来た男にだ。ぶつかってしまった。
「おい、何なんだよ!」
「えっ!?」
顔をあげるとだ。そこにはだ。
堀内だった。この男にぶつかってしまったのだ。
堀内はすぐに獰悪な顔を向けてだ。星華に言ってきた。
「手前何のつもりだよ。俺に喧嘩売ってるのかよ」
「そ、それは」
「喧嘩なら買うぞ」
女相手にも何の容赦もしない彼だった。
「それで相手してもらうぞ」
「相手って」
「どう落とし前つけるんだよ」
星華の胸倉を今にも掴まんばかりだった。
「一体よ」
「そ、それは」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ」
「あんた一体何なのよ」
三人は星華の後ろでおろおろとしながら言うのだった。
「星華ちゃんいじめるの?」
「だったら許さないわよ」
「そんなことしたら私達が」
「何だっていうんだよ」
堀内はその三人をジロリと睨んだ。
「御前等が相手をするのかよ、俺のよ」
「あ、相手って」
「何なのよ」
「何するつもりなのよ」
「俺は何人でもいいんだぜ」
下卑た顔を向けての言葉だった。
「それこそな」
「ちょ、ちょっとまさか」
「あんたそんなこと考えてるの?」
「何て奴なのよ」
「それでどうするんだよ」
堀内は三人がおろおろしているのを見てさらに言ってきた。嵩にかかっていた。
「御前等四人どうして落とし前つけるんだよ」
「どうしてって」
「落とし前って」
「それって」
三人はもうどうしていいかわからなくなっていた。
そしてだ。星華はだ。ここで言ってしまった。
陽太郎に断られその原因をふと脳裏に思い浮かべてしまってだ。それでだった。
「わかったわよ」
「あん!?相手するのかよ」
「そうよ、だからね」
そしてだ。言ってしまった。
「倉庫に来なさいよ」
「倉庫!?」
「この校舎の一階にあるわ。その端にね」
そこにだというのだった。
「来なさいよ、後でね」
「後かよ」
「一時間程したらよ」
時間も言った。言ってしまった。
「来なさいよ。いいわね」
「覚悟はいいんだな」
「ええ、いいわよ」
勢いのまま言う。
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