提督はBarにいる。
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淫乱ピンクとちょっとだけ技術的なお話。
前書き
今回、『何故艦娘は女性しかなれないのか?』という辺りに独自の考察を加えた話となっています。その都合上、かなり汚い話やら下ネタ的な話が出てきてしまいます。その辺りを注意して、お読みくださいm(_ _)m
「う~い、この書類は工廠向けだから、後で持ってってくれや」
「は~い。……にしても、書類が多すぎません?今回」
俺から決裁した書類を受け取りつつ、今日の秘書艦当番が文句を垂れる。
「うるせぇ、今日が自分の当番だからってここぞとばかりに工廠関連の決裁書類出したのお前だろうがよ、明石」
「あはは、バレましたか」
そう言って頭を掻きながら、明石はバツの悪そうな顔をした。
「……しかし、勿体無いですよねぇ」
唐突に、明石がそんな事を言い出した。
「何が?」
書類から目を離さずに、聞き返す。こいつが大概こんな事を言い出す時にはロクな事を考えちゃいない。経験則で解る。
「提督程の戦力を遊ばせとくのが、ですよ。昨日偶然通りかかって見ましたけど、訓練とはいえ戦艦複数を相手取ってそれをあしらえる人なんてそうそう居ませんよ?」
「そうは言ってもな。普通の人間じゃ海の上には立てん。当たり前だろ?」
そもそも、艦娘が海の上に立てているのだって不可思議な現象なんだぞ?馴れてしまって疑問にも思わなくなってきてるが。
「ん~……あ!そういえば、艦娘の正式採用が決まる前のテスト段階だと男性の適性も調べたらしいじゃないですか!その技術を応用すれば……」
「あのなぁ明石、今男が艦娘になってない時点で察しろよ。軍部だってそれなりに実験を繰り返した結果、男じゃなく女でなければ艦娘にはなれんと位置付けてるんだぞ?」
まぁ、こういう技術的な議論は俺も嫌いじゃないがな。元々工業系の学校に通っていたし、機械弄りは好きだからな。
「そもそも、艦娘を艦娘たらしめている要素は何だ?明石」
「えっと……艤装を装備して、それを手足のように扱える事ですね」
「そうだ。それを可能にしている物は何か……知ってるよな?」
「えぇ。かつての軍艦に宿っているとされている艦霊(ふなだま)を具現化・圧縮した物、通称『核玉』ですね」
「そうだ。その核玉だけは妖精さんにしか作り出せない。だからこそ艦娘は妖精さんにしか生み出せない」
艦娘の黎明期には、妖精さんが核玉を生み出して、それを適性のある女性の体内に外科手術の応用で留置していた。今現在はその最初の艦娘の身体データをコピーしたクローンを培養している間に、体内に核玉を留置して外科的な処置をしなくとも最初から艦娘として誕生させる事が出来るようにはなっているが。
「その核玉の特徴は知ってるか?」
「適性のある身体に接触すると、その瞬間から身体が生身の人間から艦娘の身体に変化していくんですよね?核玉が完全に馴染むまでは力の制御も出来ないから、採血も出来なくて困るんですよねぇ、あれ」
幾ら制服が装甲の代わりを果たしているとはいえ、敵の機銃やら砲弾の直撃をもらってもミンチにならない位には頑丈になるんだから、注射器やメス、針なんかの手術道具が通る訳がない。
「だからこそ、黎明期の艦娘適性持ちを艦娘にする改造手術の際には、僅かな傷も許されなかった。核玉が傷のある状態がデフォルトだと記憶してしまうからな、高速修復剤を使っても治らなくなる」
「うへぇ、何というか不便ですねぇ」
「生まれたての技術なんてのは、得てしてそんなモンさ。ここまで言えば、男が艦娘になれない理由も何となく分かるんじゃないか?」
「いえ、全く」
思わずずっこけそうになった。意外と鈍いなコイツ。
「まぁ、ぶっちゃけちまうと男が艦娘になれないか?という実験は割と最初期から行われていた」
「ほうほう」
「核玉が皮膚にでもいいから接触してれば良い訳だからな。最初は固定具を使って、胸部に固定する方式が採られた」
ウル〇ラマンのカラータイマーを想像してもらえれば解りやすいか?ちょうどあんな感じの見た目だったらしい。
「良いじゃないですか!わざわざ体内に埋め込む必要もないし」
「バッカお前、弱点剥き出しなんだぞ?その上から装甲貼り付けたとしたって、敵の砲撃喰らって核玉が損傷したらその時点で艦娘の力を喪失するんだ。そしたらどうなる?」
「艦娘の力が喪われたら……あっ」
そう、いきなり生身の人間に戻るんだ、背中の艤装の重みに耐えきれずに押し潰される。ヤワな人間の身体なんぞひとたまりもない。
「実際、実験中に核玉を破損して被験者の男性が死んだ事件もあったらしいしな」
「死因は?」
「艤装に潰されてミンチ」
「うへぇ……」
明石が若干青ざめる。まぁ、想像するだけでキツいわな。
「次に考えられたのは外科的に体内に核玉を埋め込む方式だ」
「あ、これは何となく失敗理由わかります。核玉を留置した時点で艦娘の身体に変化するから、開腹しても縫合できませんもんね」
「まぁ、そういう事だ」
ちなみにだが、今現在の核玉を留置する処置は開腹の必要性はない。どこに核玉を留置するかは……男性と女性の身体の構造の違いを考えれば何となく察する事は出来るだろう。『艦娘はほぼ妊娠しない』という理由もその辺が原因だ。
「……あれ?それなら核玉を飲み込めば艦娘と同じ身体能力を得られるんじゃ?」
「理論上は、可能だな」
「なら!」
「だが、今現在そんな方法は取られていない。それにはそれなりの理由があるからだ」
「そもそも、最初期の核玉って奴はデカかった。ちょうど野球のボール位の大きさだったらしい。明石お前、そんなモン飲み込めるか?」
俺がそう問うと明石はブンブンとクビを左右に振る。だろうな、俺も無理だ。
「喉に詰まれば切開して摘出も出来ん。その時点で身体は艦娘への変異を遂げているからな。如何に艦娘でも窒息すれば死ぬ。……それでも、10人位は飲み込むのに成功したらしいがな」
「うえぇ、勇者ですねぇその10人は」
「だが、その先に進めた奴は居なかった」
「……そ、その先?」
「明石、口から入った固形物は何処に行く?」
「食道、胃、腸を通って排泄されますね」
「そうだ。核玉は胃酸では消化されない。どんなに遅い人間でも3日程で体外に排出された。問題はそこからだ」
核玉の厄介な所は、生体認証機能があるところだ。一度使用した核玉は、同じ人間でなければその力を発揮しない。同じ身体を持つクローンでも、核玉の使い回しは不可能だ。
「艦娘としての錬度の情報は核玉に記憶される為、Aという核玉を使い、排出されたらそれを破棄してBという核玉に切り替えると、また錬度は1からという事になる」
「つまり?」
「排出された核玉を排泄物の中から掘り出し、洗浄・殺菌・消毒してもう一度飲むしかない」
「排泄って……下から?」
「下から。当然だろ」
うっぷ、と明石が吐きそうになったのを堪えるようなアクションを見せる。そりゃ想像する奴が悪い。俺もなるべく頭に浮かべないように事務的に話してるから何とかなってるがな。
「流石に野球ボールが飲み込める猛者でも、一度ウ〇コまみれになった物は飲み込めなかったらしい」
「当たり前じゃないですか!」
「……はっ!?私、名案を思い付きました!上からが駄目なら下から入れれば良いじゃないですか!」
「はぁ!?馬鹿かお前は!何て恐ろしい事を考えやがる!」
流石に野球のボールを尻の穴から入れるとか、無茶が過ぎるぞ!俺もアッー!なのは嫌だ。おれにソッチの趣味は無い。断じて無い。
「だって、今なら核玉の圧縮技術も進歩して、ビー玉位じゃないですか!座薬みたいな物ですよ……多分」
「座薬は溶けるだろ!?核玉は溶けないんだぞ!海上にいる間、腹の中にビー玉抱えてろってのか!?」
もしそれを実行して、万が一海上で腹に力が入ったりして間違えて核玉が出たりしたら即座に艦娘の力は喪われ、艤装の重みで轟沈まっしぐらだ。とても現実的な手段じゃない。
「う~ん、やっぱ無理かぁ」
「当たり前だバカ野郎。ほれ、とっとと書類の続き始めんぞ」
「へ~い」
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