空に星が輝く様に
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296部分:第二十二話 文化祭その一
第二十二話 文化祭その一
第二十二話 文化祭
遂にはじまった。文化祭である。
その文化祭のはじまりにだ。椎名がクラスの皆を集めて話す。
「興国の興廃この一戦にあり」
「おい、それかよ」
「いきなり帝国海軍!?」
皆椎名のその言葉に突っ込みを入れずにはいられなかった。
「何でそれなんだよ」
「全く。どういうことなのよ」
「しかもだよ」
「何、その格好」
「コスプレ研究会から借りてきた」
八条高校にあるその学校である。
「それ」
「帝国海軍の軍服か」
「っていうかそれってセーラー服じゃないのかよ」
「詰襟ってあったの」
「これが将校の軍服」
椎名は言う。見れば帽子も水兵の帽子ではない。詰襟の実に折り目正しい軍服を着てその場に直立不動で立っているのである。
「それも海軍中将」
「中将か」
「それなの」
「そう、海軍中将」
またそれだと話すのだった。
「そういうことだから」
「じゃあ大将は赤瀬か」
「そうなるか?」
「そうよね」
皆椎名が中将と聞いてそれだというのである。
「それで参謀総長」
「宜しいでしょうか」
「うん」
椎名は敬礼をしながら皆に応える。手を狭くしている海軍の敬礼である。
「皆頑張ろう」
「よし、それじゃあ」
「今からな」
「占い師付きメイド執事喫茶」
「やるか」
「そのお店の名前は違う」
ところがだった。椎名はここでクラスの一人が言った店の名前にクレームをつけた。そうしてそのうえでこう付け加えさせるのであった。
「美少女占い師が専属しているメイド執事喫茶」
「美処女かよ」
「しかも専属なの」
「専属はいいけれど美少女は絶対」
それはだというのだ。
「そういうことだから」
「我儘な奴だよな」
「全く」
「椎名っていつもそう言うよな」
「本当に」
皆椎名のそういうところには呆れた。しかし皆その顔は笑っていてそうしてである。何処か温かいものをその目に見せているのであった。
「じゃあとにかくな」
「頑張ろうか」
「目指せ売り上げナンバーワン」
「そして恵まれない子供達や福祉に寄付を」
「そう。間違っても」
椎名がここでまた話す。
「北朝鮮には寄付しないから」
「いや、あそこは問題外だろ」
「なあ」
「ねえ」
皆北朝鮮にはそういう考えだった。
「あそこに寄付するんだったらな」
「自分達で飲むわよ」
「そうそう」
皆で言う。
「お酒でもね」
「そっちの方がどれだけいいか」
「全くだよな」
「どうせあの将軍様か軍隊にお金がいくんだし」
「食べ物もね」
そういう国家であることはもうそれこそ高校生どころか中学生、いや小学生でも知っていることだった。何しろ現実にある東映の特撮ものの悪役だからだ。
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