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レーヴァティン

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第六十二話 伊勢の巫女その二

「両手両足ぶった切って腹まで切ってか」
「最後に首を刎ねてやってだ」
「魂まで焼いたか」
「生きる価値のない連中だと確信したからな」
 それ故にというのだ。
「したまでのことだ」
「それをあっさり言うんだな」
「悪人にはそこまでして当然だ」
「当然か」
「弱い相手をいたぶり楽しむ連中だ」 
 そうした者達こそが悪人だというのだ。
「これ以上生きていても害になるだけだしな」
「そうか、まあこっちの話は済んだしな」
「ならいいか」
「ああ、しかし今度からな」
 役人は英雄に難しい顔で最後にもこう言った。
「殺し方は加減しろよ」
「首を切っただけで終われか」
「それ位でいいだろ」
「性分として無理だ」
 そうした普通の殺し方はとだ、英雄は役人に返した。
「どうしてもな」
「悪い奴はか」
「ああして殺したくなる」
 徹底的に苦しめる、そうした殺し方にというのだ。
「どうしてもな」
「困った性分だな」
「ああした屑は吐き気がするからな」
 そこまでの嫌悪を抱くからだというのだ。
「そうするまでだ」
「静かな顔して極端だな」
「そうか」
「ああ、とにかく俺が言うことは言ったぜ」
 役人の立場としてのそれはというのだ。
「じゃあな」
「わかった」
 英雄は去る役人の目を見送った、その目は彼が言ったことを全く受け入れるつもりはないものだった。それでだ。
 ことが済んでからだ、英雄は街を歩く中で当季に言われた。
「意外に思ったぜよ、最初はのう」
「俺の悪人の殺し方はか」
「一太刀で終わらせるか無視するかって思うちょった」
 彼が思うにはだ。
「そうだと思っちょったがのう」
「どうもな。昔からな」
「ああした奴はか」
「許せない、そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「ああすることが可能ならだ」
「やるんじゃな」
「斬れないと通報する、動画をネットにあげる」
 その現場を撮影してというのだ。
「そのうえでああしたことをしている連中に言う」
「人や猫をいじめる様な連中にか」
「御前等の今の姿は通報したとな」
 その様にというのだ。
「動画サイトにあげてな」
「刀がないと頭か」
「それを使って滅ぼす」
「成程のう」
「とにかくああした連中は嫌いだ」
「黙って見ていることは出来んか」
「そうだ」
 英雄は当季に冷静そのものの声で答えた。
「どうしてもな」
「そいでさっきは切り刻んで魂まで燃やしたんじゃな」
「徹底的に殺したやった」
 苦しめ全てを消し去ったというのだ。
「そうした」
「ううむ、悪人を許せんのはええんじゃが」
 英雄は着物の前から右手を出して顎に手を当て右目を瞑ったうえで考える顔になりやや首を傾げさせて言った。 
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