空に星が輝く様に
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270部分:第十九話 お化け屋敷その十二
第十九話 お化け屋敷その十二
「後はこれをやっていけばいいわね」
「そうよね。何かいける感じ?」
「もうここまで決めてたら」
「楽よね」
州脇達三人も言う。
「じゃあ後はね」
「皆で教室をお化け屋敷にして」
「そうすればいいわね」
「後は受付ね」
星華は今度はこのことを話した。
「それをどうするかね」
「それもです」
また言う月美であった。
「誰が何時担当するか決めてますから」
「それもなの」
「はい、ここに」
月美は少しおどおどとした仕草でそれで自分の制服から紙を出してきた。見ればそこにだ。もう名前が書かれていた。
「決めてます」
「じゃあそれも決めてるし」
「それじゃあ楽よね」
「本当にはじまるだけね」
「まあやるわね」
星華はそれを見ても渋々頷くのだった。
「それじゃあ全部決まったってことでね」
「よし、それじゃあやるか」
「あらかた決めてもらったしな」
「委員長やるじゃねえか」
ここでこれまで黙っていたクラスの男達が言葉を出してきた。
「よし、頑張るか」
「ああ」
「そうしような」
こうして四組も決まった。その後でだ。
月美は昼食の時に椎名に話していた。今は二人で校庭にいる。まだ陽太郎達は着ていないがそこで話をしているのだった。
「有り難う」
「だから御礼はいいから」
「けれど本当に助かったから」
こう言って椎名に礼を述べるのだった。
「文化祭、いけそうなの」
「私は呟いただけ」
ここでもこう言う椎名だった。
「それだけだから」
「そうなの」
「そう。つきぴーはそれを聞いていただけ」
「それでいいのね」
「いい」
これが椎名の返答である。
「じゃあお化け屋敷頑張って」
「はい、わかりました」
「ただし。私が書いたあの演目は出さないこと」
「あの二つはなのね」
「そう、あの二つは駄目」
こう月美に話すのであった。
「忠臣蔵の裏話と首の話は」
「その二つって本当に危ないのね」
「科学的根拠はないけれど実際に色々な話が残っている」
それでだというのである。椎名は決して科学だけを見て何かを決めるのではない。それ以外のものも見てそれで言うのである。
「だから駄目」
「わかったわ。じゃあ」
「そういうことだから。その二つは駄目」
「ええ」
「他はいい」
その他はというのだ。
「うんと怖いものにしていいから」
「愛ちゃんの呟き通りね」
「そうしたらいいから」
「それじゃあ。幽霊とか生首も出して」
「お化け屋敷はうんと怖く」
椎名はこうも言った。
「それでこそだから」
「そうよね。私もお化け屋敷好きだし」
「つきぴーはうんと怖いのが好きだったわね」
「そうなの。漫画でも小説でも映画でも」
月美はサンドイッチを食べながら椎名と話す。椎名は椎名で弁当のざるそばを食べる。そのうえで月美と話をしているのだ。
「うんと怖いのが好きだから」
「つのだじろうとか楳図かずおとかもね」
「大好きだから。映画だと」
「そうね。ドラキュラとか」
「好きだから」
こう話していた。その時にだ。
「お待たせ」
「遅れて御免ね」
狭山と津島が来た。当然陽太郎と赤瀬も一緒である。
「パン買うの遅れてさ」
「カップラーメンにお湯も入れてたし」
それで遅れたと話す狭山と津島だった。話ながらそのうえでだ。二人の傍に座っていつもの様に車座を組んで食べはじめるのだった。
それからまた話をした。そうして楽しい時間を過ごすのであった。昼の一時をだ。
第十九話 完
2010・8・31
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