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空に星が輝く様に

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237部分:第十七話 姿の見えない嫉妬その十


第十七話 姿の見えない嫉妬その十

「校則に」
「うっ、それは」
「前にもそれ言ったと思うけれど」
 椎名は記憶力でも星華の先をいっていた。
「ちゃんと」
「そんなの書いてないけれど」
「じゃあいい」
 きっぱりと言い切ったのだった。
「私がここにいてもいい」
「校則に書いてないからなのね」
「勿論法律にも書いてない」
 椎名はさらに畳み掛けた。完全に優勢に立っていた。
「だからいい」
「くっ、わかったわよ」
 星華も遂にだ。それで頷いた。
「それはね」
「そういうことね」
「ただよ」
 それでもだった。星華は敗れてもそれでもだ。反論するのだった。
「さっきの話何よ」
「何って?」
「あんた何で私がマラソンに出るのにケチつけるのよ」
 言うのはこのことだった。
「それは何でよ」
「何でももそれもないわよ」
 また話す星華だった。
「私ずっと長い距離も走ってるし。陸上部にも負けないわよ」
「それでもよ。止めた方がいい」
「だからそれは何でなのよ」
「短距離出るよね」
「ええ、そうよ」
 この問いには胸を張って返した。
「四つね。ハードルとかもね」
「だから」
「短距離なんかすぐに終わるからどうってことないわよ」
 さらにむっとした顔になっての言葉だった。
「そんなのはね。私にとったらね」
「短距離か長距離どっちかに専念すべき」
「ダッシュもマラソンもどっちもやってるわよ、練習でいつもね」
「練習は練習」
 しかし椎名はまだ言う。
「それ以外の何でもない」
「何でもないって?」
「そう、本番とは違う」
 こう星華に告げる。
「だからどちらかにしないと駄目」
「そんなの全然平気よ」
 星華も完全に意固地になってしまっていた。
「見てなさい、本番には強いからね」
「そうよ、星華ちゃん馬鹿にしないでよ」
「あんた何知ってるのよ」
 三人がこの場ではじめて口を開いた。
「知らないでしょ、そんなの」
「大体クラスも部活も違うし」
「おまけに運動部でもないでしょ」
「天文部」
 椎名は三人の相手もした。やはり臆してはいない。
「そこにいるけれど」
「じゃあ女子バスケ部のこと全然知らないじゃない」
「それで何?偉そうに」
「何様なのよ」
「運動部のことは知らない」
 椎名自身それは認めた。
「けれど格闘技やってるからそれはわかる」
「へっ、格闘技!?」
「何、それ」
「また藪から棒に」
 今の三人にとってはだ。まさにそんな言葉だった。
「格闘技って何よ」
「急に話出してきたけれど」
「何やってるのよ」
「まずは空手」
 最初にはだ。空手を話に出してみせた。
「それとムエタイ。カポエラもやってる」
「ええと、足技多い?」
「そうよね」
「何か」 
 三人もだ。ムエタイやカポエラのことは知っていた。主に格闘ゲームをやってだ。そのうえでそうしたものを知ったのである。
 
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