レーヴァティン
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第六十話 召喚士その二
「凄いな」
「ああ、どちらも術にない神様ばかりだぜ」
「その神様を同時に呼ぶなんてな」
「どれだけ凄いんだ」
「噂は本当だな」
「凄い召喚士もいるものだな」
召喚術について知っている者達が言っていた、そして。
それだけではなくだ、召喚士はさらにだった。
召喚した風神と雷神に何かしら囁いた、すると彼等は僅かだが風を出して雷を出した。それも見てだった。
今度は当季がだ、唸って言った。
「力も使わせたぜよ」
「本物だな」
英雄はその当季にも応えた。
「これは」
「ああ、ただ使役する位ならぜよ」
それならというのだ。
「普通ぜよ、しかし」
「今はな」
「見世物小屋にいることをわかってぜよ」
「使わせる力を抑えているな」
「並の召喚士はそこで失敗するぜよ」
「使わせる力を制御出来ずにな」
「風神雷神の力は格別ぜよ」
当季はその鬼、それぞれまさに鬼神と言うべき姿の彼等を見ていた。大きさも見れば人の大きさ程である。
「それこそこの街位はのう」
「普通に使役しただけでな」
「消し飛ぶぜよ」
そこまでの力があるというのだ。
「まっことのう」
「しかしその力を抑えてな」
「ただ出しているだけにさせているぜよ」
「そこまで抑えさせて出させるとはな」
「見事なもんぜよ」
「全くだな、これで確信した」
英雄は確かな声で言った。
「あの女は俺達と同じだ」
「起きている世界から来てるぜよ」
「そして十二人の一人だ」
「あんたと一緒にこの島、ひいては世界を救うな」
「それぜよ」
「そうだ、ではだ」
「見世物が終わったらであります」
峰夫が言ってきた。
「その時は」
「あの女のところに行く」
「それでは」
「今は見世物を楽しむ」
女使っている召喚術、それを観てというのだ。
「おそらくまだ続くからな」
「それでは」
「それからだ」
じっくりと観てだ、それからだと言ってだった。
英雄は実際に召喚術を観続けた、それは彼等が観ても他の客達が観ても驚くものだった。それぞれ同じものを観てもそこに見ているものは違っても。
そしてだ、見世物が終わってだった。英雄は仲間達に言った。
「俺一人でだ」
「行かれるでござるか」
「そうしてくる、その間だが」
「拙者達はでござるな」
「小屋の向かい側に飲み茶屋があるからな」
「そこに入ってでござるな」
「茶でも飲んでだ」
飲み茶屋らしくというのだ。
「待っていてくれ」
「それでは」
「飲んでいる間にだ」
「あの召喚士殿をでござるな」
「仲間にしてくる」
「確実に」
「運命によってな」
先に話したこれによってというのだ。
「そうしてだ」
「あの召喚士殿も仲間にして」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
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