歌集「冬寂月」
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四十七
片道の
生くるは侘びし
独り寝の
閨に零れし
片割れの月
生きるとは…引き返せぬ道を歩むと同じ…。
それを一人で歩むのは、何と侘びしいことだろう…。
一人眠りにつこうと横になれば、窓から半月が明かりを零していた…。
あの人は…愛しい人と共に月を見上げるのだろう…。
私はこの半月の明かりで丁度良い…。
心は決して、満月にはなるまい…。
露雨の
空そ仰ぎし
立ち葵
遠くぞ思へば
雲そ恨めし
梅雨時期の妙に蒸し暑い雨空…。
そんな中に凛と立つ立葵は、一体何を思うのだろうか…。
その動けぬ身ゆえに…どこまでも流れ行く雨雲を、きっと恨めしく思っているに違いない…。
いや…それは私か…。
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