ロボスの娘で行ってみよう!
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第66話 第6次イゼルローン攻略戦 3
遅くなりました。少々短めです。
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第66話 第6次イゼルローン攻略戦 3
帝国暦485年11月30日
■自由惑星同盟イゼルローン回廊同盟側出口 ラインハルト・フォン・ミューゼル
しまった、まさか敵に俺の作戦が此処まで対処されるとは、無能者の集まりの同盟軍にこうまでやられるとは、もしやヤン・ウェンリーかマルコム・ワイドボーンなのか。
姉上、このままですと姉上をお救いできそうにありません、キルヒアイス共々このまま行けば、ヴァルハラへ召される可能性が。
「ラインハルト様、いざとなったら降伏するしか」
「何をいうんだ、そんな不名誉な事出来る訳がないだろう」
「一時の恥をかきますが、アンネローゼ様に又お会いするためならば、自分が責任者として処罰されるつもりです」
「何を言うんだ、キルヒアイス、お前を犠牲に出来る訳がないだろう」
「ラインハルト様」
「今はともかく、この包囲の突破を考えよう」
ラインハルトとキルヒアイスが、どうにかして包囲を突破するかを考える事すら諦め始めていたとき、敵艦隊の攻撃の度合いが低下してきたのである。
「キルヒアイス、敵の攻撃が緩くなってきたな」
「仰る通りですラインハルト様」
「敵は、此方を捕獲するつもりのようだな」
「其処を突いて脱出しましょう」
「そうだな、全艦に命令、敵の一瞬の隙を突いて脱出する、準備を怠るなと」
「はい」
何とか隙を見つけて、突破だな、姉上何としても帰ります。
宇宙暦794年11月30日
■自由惑星同盟イゼルローン回廊同盟側出口 第7艦隊旗艦ケツアルコアトル
第7艦隊が包囲殲滅直前で待ったをかけられながら、コーネフ大将の率いる司令部艦隊1,000隻の到着を待ちながら、各分艦隊での話し合いを行っていた。
『司令官閣下、全くピクニック気分で来られては堪らんですな』
『全くだ、総司令官なら御神輿らしく、後ろでドーンと座ってりゃ良いのに』
『貴官達幾ら本当でも、言い過ぎだぞ』
『司令官閣下が困った顔をしてるぞ、貴様等いい加減にして差し上げろ』
副艦隊司令官ノーウッド少将、第3分艦隊司令官リー少将、第4分艦隊司令官ワーツ少将、第5分艦隊司令官キャボット少将達との会話でホーウッド中将も苦笑するしかない状態で有った。
「仕方が無い事だ。貴官達も最後まで気を抜かずに包囲を行ってくれ」
『それは構いませんが、閣下』
「どうかしたかね?」
リー少将が真剣な顔でホーウッド中将に意見を具申する。
『敵がこのままこの艦隊を放置するかと言う事なんですがね』
「少将は、増援が来ると呼んでいる訳か」
『そうです、今帝国は混乱しています、宇宙艦隊の士気も非常に低い状態でしょう、そして現在宇宙艦隊司令長官が不在であり、メルカッツ大将が代行をしています。彼の性格からして味方を見捨てる訳には行かないでしょう、それに、包囲中の司令官はかなり優秀な人材と考えられます』
「しかし、こうも易々と罠にはまるのが優秀な人材と言えるのかね?」
『いえ、こんな作戦普通の人間じゃ考えつかんですよ、流石はヤン准将と言うところですな』
「エル・ファシルの奇跡は本物と言う事だな」
『全くですな、彼が味方で良かったと思いますよ、敵なら我々は壊滅していますよ』
「そうだな、判った少将、艦隊に全方位警戒させよう」
『よろしくお願いします』
「全艦、気を引き締め全方位索敵を強化せよ」
「はっ」
第7艦隊の各艦はホーウッド中将の命令に従い、四方八方に偵察衛星を発射し警戒態勢を強化したのであった。
宇宙暦794年12月1日
■自由惑星同盟イゼルローン回廊同盟側出口 同盟軍旗艦アイアース
旗艦アイアースが物見遊山状態から、手柄の横取りを狙って第7艦隊の包囲下にある艦隊の捕獲或いは殲滅を謀るために現れたのは、翌日12月1日の事であった、此処までゆっくり来られると、手加減自体が大変であった。
戦場に到着すると、コーネフは自艦隊を入れる為に無理矢理隙間を作らせ始めた、それにより一時的に電波の送信が可能となり、ラインハルト艦隊の状態がロイエンタール達に知られる事となったとはコーネフも思っても居なかった。
「ホーウッド中将、御苦労だった、今より私が指揮を取る、良いな」
『諒解しました』
もうこんな総指揮官は、どうしようもないと、考えたのであろうホーウッド中将が呆れた表情で返答する事すら気がつかない程にコーネフは戦果を得る事に目の色を変えていたのである。
「よし、敵艦隊に一当てした後で、降伏を勧告するぞ」
「はっ」
旗艦ではアッテンボロー少佐一人が呆れた表情で呟いていた。
「やれやれ、生きて帰れるのか判らなく成ってきたな、捕虜になって、リーファや姉さん達から逃げるのも一興かもしれないけどな」
宇宙暦794年 帝国暦485年 12月1日
■自由惑星同盟イゼルローン回廊同盟側出口
アイアース率いる1,000隻が強引に割り込む形で入ったために,混乱が生じたその瞬間、帝国軍の救援艦隊が、ビッテンフェルト分艦隊を切っ先にミッターマイヤー分艦隊、ロイエンタール分艦隊がそれに続く形で、突っ込んできたのである。
アイアースの強引な割り込みで、哨戒網に穴が開いたその隙間を、ビッテンフェルト特有の戦場での感を働かせて、その隙間に攻撃を仕掛けるのであるから凄まじい野生の感である。
「進め進め!敵は混乱しているぞ!全艦連続射撃!!」
ビッテンフェルトの闘気が乗り移ったように、分艦隊1,000隻の連続射撃で司令部艦隊1,000隻がズタボロに成っていく。
後続するミッターマイヤー、ロイエンタール両艦隊も第7艦隊に攻撃を仕掛けて傷口を広げていくが、第7艦隊は素早く避ける事で損害を最小限に抑えていく、此はこのまま無理をしても益無しと考えて居たからである。しかし、アイアースでは大混乱が起こっていた。
「いったいどう言う事だ。何が起こったんだ!」
「敵艦隊です」
「何だと、見張りは何をしていたんだ!ホーウッドは何をしていたんだ!!ホーウッドめ、お前がもたもたしたせいでこの体たらくだ、生きて帰れると思うなよ!!」
お前のせいだろうと、古くからの艦橋要員が考えて居る中で、コーネフはホーウッド中将の悪口を言いまくっていた。
タンホイザーではラインハルトとキルヒアイスが、先ほどの連絡で増援の到来を知り直ぐさま作戦を立て脱出を敢行した。
「今だ、敵の綻びへ一点集中攻撃、そのまま駆け抜けるぞ!」
その言葉に生き残れるとの希望により一斉に数千発のビームが発射され、全艦がカタログスペック以上の速力でビッテンフェルト、ミッターマイヤー、ロイエンタールにより開けられた、隙間を強引に引き裂いた。
次々に脱出するミューゼル分艦隊を混乱している旗艦艦隊は全く攻撃できず、又第7艦隊も混乱する旗艦艦隊がミューゼル分艦隊の楯になってしまい攻撃が出来ない状態で有る。
「邪魔だ、邪魔だ!撃てないじゃないか!うざいだけじゃなく攻撃の邪魔までするのかよ!!」
「面倒臭いから、旗艦ごと落としちまえば良いんだよ!」
「違いないや」
第7艦隊各艦ではこんな会話が話されていたのである。
結局ラインハルト達の分艦隊は実に80%の艦艇を失いながらも脱出に成功し残存艦艇600隻余りは、全艦ボロボロに成りながら、ビッテンフェルト、ミッターマイヤー、ロイエンタール艦隊との合流に成功したのである。
「救援感謝する。卿等が来なければ危うい所であった」
あくまで上官としての矜持を持って礼らしき事を言うのであるが、未だ未だ人生経験が足りないために、命からがら助けて貰った割には余りにも真心がこもっていない気がするのであった。
『メルカッツ提督に頼まれただけです』
ロイエンタールがラインハルトの態度にムッとしたのかトゲのある言い様をした。
『御無事でないよりでした』
ミッターマイヤーは紳士的に対応する。
『何だあの態度は、あれが助けられた人間の言う事か!』
ビッテンフェルトの言葉は、素早く副官のオイゲン中尉が音声を消したのでラインハルトには伝わらなかった。
4個分艦隊3,600隻は集団を作成しイゼルローン要塞へと帰投していくが、同盟軍は旗艦アイアースが大破航行不能のために追撃すら不可能になった。
尤も同盟艦隊がバラバラに追撃したとしても、メルカッツ艦隊が続行してたために手ひどい反撃を食らう可能性があったのであるから、この時点での追撃断念は理にかなっていたのである。
しかしそれすら判らずにひたすら、相手を罵る事しか出来ない司令長官代行を皆が皆、流石に呆れてきていたのである。
この戦闘を最後に帝国軍は回廊内へ引っ込み、当初の計画通りイゼルローン要塞で迎撃戦を行う事に成って行ったのである。
帝国艦隊24,000隻余り、同盟軍34,000隻余りが遂にイゼルローン要塞の宙域で対峙を行ったのである。此処に第6次イゼルローン攻略戦が始まった。
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