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第65話 第6次イゼルローン攻略戦 2


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第65話 第6次イゼルローン攻略戦 2

宇宙暦794年 帝国暦485年 11月〜12月

■自由惑星同盟イゼルローン回廊同盟側出口

宇宙暦794年11月から12月にかけては、イゼルローン回廊の同盟側入口付近の周辺で制宙権を確保するため、小規模な戦闘が連続して行われる結果と成った。戦闘は50隻から3000隻ほどの単位で立方体に区切った数千の宙域を一つ一つ争奪する形で展開した。

単なる前哨戦というには、双方がかたむけた努力は、質量共に小さくなかった。それはこの期に続く戦略的状況を少しでも有利にしようとしているからに他ならなかった。

ラインハルトは20回以上の戦闘に、自分の艦隊を指揮して、あたかも狩猟でも楽しむかのようににそれを楽しんでいた。彼の艦隊はかなりの自由行動権を手に入れており、要塞本体から離れて、特定の宙域に布陣し、連日回廊外に出撃を繰り返していた。

たかだか3000隻単位の艦隊の戦果は大局からすれば微々たるものでしかなかったが、宇宙艦隊副司令長官たるメルカッツ提督はその手腕を認め『若くて荒削りだが、見事な手腕だ』と、副官のシュナイダー中尉に話しかけていた。

同盟軍では、作戦前のミーティングに時に第7艦隊司令官ホーウッド中将が、シトレ元帥より託された、ヤン准将作成の敵艦隊に対する対策を総司令部に意見具申を行っていたが単なる杞憂であると無視された挙げ句、『それほど敵が怖いなら、第7艦隊は後方からゆっくり来ればいい』と、馬鹿にされる始末で有った。

しかし、リーファが原作知識で知り、シトレを動かし、ヤンに作成させた、資料通りにラインハルト艦隊が大暴れを始めたのである。同盟側総司令部では、当初は小賢しく動き回る艦隊をさほど重要視していなかったが、20回に以上にわたり壊滅的損害を受けた戦隊が続出した結果、やっと指示をしてくる始末であった。

コーネフ大将に元々、グリーンヒル総参謀長の元で各参謀のまとめ役としての手腕を期待されての主任参謀職で有ったのであるから大局観が無く、結局はワイドボーン、ヤン、リーファの居ない司令部ではホーランド大佐が実質的な総参謀長扱いであったが、彼にしても第一にすべきことは、イゼルローン要塞本体への攻撃計画を検討し決済し改良し実施する責務があり、小賢しい敵に対処する事が出来なかった。

その為、その事有るを予想したと思われて、後方に配置されていた第7艦隊に白羽の矢が立ったのである。

『と言うわけで、暴れまくっている小賢しい敵を其方で対処して頂きたい』
「判りました。此方のやりたいようにして宜しいのですね?」
ホーランド大佐の言葉にフリーハンドを与えろとホーウッド中将はねじ込んだ。
『宜しいです』

ホーランド大佐の姿がスクリーンから消えると、ホーウッド中将が全司令官に連絡を行い作戦開始を告げた。

11月30日ラムゼイ・ワーツ少将率いる第7艦隊第4分艦隊3,000隻は回廊出口付近で普段の宙域争奪戦を行う様に進撃していた。

「提督、敵は出てきますな」
「間違いないだろう、パターン的に考えて、相手があらゆる戦術パターンを実戦で試している事が判っている、その対策もコンピューターに記憶させているからね」

「後は敵がどのパターンで来るからですな」
「そうなるな」

ワーツ提督とトリオ参謀長が話している中で、オペレーターが敵艦隊発見を告げた。
「敵艦隊発見、艦数およそ3,000隻」
心なしか震えるオペレーターの声を聞きながら、ワーツとトリオが敵はテキパキと指示を出し始める。

「司令部にT連送を送れ」
「はっ直ちに」
T連送とは、トラップのTであり、敵艦隊が罠にかかりつつありの意味で、リーファが真珠湾奇襲のト連送からもじった物である。

「敵はどの戦法で来るでしょうか」
「順番だと中央突破辺りか」
艦橋にはオペレータの声が響きわたる。

「敵艦紡錘陣形を取りつつあります」
「やはりな」
「中央突破戦法ですか」

「全艦に指令!C4回路開き、両翼を伸ばして中央部には旗艦パールヴァティーを中心にある程度厚くしろ」
ワーツの言葉に各艦が直ぐさま、準備していたC4回路を開きその指示に従い鶴翼の陣形を作っていく。端から見れば、纏まった敵艦隊を両翼を伸ばして包囲殲滅しようとしているように見える。

FBB 25パールヴァティーはカンジェンチュンガ級旗艦型戦艦の最後の現役艦で元々第12艦隊分艦隊旗艦であったが、今回の作戦の為に特に改装を行い、第7艦隊へ配属されたのである。パールヴァティーも最後のご奉公として通信アンテナから盛大に指令電波を発しながら、ワーツ分艦隊を指揮しているように見える。

ラインハルト側では、敵艦隊が包囲殲滅を計り鶴翼の陣形に移るのを見て、内心でニヤリとしていた。
その直後、ラインハルトが敵艦隊に対しての中央突破を命じたのである。

ワーツ分艦隊旗艦シャマシュでは、小賢しい敵が罠に入るのを確信していた。
「敵艦隊、高速で突っ込んできます」
「やはり中央突破ですな」
「うむ、予想通りだな」

ラインハルト艦隊が中央のパールヴァティー以下の50隻ほどの艦艇を一瞬で撃破し中央突破を行うために艦隊に食い込んだ所で、異変は起こった。ラインハルトも敵旗艦撃沈後に敵が後退の速度を速めた事に若干の違和感を感じては居たが、未だ未だ全てを推理するほどには、経験値が圧倒的に不足していたのである。

通常鶴翼の陣では旗艦は中央に居るはずとの、常識を完全に裏切って最左翼に居た旗艦シャマシュでワーツ少将が叫んでいた。
「機関全速!」

その瞬間、ワーツ分艦隊3,000隻弱は、全速で2つに分かれてラインハルト艦隊を中央に置いたまま左右両翼が逆進しながら、ラインハルト艦隊の後ろに出て、180度回頭を行い、後方で艦隊を再編し、ラインハルト艦隊を追撃する状態になった。

中央突破戦法を逆手に取って、中央にいたパールヴァティー以下の100隻ほどの艦艇は全て旧式老朽で廃艦間近の無人艦で完全に撒き餌として使われ、ラインハルト艦隊を見事に誘き寄せたのである。

この作戦、何の事はない、原作のアスターテ星域会戦でヤンがやった戦法の焼き直しでしかないが、未だヤンがやってない以上、最初の実行者はワーツ少将と言う事に成った。無論アイデアを出したのは、リーファであり、作戦立案はヤンであったが。


ラインハルトは驚いていた。まさか中央突破戦法を逆手に取る指揮官がいる事に。
「してやられた。敵は俺のパターンを読んでいたんだ」
「ラインハルト様、反転迎撃なさいますか?」

キルヒアイスの冷静な言動にラインハルトも落ち着きを取り戻す。
「馬鹿な、それこそ、今までの敵と同じで間抜けでは無いか」
「では、このまま前進するしかないですね」


ワーツ分艦隊では戦術コンピューター画面に前進し続ける敵艦隊に対して驚きの声が一部に出て居たが、ワーツ提督とトリオ参謀長は落ち着いた表情で指示を行っている。敵がそのまま前進し続けるのことも想定済みであり、ワーツ分艦隊の役目は囮と勢子で有ったから、後は敵艦隊が罠に押し込むだけだからである。

「やはり敵は、前進していきますな」
「それしかないからね」
「しかし。前方には網があるわけです」
「窮鼠猫を噛むとも言う、過信は厳禁だよ」

追撃されながらも、ワーツ分艦隊の後方へと辿り着こうとしたラインハルト艦隊で有るが、前方四方から第7艦隊各部隊が包囲殲滅のために急襲してきた。

第7艦隊旗艦ケツアルコアトルでホーウッド提督が指示を出す。
「全艦隊、敵艦隊を砲撃せよ!」

ワーツ分艦隊を除く第7艦隊12,000隻が一斉にライハルト分艦隊3,000隻に攻撃を開始した。荒れ狂うビームの槍衾、飛び交うレーザー水爆ミサイル、それを浴びて次々に爆沈するラインハルトの分艦隊、阿鼻叫喚の世界が広がったいた。

ラインハルト艦隊旗艦タンホイザーでは、ラインハルトがキルヒアイスに絶望の中から話しかけていた。
「キルヒアイス、俺の慢心が起こした事態だ、俺は何処か自分の過信していたのかも知れない」
「そんな事は有りません、ラインハルト様はご立派に指揮をなさいました」

「その指揮でこの体たらくだ。姉上に合わせる顔もない」
「ラインハルト様、このままお諦めに成られたら、アンネローゼ様をお助けでくなくなります」
その言葉にラインハルトも気を引き締めるが、既に5割近くを失いつつ有り、早くも全滅か降伏かを選ぶだけになりつつあったのである。

ホーウッド中将はシトレ元帥の意向の通りに敵艦隊を全滅させる勢いで攻撃していたが、司令部からの横槍がそれを妨げる事になった。

『ホーウッド中将、御苦労、敵艦隊撃破の際には総旗艦も参加する、その為敵を全滅させずに、包囲状態に置くように』
「しかし、あと少しで全滅できますが」
『此は、総司令官直々の命令である』
「はっ」

何の事はない、コーネフ大将が最後の最後に自分の手柄にしたくてしゃしゃり出てきたのである。此により第7艦隊は包囲殲滅から包囲状態へと戦闘方法を変え、手加減し始めたのである。その為ラインハルトの命運も少し伸びたのである。

イゼルローン要塞宙域では、ラインハルト分艦隊が包囲殲滅の危機にあると知ると、メルカッツ提督が直ぐさま回廊出口近辺で、遊弋していた艦隊に救助を命じたのである。

『現在ミューゼル分艦隊が、回廊出口で敵艦隊の重包囲下にある。其処で卿等にミューゼル分艦隊の救援の第一陣として出撃して貰いたい』
メルカッツの言葉に、3人の准将が考えながら、質問をする。

「閣下、我々の艦隊はたかだか1,000隻、3人合わせても3,000隻でしか有りません。それに比べて敵艦隊は15,000隻ほどです。些か数に問題があるのでありませんか?」
黒髪で金銀妖眼《ヘテロクロミア》の准将は、目を細めながら、メルカッツの力量を推し量るように試している。

それをスクリーンから危うそうに親友を見ているのは、おきまりの悪い蜂蜜色の髪の准将。『そんなまどろっこしい事は、良いから俺に任せれば、敵をの包囲網食い破って見せます』と意気込むのは、人参色の鶏冠頭の准将、三者三葉の姿をメルカッツに見せて居る。

『既に本艦隊が、後詰めとして其方へ向かっている』
メルカッツの素早い動きに、金銀妖眼《ヘテロクロミア》の准将は納得したよう顔をする。
「判りました。我々で敵艦隊の注意を引きつけます」

『准将、敵は5分割だ、後方の艦隊に一撃を加え、隙間を作れば、ミューゼル少将ならばそれに呼応して突破するはずだ』
メルカッツは、僅かの間に、ラインハルトの力量を正確に計り、3人の准将の力量を計った上で、作戦を立てたのであった。我が儘ではあるが、この混乱する帝国に必要な人材として、ラインハルトの力量を認めたからこその救出命令であった。

その言葉に3人の准将も、関心し応対する。
「「「御意」」」

全艦が漆黒に塗装された1,000隻の艦隊を切っ先に3,000隻の艦隊が、ミューゼル分艦隊を救援するためにに突き進んでいく。
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1人原作と違い出世していますが、人材不足の為の昇進です。
 
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