【完結】猫娘と化した緑谷出久
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猫娘と期末試験編
NO.059 期末試験 五、六回戦目
前書き
更新します。
拝啓……。
父ちゃん母ちゃん。
私、もうダメかもしれへん……。
お茶子はそう思いながらも、必死に現在進行形で晒されている窮地に必死に耐えていた。
第五回戦。
ヴィラン役の教師は13号。
対するは麗日お茶子と青山優雅の二人。
二人は移動速度が低い13号からなんとか逃げ続けてようやくゴールの門のところまでやってこれていた。
だが、13号もただではやられない。
例え移動速度が遅くとも自慢の個性『ブラックホール』で自分の方へと引き寄せてしまえばいいのだ。
「逃がさないですよ~~~!」
可愛らしくそう言葉を発する13号は、それとは裏腹に凶悪な個性を使って二人を自身の方へと引き寄せようとしている。
二人は必死に吸い込まれないように取っ手に掴まって耐え凌いでいたが、このままでは刻々と時間が過ぎて行ってしまう。
「どうにかせんと! どうにかせんとー!!」
「麗日さん、この僕の個性ってねー、ビームを出せるんだよ☆」
「それは知っとるよー! それがどうしたん!?」
「うん。それでね、僕のコスチュームはおへそから各部へと伝導できるんだ。だからこう言う事も出来ちゃうんだよ!」
青山はそう言って膝の部分にビームを伝導させて発射した。
「だからピンチでも何でもないのさ!」
「おー!」
お茶子が喜んだのもつかの間、ビームはあっさりと13号の指へと吸い込まれていってしまった……。
「ビームだってなんだって吸い込んじゃうぞー!」
「ッ!?」
その事実に青山は思わず振り向く。
それが影響してか『キラメキグラス』があっさりと分子崩壊して吸い込まれていく光景を目にする。
「分子レベルで吸い込んじゃうぞー!」
「むっ!」
それで青山は半ばあきらめ気味に、自棄気味とも言うが……、
「シャレにならないね☆」
「青山くん、さっきまでの自信はどうしたん!?」
「どうしようもないものは仕方がないさ!」
「うー……」
それで青山も役に立たないと感じたお茶子は選択を迫られる。
このまま終わるのか、それとも打開策を出して突破するのか。
こういう時に、そう……こういう時に頼りになるのは……、
「(デクちゃんだったら……!)」
「ねぇ?」
「なに!?」
「今、君こう考えなかったかい? 緑谷出久さんならどうするかって……君、彼女の事、好きなのかい?」
―――好きなのかい?
―――きなのかい?
―――なのかい?
「うぁっ……」
そう言われて心が揺さぶられるお茶子。
もちろん、出久の事は友達としても大好きだ。
でも、出久は同じ同性の女子だ。
だからひたすら不毛な結果にしかならない。
「(そっか……私、デクちゃんの事が本気で好きだったんだ……)」
思い起こせば最初の出会いである入学試験。
己の窮地に颯爽と助けてくれた出久はお茶子にとってまさしくヒーローだった。
それから友達にもなれて、電話で話し合った出久の内緒の話。
おそらく爆豪はすでに知っていただろうが、お茶子にとっては認識は初めてもとは男性だったと話してもらえた事実が嬉しかった。
隠し事をすぐに話してくれたのだ。
それなら信頼に応えなければダメだろう……?
そう思ってお茶子はずっと出久の為になろうと今まで頑張ってきた。
その過程でちょっと行きすぎちゃった行動もあったけど、でも出久ならきっと許してくれるという甘えの考えがあった。
「(そうだった……私、デクちゃんにすっかり依存しちゃっていたんだ……)」
そう考えると少し恥ずかしくなるとともに、それでも悪くはないという思いが浮かんでくる。
そして思う。
「(デクちゃんが性転換しないでもとの男の子のままだったら……私、デクちゃんの事、本気で好きになっていたのかな……?)」
吸い込まれそうになりながらも、思考はそれ以上に早く回転していた。
今も青山が不思議そうに首を傾げているが、
「(ううん……そんなもしもの考えじゃあかん! 私は今のデクちゃんの事が好きになったんだ! そしてそんなデクちゃんに言われた事を思い出せ、私!!)」
それで思い起こすは職業体験前の事。
お茶子は出久にこう話していた。
『強くなればね、それだけ可能性が広がるし、でもやりたいことだけしていちゃそれだけ見聞も狭まっちゃうからまずは自分にないところを見つけてみようと思ったんだ!』
そう言ったお茶子に出久はこう返していた。
『そっか! うん、いいと思うよ。麗日さん、近接戦闘を鍛えたらきっと強くなると思うから。一度でも相手に触れられればそれだけでどうにかできちゃうのにそこに接近戦が加われば鬼に金棒だよ』
と……。
そんな些細なやり取りだったが、自分の考えは間違っていなかったと出久に肯定してもらった事がいかに心強かった事か。
そして結果、己が身に着けた力を思い出せ!
その考えに至ったお茶子の頭はもうすっかりクリアになって冴えわたっていた。
同時に、自ら取っ手に付けている手を離していた。
「ちょっ!?」
青山の驚く声が聞こえてくるが今のお茶子はもう精神統一していたために、その手にカフスを持って、そして武闘派ヒーロー・ガンヘッドのもとで学んだ武術『G・M・A』を13号にお見舞いしようとしていた。
さすがの13号も本気で吸い込むわけにはいかずに、指を閉じてしまい、お茶子に隙を与えてしまった。
そこからは流れるようにお茶子は13号を拘束してカフスを嵌めていた。
「(敵の“フィールド”じゃなく、己の“フィールド”で戦うべし! これガンヘッドさんの教えなり!)」
「あたた……やられちゃったかぁ…………おめでとう、条件達成だね」
13号にそう言われてお茶子はニンマリ笑顔で、
「はい!!」
こうしてお茶子は空を見上げながらも、
「(デクちゃん……私、デクちゃんの事が好きだよ。だから、もしデクちゃんがピンチになったら必ず私が助けるから!!)」
というお茶子の中でさらに強固になった誓いが立てられた。
こうして第五回戦はお茶子・青山ペアの勝利で終了していった。
と、ここまではよかったのだが、続く第六回戦。
根津校長 VS 上鳴電気・芦戸三奈ペアの戦いが始まったはいいのだが……。
「どわー!?」
「きゃあーーー!?」
二人は必死に崩れてくる機材を避けながらもゲートを目指していたのだが、どういう訳かどんどんと道が塞がれていって攻略の道が塞がっていっている。
それもそのはず、根津校長の個性は『ハイスペック』。
これにより、どこをどう崩せば二人は窮地に陥るのかすぐに分かってしまうのだ。
「いやー、高みの見物と言うものはいいものだね。だけど……少しは気概を見せてよー?」
己の才能が怖い!と言わんばかりにテンションMAXの校長に、二人はなす術もなく、
『タイムアップだよ。上鳴・芦戸ペア、条件クリア失敗』
非情なリカバリーガールのタイムオーバー宣言で、
「うわーーーー!?」
「合宿がーーー!! うえーーーーん!!」
二人はそれはもう頭を抱える事態になっていた。
それを高みの見物をしていた校長はと言うと、
「少しやり過ぎちゃったね……でも、逃げ道はしっかりと残しておいたんだからもっと考えたらいけたよ?」
と、呟いていたのであった。
こうして上鳴・芦戸ペアは泣きながらも退場していくのであった。
果たして次の七回戦目はどうなるのか……?
後書き
お茶子の気持ちの再確認もそこそこに上鳴達と纏めちゃいました。
校長に対してどう対応すればいいのか私も分かりません。
あと、感想でいくつかクラスのみんなに出久の秘密がばれたのが原因でAFOに狙われるのでは?という質問がありましたのでここで回答しておきます。
『NO.048 続く有限の日常』の時点ですでにAFOに出久の事がばれていますので、治癒が追加されただけですでにインゲニウム治療前には狙われているんですよねー。
体育祭で思いっきり見せちゃったのがそもそもの原因かなと……。
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