こんなチートでもありですかい?そうですかい。
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第18話。変人と体育祭。
夏休みが終え、本日から2学期となった。今日は始業式のために登校。
「おはよう一成。久しぶりじゃの。」
「ああ、お盆開け以来か。」
「凛ちゃんも久しぶりじゃの。」
「ええ、『1日』ぶりね。」
ああぁ?昨日も会っただろお前ぇ。と言わんばかりに皮肉を込めて言う凛ちゃん。
おっと、ノリで言っちまったぜ。
「なんだ、また遠坂と遊んでたのか。」
「何よ。文句あるの?」
「フッ。別に何も。不満はあるがな。」
「凛ちゃん家、いろんな本置いてあって面白いんやで?」
「へぇ、そうなのか。興味がわくな。」
「残念じゃが、日本語じゃのうて中国語とか英語とかが多いから一成には読めへんよ。」
「むぅ、残念だ。」
「読んでいい前提で話を進めないでほしいわ。」
会話も切るような凛ちゃんの声で俺と一成は振り向く。
少し不機嫌な表情を浮かべる凛ちゃん。むぅ、どうした?
「あなただから読ませたのよ。他はダメよ。」
「だってさ一成。」
「そうか。ラブラブだな。」
「なっっ!」
「違うで一成。俺と凛ちゃんはマブマブしてるんや。」
「まぶまぶ?」
「おう。俺と凛ちゃんはマブダチやからの。」
一成は語る。晋吾の純粋さに目がくらんだと・・・・
この時凛は思った。・・・・マブダチってなに?
俗語に弱い凛であった。
学校が始まって2週間がすぎた頃、今日はたいがーに連れられて町剣道場に行くことになった。
俺が行くと言った訳ではない。基本、たいがーによる突撃を受けて連れていかれるのである。
断るとうだうだ愚図るから面倒なのだ。お兄さんは大人だから黙ってついて行きます。全く、しょうがない子ね。
「む、晋吾ではないか。」
「おう。晋吾やで。一成。」
道場に向かっていたら、道着を持った一成に会った。何故に道着?
「ん?これか?今から空手道場にいくつもりでな。」
道着をガン見してのを気づかれてしまったようだ。どうやら空手を習っている模様。
「なんや、空手なんかしてたんか。」
「まぁな。晋吾はどこに行くんだ?」
「俺はのぉ・・・・」
チラッとたいがーの方を見る。するとサムズアップして
「負けんじゃないわよ晋吾!」
なんてのたまってきた。空手道場で竹刀振り回せと?それとも素手でも負けんなってことか?負けないよ俺。
謎の言葉を解読していたら、たいがーはすでにいない。
「お?どこ行った?」
「もう行ったぞ。夕飯には帰ってこいと言っていた。」
「・・・・まぁええ。結果的に逃げれたわ。」
「逃げれたって・・何から?」
「これや。」
そう言って背中に背負う竹刀袋を見せる。
「そう言えば剣道をやってるんだったよな。」
「俺はあまり好きでなか。」
釘バット振り回すのは好きだがな。
・・・・タダの危ない人である。
「これからどうする?」
「家に帰ってものぅ。たいがーの追及が面倒になるだけやし・・。ついて行ってもええ?」
「フッ。別にかまわんよ。なんなら、空手やるか?」
「遠慮しとくわ。痛いの嫌いやし。」
「やはり剣道の防具は当たっても痛くないのか?」
「知らん。」
「知らんって・・・・」
「せやかて当たったこと一度しかないからのぅ。」
唯一当たった時はたいがーと始めて試合した時。痛くはないが、怖い。
それ以来避けまくっている。日に日に少しずつだが速くなっているたいがーの剣が怖い。剣道止めたい。
一方、一成は『こいつはどこにいっても非常識なのか・・』と変に納得してしまうのであった
昨日、冬木空手道場に見学に行くつもりだったのだが・・・・
「晋吾、何で昨日帰ったのだ?」
「何でってお前さん。」
パチンと額に掌を打ちつけ、ふぅーっと溜息をつく晋吾。
「道場に入ったらすぐに俺達と同年代の女の子が、男相手にしてフルコン決めてるんやで?帰るだろ。常識的に考えて。略してjk。」
彼女はjcだろうが。
「美綴のバカ者・・・・。」
一成はそう呟き、はぁーっと溜息をつく。
「美綴?」
「男相手に連撃を入れていた女の名だ。下心のある奴は軒並み叩きのめしているらしい。おかげであの道場は空手道場なのに男性門下生が少ないのだ。」
なるほど、空手道場が女の園になっているんですね。そこに入っていける一成がカッコいいと思います。
本日は晴天なり。本日は晴天なり。
「晴れやがったヨ・・・・」
「ニイさんは本当に体育祭嫌いだね。」
「ああ嫌いや。なくなった方がいいと思うわ。ほんまに。」
本日は体育祭の日である。いつも思うが、小学生は運動会で中学なら体育祭になるのは何でだ。
『会』より『祭』にした方がカッコいいと言うんかこん畜生め。
運動ができるようになった今でも体育祭は嫌いだ。長年染み付いた嫌悪感はぬぐえないらしい。
「休みたいよー。休みたいよ-。」
「でもニイさん。結構任されてるんでしょ?」
「おう。ヤル気なかったのに凛ちゃんが無理矢理・・・・」
あの娘っ子。何を思ったかリーダーシップを取り始め、体育委員そっちのけで種目を振り分け始める始末。
なのに一成以外誰も文句を言わない。これだから魅力チートは・・・・
結果、リレーに騎馬戦等といった主役となる種目に入れられてしまった。
何故か知らんがうちの中学は種目が多い。
個人種目が100m走、200m走、400m走、1500m走、走り高跳び、走り幅跳び。
陸上大会じゃないんだぞ。と声を大にして言いたい。
体力テストとかは適当にやったから100mなどの個人種目に入らなかったのは不幸中の幸い。
でも足の速い奴らの自慰競技だと思っていた学級対抗選抜リレーに出る羽目になってしまったのが鬱だ。
しかし一成と凛ちゃんは異常。個人種目全部とか。プラス団体競技も何個か出る。あいつらマジでないわぁ。
まぁシロちゃんもだが。まあね!シロちゃんはほらっ、陸上部のエースだからさ!仕方がないのだよ!仕方が!!
団体競技も騎馬戦、綱引き、大縄跳び、二人三脚リレー、障害物競争と言う具合にラインアップが並び、一人何種目出るんだコレ?って状態。
前世では毎年大縄跳びと障害物競争に出て、後はグダグダ観戦。って感じだったのに・・・・
「もう行くよ。ニイさん。」
「うがー。うにゅー。今日は鬱だー。テンションが大暴落。」
「今日のお弁当はニイさんが好きな物を選んだから元気出して。」
「・・・・ちょっと元気でたね。」
現金な奴である
「いーち、にーい、さーん」
現在、障害物競争のグルグルバットに挑戦中の晋吾です。額にバットをつけ、バットを支点にグルグルと回る廻る。
参加動機はバット。どんだけバットが好きなんだお前とツッコまれそうだ。。
ぶっちゃけ幾らグルグル回った所で俺の三半規管は狂わないので、この後どうするか困る。
笑いを取りに行ってもいいのだが、どっちかと言うと、俺は行動よりもトークで笑いを取る方が好きなので何とも言えない。
結局普通に歩こうと思う。まぁ競争だし早歩きでいいか。
スタスタ歩いて行ったら観客からおおーっと驚きの声が沸く。何故かいたたまれない気分になる晋吾であった。
「凄いのね。気持ち悪くならないの?」
「いや、全く。」
競技が終了した後、凛ちゃんが話しかけてきた。
凛ちゃんは座る暇もないくらい行ったり来たりしている。人気者は大変だな。競技に参加してなくても立って応援に行かないといけないし。
一成は体育祭実行委員としてクラスの主力として慌ただしい一日を過ごしている。応援しかできないけどガンバレ。超ガンバレ。
お昼である。晋吾はもちろん切嗣達と食べるのだが、ふと、凛はどうするのだろうと思った。
恐らく一人で食べるか、家族がこれなかった友人と食べるだろう。そこで、凛のマブダチとしてどうするべきだと考えた。
「凛ちゃん。」
「・・・・何よ?」
「一緒にご飯食わへん?親父やシロちゃんもいるんやけど・・・」
「ご飯?ん~。別にいいわよ。」
おおーっと何故かクラスメイトの歓声が沸く。なんでや。
凛ちゃんを連れて親父たちがいるところに行ってみるとシロちゃんはもう来ていた。
「親父。凛ちゃんも一緒にええ?」
「凛ちゃん?おお・・おお!!さーさーさーどうぞ遠慮せずに。」
落ち着け親父。
シロちゃんも口を開けてビックリしてる。姉ちゃんズはふ~んと凛ちゃんを観察してるようだ。
「そう言えば姉ちゃん達は始めてやったの。綺麗なのが舞弥姉ちゃんで、可愛いのがイリヤ姉ちゃんや。」
舞弥姉ちゃんが軽く会釈すると、イリヤはニマニマと悪い笑みを浮かべる。
「あなたが・・『遠坂』凛ね。」
「・・・・含みのある言い方ね。」
「ええ。遠坂家の長女ですもの。興味がないと言ったらウソになるわ。」
表面上ではニコニコしているが、ギスギスとした空気を醸し出す。
「止めや二人とも。楽しく食べようや。」
「・・・・そうね。」
「別に私は何もしてないわよ?」
「姉ちゃん。」
少し怒った声で注意をしたのだが、素知らぬ様子で親父の膝に座る姉ちゃん。
・・・・この二人は一緒にしてはならない気がした。
混ざらない水と油じゃなく、混ぜるな危険の次亜塩素酸と塩酸みたいに。
何が言いたいかと言うと、周りに被害が出る。
シロちゃんが被害を受ける姿を安易に想像できるのは何故だろうか?
体育祭は順調にプログラムを進行していく。
個人競技では凛ちゃんとシロちゃんが三年生にも余裕で勝ち、無双状態。
おかげでうちのクラスとシロちゃんのクラスはほとんど僅差であり、負けず嫌いの凛ちゃんが静かに闘志を燃やしているのが感じられる。
学級対抗選抜リレーではどのぐらいで走ればいいのかよくわからなかったが、偶々並列してバトンを渡されたため、同じような速度で走り、最後で抜くことにした。
一緒に走っていた子はサッカー部で俊足を売りにしていたらしく、後々部活の勧誘だかウザくなったのだが、今の晋吾にはこの体育祭を速く終わすことが重要だった。
最後の最後までシロちゃんのクラスとは接近戦を繰り広げ、とうとう最後の競技になった。
最後を飾るのは騎馬戦。男の戦場である。
「前に出過ぎだ!陣形を崩すな!!」
ワーワーと歓声が飛び合う中、指示を飛ばす一成。
大将は一成。と言うか陣形組むとかガチでやり過ぎだろお前。騎馬戦なんて適当に手当たり次第やりあうもんだろ普通。
「アイツ、マジになり過ぎやろ。」
「何言ってんだよ晋吾。B組との直接対決なんだぜ?マジになんのも当たり前だぜ。」
上からの声にそんなもんか、と納得する。俺には体育会的なノリは生まれ変わったも理解できん。
ちなみに俺らはA組、シロちゃんはB組。シロちゃんは騎馬の上、俺は騎馬の先頭である。
思ったよりがっちりしてると言う理由でなった。筋肉質の体を恨んだ。
さらに俺は陣形の一番先頭に位置する。一成からは一撃を入れろというありがたい言葉をいただいている。調子に乗るな。
思ったより体育会的なノリに酔っている一成がウザくなる晋吾だった。速く帰りたい。
とりあえず手加減に気をつけながら突進する。ルールは騎馬を崩すか、上に乗る者の鉢巻きを取るかであるため、有効である。
何騎か崩したり上の奴が奪ったりして、上の奴が俺ら超強ぇとか調子に乗っている頃、
シロちゃんが現れた!!
「衛宮か!!」
「なんや。」
「いや、お前のことじゃなくて・・」
「ごめんニイさん。漫才しているときじゃないんだ。」
シロちゃんもマジになっている。やべぇシロちゃん熱いな。ガチイケメン。
一成の時とは360度態度を変える晋吾であった。
ちなみにシロちゃんは騎馬の上である。上の奴とバトルを繰り広げるシロちゃん。
しかし、俺や舞弥姉ちゃんと戦闘訓練を一緒に受けていたシロちゃんは腕を伸ばしてくる上の奴、
・・・めんどいから上野でいいや。
上野の腕を受け流し、鉢巻きの奪取に成功するのだった。
「おお、やるなシロちゃん。」
「やるなじゃねぇよ。なんで体当たりしなかったんだよ。」
「何言ってるんや。対俺用最終兵器であるシロちゃんが出てきた瞬間に俺らの負けは決まってたんや。」
「なんだよそれ。」
「簡単な話よ。シロちゃんは・・うちの台所を握っている。」
「つ・・つまり?」
ゴクッと咽喉を鳴らす上野。俺の周りはノリのいい奴が多いな。
「機嫌を悪くさせる、怪我をさせる等のことが起きれば・・・・カップラーメン生活が待っている!!」
「すまん俺が悪かった。」
上野も分かってくれたようだ。
ちなみにだが騎馬戦は俺らのクラスが勝った。大人げない一成が戦術を持って無双するシロちゃんを打ちとったらしい。
とりあえず、終わったーーーーーー!!やふぅ~~~!!
しかし体育祭は高校も合わせると後5年ある。鬱だ。はげしく鬱だ。
体育祭が終わった後、シロちゃんが個人競技で勝ちまくる姿を見て調子に乗った親父が寿司をごちそうしてくれることになった。
お前の金じゃなくて爺ちゃんの金だろニート。と言ってやりたくなったが黙っておいた。
よくよく、毎年親父がシロちゃんの活躍に調子に乗って寿司を食わせてくれるんじゃないか?と考えたら元気になった。
全くを持って現金な奴である。
後書き
今回は凛とマブマブする晋吾。士郎のある意味衛宮家最強伝説を書きたかった。
ちなみに晋吾に家事スキルはない。台所?火を見てるのは楽しいのね?って感じ。
すっっごく危ないよ!!
凛とイリヤを知り合わせた理由は、二人が知り合いなら聖杯戦争もっとカオスになるんじゃね?って考えたからだったりする。
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