恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第七十一話 劉備、何進を匿うのことその七
華陀は薬を調合した。そしてその薬を何進に飲ませる。すると。
耳はだ。元に戻っていなかった。
「どうしてじゃ、これは」
「そうか、飲むのが遅かったか」
「遅かったじゃと!?」
「ああ。猫になるのは防げた」
それはだというのだ。
「だが耳はだ」
「このままじゃというのか」
「いや、やがてなくなる」
残りはしないというのだ。一応はだ。
しかしだ。華陀はこう何進に述べた。
「一年程かかって。元の人間の耳に戻る」
「一年じゃと」
「そうだ、一年だ」
「一年もかかるというのか」
「ああ。悪いがな」
「悪いがそれでも戻るのじゃな」
何進は話をしているうちに気を取り戻した。そしてだ。
狼狽する顔から落ち着いた顔に戻ってだ。あらためて華陀に述べた。
「ならよい」
「納得してくれたか」
「少なくとも猫になることはないのじゃな」
「ああ、それはな」
「ならそれでよい」
納得した顔で言うのだった。
「それならな」
「そうニャ。美衣は猫が大好きニャ」
その猫にしか見えない猛獲が笑顔で跳ねながら話す。
「それにお姉ちゃんおっぱいが大きいニャ」
「ほほう、よい娘じゃな」
何進は『お姉ちゃん』という言葉に反応して微笑んだ。
「わらわをお姉ちゃんと呼ぶか」
「そうニャ。お姉ちゃんニャ」
「よいぞ。わらわはまだ若いのじゃ」
「そうよ。人間は三百歳からよ」
「そこからなのよ」
妖怪仙人達の言葉だ。
「人生は長いわよ」
「花の時代は凄く長いのよ」
「普通の人間はそこまで生きられぬぞ」
厳顔が突っ込みを入れる。
「三百どころか百もじゃ」
「いや、俺は百二十だが」
華陀がここでこう厳顔に話す。
「人生まだまだこれからだ」
「あの、百二十歳って」
それを聞いてだ。徐庶が目をしばたかせながら話した。
「ちょっとないですけれど」
「そうか?これ位は普通だと思うが」
「そうは言えません」
とてもだという徐庶だった。
「どうやればそこまで」
「いつも身体を動かすことだ」
微笑んで答えた華陀だった。
「動物の動きを模してな。俺はいつもそれをやっている」
「それでなんですか」
「そうだ、それで俺は健康なままだ」
こう話すのだった。
「ダーリンって病気一つしないのよ」
「怪我もしないしね」
ある意味でだ。彼も妖怪達と同じ存在だった。
「あたし達もそうだけれど」
「病気とかしたことないわよ」
「病気の方が逃げていくと思うのだ」
張飛は本気で思ったのだった。
「そんな生半可な存在じゃないのだ」
「けれど病気しないのっていいわよね」
劉備は二人を見てもこう言えた。
「羨ましいわ」
「そうだ。病気の中でだ」
華陀は医者として話をはじめた。
「風邪は一番怖いからな」
「風邪がか?」
「そうだ。風邪は万病の元だ」
こう劉備達に話す。
「だからくれぐれも気をつけてくれ」
「そうよ。些細な風邪でもね」
「注意しないと駄目よ」
風邪の方から逃げる二人の言葉だ。
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