転生とらぶる
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機動戦士ガンダム
2084話
ジオン公国軍は、戦意高揚の意味も含めてエースパイロットと呼ぶべき存在に異名を付け、それを大々的に公表しているらしい。
セイラが口にしたランバ・ラルという人物も、この独立戦争の初期に起こった一週間戦争やルウム戦役といった戦争で活躍し、異名を持つに至ったのだろう。
ダイクン派はザビ家に弾圧されており、重職から解任されたり身の覚えのない罪で逮捕されたりとしているらしいが、そんな中でシャアとセイラの2人をサイド3から脱出させたというジンバ・ラルの息子たるランバ・ラルが青い巨星の異名を持つというのは、異常な事だ。
つまり、ランバ・ラルはその異常な事を認めさせる程の戦果を挙げたという事なのだろう。
「そのランバ・ラルという人物は、セイラがアルテイシアだと知ってるのか?」
「ええ。もっとも私が最後に会ったのは、本当に小さい頃だったから……今の私を見て、アルテイシアだと認識出来るかは分からないけれど」
ランバ・ラルという人物の情報を聞きながら、その人物は出来れば引き入れたいと考える。
ザビ家に弾圧されている状況で、それでも尚異名を与えられる程の活躍をする凄腕の人物なのだ。
MSという兵器がまだジオンにしかないからこその圧倒的な戦果かもしれないが、それでも並大抵の技量ではないと思う。
……もっとも、戦意高揚に異名持ちのエースパイロットを使うというのは、ジオンとしては良い手段なのかもしれないが、同時に非常に危うい手段でもある。
異名持ちのエースパイロットがいれば、戦場の兵士達の士気は大きく上がる。
だが同時に敵軍からは集中して狙われる事になり、味方からはより大きな活躍を望まれ……そして撃墜されれば、味方の士気は大きく下がる。
そう言ったのはゼクスだったか。
まぁ、ミノフスキー粒子のせいで第2次世界大戦レベルの戦闘になってしまったからこそ、エースとかがもてはやされるようになったんだろうが。
「問題は、そのランバ・ラルがどこにいるのかだな。異名持ちのダイクン派という事になれば、当然使い潰されるかのように酷使されてると思うんだが……この宇宙では、見つけるのが難しい」
「そう、ね。……キャスバル兄さんもどこにいるのか分からないし」
「取りあえず国を作る云々の話は、ランバ・ラルを探してからどうにかする必要があるだろうな。そして情報を入手するには、サイド3に行くしかない」
呟く俺の言葉に、セイラが暗い表情を浮かべる。
当然だろう。セイラにとって、本来なら自分の故郷である筈のサイド3は今や敵地でしかないのだから。
そして何より、サイド3は遠いのだ。
サイド3から月と地球を挟んで正反対の位置にあるのが、サイド7となる。
つまり、サイド3に行くには相応の時間が掛かる。
……もっとも、それはどうとでもなるんだけどな。
今回この世界に来るにあたって、何があるのか分からないという事で、当然なら戦力はある程度揃えてある。
改修が終わっていたのはミロンガ改のみだったので、俺の最大戦力たるニーズヘッグは使えない。
勿論ミロンガ改も十分に強いが、それでももし何かあったら……と、そう考えた場合、ファブニールという外部武装追加ユニットを用意するのは当然だろう。
元々がシャドウミラーのPTサイズで使うようにして作った代物であるこの機体は、ミロンガ改しか使えないこの状況では、まさにうってつけの装備だった。
ホワイトスターを含めた異世界に転移は出来ないが、同一世界内であれば転移は可能な量産型システムXNがあり、隠密行動に最適なASRSとミラージュコロイドがある。
ただ、転移する際にはどうしても光の繭のような転移フィールドが生成されるので、何気に使いどころが難しいのは間違いない。
これが、普通に攻めるだけなら、全く問題ないんだが。
「サイド3に行くのは問題ないとして……その場合、セイラをどうするか、だよな。ランバ・ラルにこっちの味方をして貰うには、セイラを連れていくか……少し疑われるかもしれないが、セイラが事情を説明した映像データやら手紙やらを持って行く必要があるだろうが」
「そうなると、映像や手紙でしょうね。私がサイド3で見つかれば、ちょっとただではすまないでしょうし」
少しだけ悔しそうな様子でセイラが呟く。
セイラにとっても、自分の小さい頃を知っているランバ・ラルとの再会というのは、望むべきところなのだろう。
もっとも、それを言う程に我が儘ではないが。
「となると、サイド3に行くのは俺だけにしておいた方がいいな。……その間、セイラはどうする?」
「私は身辺の整理をするわ。私がこのサイド7にいるのは、あくまでも医療ボランティア。営利目的ではないとはいえ、任された役割がある。そうである以上、何も言わずそれを投げ捨てるような真似は出来ないもの」
「そうだな。……正直建国なんてのが本当に出来るかどうかは分からない。分からないが……本気でやるのなら、そうした方がいいのは、間違いないか」
ただ、建国するとなると、当然のようにシャドウミラーの力が必要となる。
個人的にも可能な限り早くシャドウミラーと行き来を出来るようにしておきたいし、そうなると……やっぱり、どこかに早いところゲートを設置する必要があるんだよな。
そう思いつつも、現状でゲートを設置出来る場所の候補は、地球、火星、月の3つしか存在しない。
その中でも地球は、現在ジオンと連邦が激しく戦っている。
勿論激しく戦っているのは、限られた場所にすぎない。
地球全土で全面的に戦闘が行われている訳ではないのだ。
そうなれば、戦闘があまり起きていない場所にゲートを設置するというのは、悪い手段ではない。ないが……これはベストではなくベターといったところだろう。
独立戦争の最前線たる地球に俺達のような第3勢力が姿を現せば、当然のように戦争に巻き込まれる。
いや、国家を作る以上戦争に巻き込まれるのは確定してるのだが、出来ればそれはある程度態勢が整ってからがいい。
そう考えれば、やはり地球はベストではなくベターといったところか。
そして火星は……シャドウミラーにとっては馴染み深い場所ではあるが、まだテラフォーミングも何もされていない場所だし、何より地球から遠いというのが痛い。
フォールド通信とシステムXNがあるが、それでも地球から遠いというのは、独立戦争に関わる上でデメリットが多すぎる。
これは却下だな。
そうなると、残っているのは月……か。
月も、普通に暮らすという分では空気や重力の問題がある。
ただし、クレイドルならその辺りは普通に解決出来るから心配はいらないが。
そして何より、現在最前線となっている地球ではないながらも、地球とは近いという利点がある。
地球から距離を取るという点で考えれば、それこそ火星が一番なのだが……転移ありきとなると、後々色々と面倒になるのも間違いない。
ただし月がベストの選択肢であっても、不安がない訳ではない。
現在連邦軍に独立戦争を挑んでいるジオン公国があるサイド3は、月の裏側にあるのだ。
つまり、月に国を作るような真似をすれば、それはジオンに正面から喧嘩を売るような真似に他ならない。
……もっとも、この独立戦争を主導しているギレン・ザビという人物はかなり頭がいいらしく、合理主義者らしい。
ジオンのすぐ側にいきなり建国しようものなら、それを面白く思わないだろうし、最初は間違いなく攻撃的に接してくるだろう。
だが、もしその国が侮れない戦力を持っているとなれば、間違いなく利用しようとして態度を軟化させる筈だ。
そしてシャドウミラーが協力する以上、そうなるのは確定済みの未来となる。
問題なのは、そこまで行くのにどのくらい時間が掛かるか、か。
建国する前に、ジオンの独立戦争が終わってしまっては意味がない。
それこそ、ジオンの独立が成功するにしろ、失敗するにしろ、だ。
今の戦況を考えると、一週間戦争やルウム戦役でジオンが一方的に勝利している状況だ。
だが、ジオンと連邦の国力差は、30:1とも、それ以上とも言われている。
……1つのサイドに属するコロニーは、大体40基近く。
ああ、そう考えるとサイド3全体とクレイドルの敷地面積の差は、100倍よりも縮まるのか。
それでもクレイドルの方が広い敷地面積を持っているのは間違いないが。
それに、月の最大都市フォン・ブラウンは地下都市として成立している。
つまり月にクレイドルを着地してそこで展開させても、地下に国土を広げていくという手段はある訳だ。
「アクセル? どうしたの?」
「いや、国を作るとなれば、月に建国するのが最善の選択だと思ってな」
「……月? それだと、サイド3が近くないかしら」
「俺もそう思わないでもないけど、候補地が地球、火星、月くらいしかないからな」
「コロニーにゲートを設置するのは無理、という訳ね」
俺から読み取った知識なのだろう。セイラが呟くその言葉に、俺は頷きを返す。
その辺りの問題もあるので、結局候補はその3つなんだよな。
「まぁ、取りあえずどこに国を作るのかは別として……今はこの世界の事を色々と勉強させてくれ」
俺が持っているのは虫食い――正確にはニュクス食い――の原作知識に、セイラから見せて貰った本くらいだ。
出来ればMSの性能とかジオン軍や連邦軍の兵器とかの情報も欲しいところなんだが……連邦軍の兵器はともかく、ジオン軍の兵器、特にMSの類は殆ど情報がある筈もない。
当然だろう。戦争が始まってからまだ2ヶ月だ。
それくらいで、MSの詳細な情報が一般に流れる訳がない。
勿論大雑把な情報とかなら、話は別だが……
その辺りは、サイド3に潜入した時にランバ・ラルから情報を貰う必要があるか。
いや、ランバ・ラルが本当にセイラの力になってくれるのなら、の話だが。
もしくは、軍の中に侵入してMS等のデータを――可能なら実物も含めて――盗む。……まぁ、これが一番俺らしいか。
幸いというか、当然ながらこの世界では魔法の類はない。
であれば、影のゲートといった侵入手段を防ぐのも難しい筈だし。
「ええ、ちょっと待って。取りあえず……本の類はそれなりに揃ってるから」
「分かった」
「じゃあ、私はちょっと出てくるわ。そろそろ配給を貰いにいかないといけないから」
それだけを言って、セイラは家を出て行く。
俺は本を読みながらこのUC世界の常識を勉強しつつ、配給? と疑問を抱く。
もしかして、サイド7では食料とかそういうのは配給制なのか?
まぁ、サイド7はこのコロニー1つしか存在していないらしいし、色々と問題が出てくるのもおかしくはない……のか?
取りあえずいつまでもサイド7にいる訳ではないのだから、今は気にしない。
そもそも、食事を始めとした各種の存在は空間倉庫の中に収納済みなのだから。
あー……そういう意味ではセイラを出掛けさせる必要もなかった。
まぁ、単純に今日出会ったばかりの男と一緒の部屋にいるのが気まずかったり、もしくは俺から得た知識を整理する時間が欲しかったのか……はたまた、シャアについてどうするのかを考える必要があったのか。
それらの理由はともあれ、セイラにも色々と考える時間が必要なのは間違いない。
ああ、それとも俺と接触した事で急激に上がったニュータイプ能力についての考察か?
この辺も、しっかりとしないといけないんだよな。
もし俺が触れただけでニュータイプは軒並みその能力が上がるんだとすれば、迂闊に握手も出来やしない。
……俺の穴だらけの知識の中でも、アムロ・レイがこのサイド7にいるのというのは分かる。
そうである以上、一度接触してみるべきか。
上手くいけば、このUC世界でも最強のパイロットの1人を味方に引き込める可能性がある訳だし。
そうだな、今日……は色々とやる事があるし、明日にでもアムロと接触して、それからサイド3に向かうとしよう。
「シャア・アズナブルとアムロ・レイ。それに、セイラ・マスか」
改めて、俺の中に残っている知識を何とか考える。
もしかして、SPを増やせば、穴だらけの知識が回復したりしないのかと思いながら。
ただ、俺が持っていた大量のPPは、ニュクスとの戦いで……
「え?」
自分のステータスを見た瞬間、俺の口から間の抜けた声が出る。
自分でもそう思うのだから、もしここにセイラがいれば、間違いなく笑っていただろう。
そう言えば、セイラの笑みは見た事がなかった……そう現実逃避しつつも、その意味がない事は俺自身が一番理解していた。
なので、改めてステータスを見る。
そこに表示されている、俺の習得したスキルの一覧。
その中には、間違いなく念動力 LV.11と表示されていた。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:5
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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