異世界にやってきた俺は、チート能力を駆使して全力でスローライフを楽しむ!
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不安
俺たちの乗ってきた馬車に戻ると、まだ馬車の親父さんは戻ってきていなかった。
そのため、近くで軽い揚げ菓子……リンゴのような果実の周りにドーナツの生地がついていて砂糖が振られたものを購入して食べる。
果実の甘味と生地が以外にあっていて美味しかった。
そうしているうちに御者のおじさんが戻ってきて、子供に風邪薬を渡してきたと言われた。
後は早く俺達を送り届けて今日は店仕舞いであるらしい。
そういった話を聞きながら俺たちは馬車に乗って都に行く。
エイダがどことなくソワソワしているようだが、やはり今回の件がなんとかなるといいと思っているのかもしれない。
とはいえ、今の時間から考えていくと……。
「夜に都に着く感じか」
「そうなるわね。……一泊してから城に向かった方がいいかしら。夜は、城の周りから様子が見えないから、昼間に一度様子を見て……」
エイダがそう言ったことを言い出したので俺は、
「ミシェルがすでに入り込んで“解決”しているなら、城に大穴が開いているだろうから夜でも……今日は雲も晴れているし、その程度は確認できるだろう」
「……大穴?」
エイダが俺の答えに、予想外らしくそう呟いている。
だが俺にとってのミシェルとは、そういった存在だ。ただ、
「エイダがミシェルに会ったのだから、時期を考えるともうすでに“城”にたどり着いて“力技”で解決していそうなんだよな。それがもしも、されていなかったら……」
そこで俺は言葉をきる。
ミシェルに何かあったのではないだおうか?
あのミシェルに何かあるレベルの出来事。
そして今いる監視役達。
俺の中に以前の世界の事がよみがえり、警戒心が沸く。
これまで出会った怪物たち、“闇ギルド”の持つあれらはこの世界では何らかの改良が加えられているようだった。
一応は俺でも倒せるようなものばかりだったが、もしかしたならミシェルすらも……“苦戦”するようなものもあるかもしれない。
「……無事だといいが」
「なにが?」
つい口に出してしまった俺の言葉にエイダが反応する。
だから俺は、
「もしミシェルも……一応は人間だから、もしものことがあるかもしれないとふと思っただけだ。いや、気のせいだな。あれは殺しても死なないタイプだ」
「……普通に心配してあげてもいいのでは?」
俺の答えにエイダが呆れたように言うので俺は首を振り、
「今、冷静に考えてそれはないなと思った。あいつをどう倒せるか、まったく想像つかない」
「そ、そう」
「そうなんだ。……考えるだけ無駄だ。少し寝る。監視の“闇ギルド”の連中も俺達をつけているだけで何もしてこないから……まだ城は落とさていないのか、そこで決着をつけるつもりなのか……寝よう」
俺はぼんやりとそう告げてから目をつむる。
起きていると余計なことを勘がてしまいそうだから。
もしもの事は、ミシェルに限っていえば約99.9999%あり得ないと俺は思っているが、最悪事態もありうる。
今回は俺も心して挑まないといけない、そう俺は目をつむり、眠る。
そして、雲一つない月夜。
ようやく俺たちは都市にたどり着いたのだった。
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