恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第六十九話 徐庶、徐州に来るのことその五
「人を滅ぼそうと考えるようになったんです」
「そういうことだ」
「文明と自然を対立するものと考えている」
「それがオロチなんですね」
孔明と鳳統はオロチのその考えを理解した。
「ううん、人間は自然の中にはいない」
「そういう考えですか」
「オロチの考えは頷けるか?っていうところもあるさ」
「ない訳ではない」
二階堂と大門はオロチのその考えを完全に否定しなかった。
「けれどな。こっちも滅びる訳にはいかないんだよ」
「オロチの一存でだ」
「よくいるんだよな、そういう奴がな」
ロックはいささかシニカルに話す。
「人間さえいなければ地球、この世界がどうとか言う奴がな」
「何かそれって」
「結構傲慢な考えです」
孔明と鳳統は眉を顰めさせた。
そのうえでだ。彼女達はこう言うのだった。
「自分が人間を超えた存在みたいな」
「傲慢な神様みたいですね」
「だからそういう考えは嫌いだ」
ロックははっきりと言い切った。
「五流の悪役の言葉だ」
「どっかの首相が言いそうですね」
真吾は自分の世界のことを思い出して話した。
「訳のわからない科学者とか」
「あの、政治をする人がそれ言ったら」
「お話にならないですけれど」
孔明と鳳統は今度は呆れた。
「だって。政治は人間の世界のものですから」
「そんなことを言ったらもう」
「だろ?本当によくわからない奴なんだよ」
その人間がだと話す真吾だった。
「俺の世界じゃそうした人間もいるんだよ」
「そして政治に携わっているんですか」
「恐ろしい話ですね」
「とにかくだ。そのオロチがだ」
草薙がここでまた話す。
「蠢いているかもな」
「そう考えて間違いないわ」
神楽がその草薙に告げた。
「この世界でもね」
「そうか、そういえばあんた前言ってたな」
「そうよ。あの時はまだ確信していなかったけれど」
「今は違うか」
「ええ」
その通りだとだ。草薙に対してこくりと頷いてみせる神楽だった。
「そうよ。今はね」
「あの三姉妹の反乱もあれか?」
「関わっているわね」
それも間違いないというのだ。
「バイスとマチュアかしら」
「あいつ等かよ」
草薙はその二人の名前に眉を顰めさせた。
「八神に殺されたと思ったんだけれどな」
「生憎。彼女達も生命力が強いから」
「しぶとい奴等だな」
草薙はこう評した。
「ったくよ、面倒な話だぜ」
「面倒でもね」
それでもだと話す神楽だった。
「実際に動いているとなるとね」
「俺達がやることは一つだな」
「そういうことよ。この世界でもね」
「やるか」
草薙の目に強い光が宿った。
「奴等を。全員薙ぎ払ってやる」
「はい、じゃあ俺も」
真吾もここで元気よく言う。
「草薙さんと一緒に頑張りますから」
「しかしあんたってよ」
「そうだな」
馬超と趙雲がその真吾に声をかける。
「炎出せないだろ」
「それは無理だったな」
「いや、絶対に出せるからさ」
本人はあくまでこう言うのである。
「絶対にな、できるよ」
「そうか?」
「何時かはできるようになるのか」
「ああ、できるんだよ」
彼も確信している。それは確かだ。
しかしだ。草薙は馬超と趙雲にだ。そっとこう囁くのだった。
「火を出せるのは俺の一族だけなんだよ」
「じゃあ特異体質か」
「そういうものなのだな」
「ああ、だからあいつは出せないんだよ」
ここで真吾をちらりと見る。
「あいつには言ってないけれどな」
「言えないか」
「夢を奪う訳にはいかないか」
「何かそのうち出せるようになるかも知れないしな」
草薙は実はそうした風にも思いはじめていたりする。
「だから言わないようにしているんだ」
「そうか」
「そういうことだったか」
「まあ悪い奴じゃないしな」
今度は真吾のその人間性について話す。
「だから俺も色々と教えてるんだよ」
「成程なあ」
「そういうことか」
「しかし。オロチの奴等がこの世界にいるとなると」
「何かと厄介な話になる」
二階堂と大門もその顔を曇らせている。
「あの連中が何処に潜んで何を企んでいるか」
「それが問題だが」
「多分」
「あの場所です」
孔明と鳳統がまた話す。
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