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ドリトル先生と和歌山の海と山

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第十幕その三

「こしあんを生麩で包んだお饅頭で高野山名物の一つだよ」
「そうなんだ」
「そういえばはじめて見るお菓子よ」
「これも美味しそう」
「何かと食べるもの多いわね」
「名物の食べものが」
「そうだね、ただここはね」
 高野山のことをさらにお話した先生でした、先生はもう一つのデザートである弥勒石饅頭も見ています。
「山の奥でしかも修行する場所だね」
「食事は限られていたんだ」
「そうだったんだね」
「だから高野豆腐なんだね」
「こうしたものもあるのね」
「そうだよ、ここはね」
 まさにというのです。
「昔はそうした山の中にあったから」
「新鮮な食べものは手に入りにくくて」
「乾燥させたりした保存の効くものばかり食べてて」
「こうした食べものが多いのね」
「そうだよ、そして精進料理だよ」
 このこともお話した先生でした。
「仏教だからね」
「そうだよね」
「このこともだよね」
「高野山のお料理もね」
「お寺のものだから」
「そうだよ、そうなっているよ」
 まさにというのです。
「ここではね」
「成程ね」
「こうした独特のお料理になったのもね」
「高野山だから」
「お寺だからなのね」
「そうだよ、あとこれもあるよ」
 こう言って飲みものも出した先生でした。
「般若湯もね」
「それお酒でしょ」
「お酒だよね」
「名前は違っても」
「そうだよね」
「そうだよ、お酒だけれど」
 先生もこのことを否定しません、元々嘘は言わない人ですがこの時もそうではっきりと言いました。
「仏教ではこう呼んでね」
「お酒飲んでるんだ」
「そうなのね」
「本当は飲んではいけないけれど」
「そうした風に呼んでなの」
「食べていたんだね」
「そうだよ、だからね」
 それでと言ってです、先生は胡麻豆腐を一口食べてからです。
 その般若湯を飲んでにこりとして言いました。
「うん、美味しいね」
「般若湯もだね」
「そういうことになってるけれど」
「そっちも美味しいのね」
「そうなのね」
「うん、こちらも楽しんでね」
 そうしてと言いつつどんどん飲む先生でした。
「お風呂にも入って寝ようね」
「ううん、何ていうかね」
「先生は何処でもお酒飲むよね」
「あちこちの旅行先で飲んで」
「そして神戸にいても飲むしね」
「お酒は大好きだからね」
 学問、食べることと一緒にです。
「だからね」
「今もだね」
「高野山でも飲むんんだね」
「般若湯ということになってるけれど」
「ここでも」
「そうだよ、それぞれの地域のお酒があるから」
 名物料理と共にです。
「それも楽しまないとね」
「駄目っていうんだね」
「あから今も飲むんだね」
「そうしてるのね」
「そうだよ、いや本当にね」
 飲みつつ言う先生でした。 
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