異世界にやってきた俺は、チート能力を駆使して全力でスローライフを楽しむ!
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全体魔法
レオノーラが竜では多分、幼女? だが、水の動きを操り、この“子機”となる敵を倒せるらしい。
できるだけ現地人の能力で解決した方がいいというのもあるし、この世界の竜の力も見ておきたい。
平和ボケしているといっても、この世界にもしも彼らが来たのならば……それどころではなくなるだろうから。
といったことを俺が考えているとそこでレオノーラが、
「うむ、ここで妾が竜らしい強い力を見せてやるのじゃ! ……ちなみにうまくいったら、ソウタに頭をなでて欲しいのじゃ!」
そこで目を輝かせながらレオノーラが俺にそう言ってくる。
どうやら幼女? らしくうまくいったら褒めて欲しいらしい。
こういった所は子供っぽいと俺は思いながら、
「わかった」
「うむ、約束じゃ! さて、では妾の真の力をお見せしようぞ!」
といって、調子に乗っているようなレオノーラ。
だがその様子を見ていると俺は、何となく不安を覚える。
失敗してしまいそうなそんな予感だ。
何度かそういった経験があったから、今回も俺はそのように感じていたのだろう。
以前そういったことがあったからと言って今回もそうだとは限らない。
俺がそんな風に自分に言い聞かせているとそこでレオノーラが、
「では“水神の怒り”」
そう言って水を操る魔法を使った。
索敵情報の地図から敵の“子機”の表示が一瞬にして消え失せる。
対象物に対しての全体攻撃はうまくいっているようだった。
そこで得意げな顔でレオノーラが俺の方を見て、
「どうじゃ、妾の能力は」
そうレオノーラが言うので俺は、すごい凄いとほめながらレオノーラの頭を約束通りなでる。
レオノーラはやけに嬉しそうで機嫌よさそうに笑っている。
こうしていると可愛いなと俺が思っていると、遠くの方でド~ンといったような大きな音が聞こえた。
レオノーラが蒼い顔をして凍り付いた。
俺は嫌な予感がした。
「レオノーラ……」
「い、いや、ちょっと操作に失敗しただけで、ちょっと親玉も一緒に攻撃しようかなとか思って……も、もう止めたから大丈夫だと思う」
レオノーラが焦ったように俺に説明している。
だがこの位置だと、親玉のいる付近には民家はない。
そして“子機”はすべて倒されて、微弱な魔力を含むあの霧は随分と町から後退しているように見える。
そしてその親玉も若干だが、光が弱くなっている。
この索敵による地図に表されている光は、魔力の大きさ、つまり“強さ”に比例している。
だから今のレオノーラの攻撃が多少影響しているのが分かる。
調子に乗って、親玉まで倒してしまおうと思ったのだろう。
だがこの“親玉”は司令塔名だけに防御が子機とは比べ物にならないくらいに硬いのだ。
それで前の世界では苦戦をしていて……人的被害が沢山出ていたのだ。
だからこうやって少しでも弱められたならばレオノーラの力はなかなかのものである。
それに、と俺は思いながら、
「人に被害がなければそれでいいさ。さあ、親玉を倒しに行こうか」
「う、うむ」
レオノーラがその声に頷いて、俺達は走り始めたのだった。
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