異世界にやってきた俺は、チート能力を駆使して全力でスローライフを楽しむ!
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知り合い
手伝ってほしいと頼まれた俺。
大変なことに巻き込まれるのは嫌だ、というのは本音だ。
それに無理やりこの世界に連れてこられたのも気に入らない。
だから、ゆっくりしたかったのもある。
そしてスローライフを目指すために俺は、俺なりに考えて行動した。
それはたぶん間違っていない。
他には、見て見ぬ振りができなかった、それも間違っていない。
完全に誰ともかかわらずに何かをする、それが難しいのだからこれらは仕方がない。
やはり一番の原因は、“運が悪かった”という所だろうか。
これならあきらめがつく。
それに、この世界はまだ前の世界のように、生きるか死ぬかのほぼ二択のような切羽詰まった状況に陥ってはいない。
俺が普段生活している世界が魅力的に思えるくらい平和だから間違えそうになるが、この世界は前の世界と比べて十分に“平和”だ。
だったら、少しくらいはいいだろう……そこまで大変なことにはならないだろう、そう俺が思っているとそこでエイダが笑顔になり、
「本当! 助かったわ!」
「でも俺が危険だと判断したらひくからな」
そこだけはくぎを刺しておく。
危険すぎることには俺にとってだけではなく、エイダにとっても危険だからだ。
引き際を間違えるとそこにあるのは“死”だ。
そう思っているとそこでエイダが俺の手を握りながら頷き、
「わかっているわ。“闇ギルド”の連中に貴方が負ける光景が全く想像つかないけれど」
「……油断は禁物だ。それにその“闇ギルド”だったか? 前の世界で見たことのあるような魔法を使っていたのが気になるんだよな」
「前の世界? それって、“ミシェル”って異世界人と同じ?」
そこで、どこかで聞いたことがあるような名前の人物がエイダの口から出てきた。
俺は嫌な予感を覚えた。
この予感は当たる。
だってよくない予感は、いつも当たっていたのだから……と思って俺は凍り付きそうになりながら、
「一つお伺いしたいのですが、その“ミシェル”という人物が来た異世界の神様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
「確か、ツクヨミ、だったかしら」
俺はそれを聞きながら嫌な予感をさらに覚える。
だが、“ミシェル”という人物は何人もあの世界にいたはずだ。
だから俺はあの人物かどうか確認する作業に移る。つまり、
「それは、脳筋美少女魔法剣士の“ミシェル”だったりしますか?」
「自己紹介では、美少女魔法剣士と言っていたわね。“闇ギルド”に襲われたときに助けてもらったの。確か剣技だけで魔法を消し去ったり切り裂いているって言っていたけれど、あのからくりだけは全く分からなかったわ。魔法が発動している形跡はなかったし」
「……やっぱりあいつだ」
俺はつい、そう漏らしてしまった。
自分の事を美少女魔法剣士と言って剣技で魔法を消し去れるあの世界の人物は一人しかいない。
ちなみにもう一つ特徴があったとするなら、
「その脳筋美少女魔法剣士は、自分の事を“ボク”と言っていたりしないか?」
「ええ、そうよ」
「確定だな。あいつだ。でもあいつがこの世界に呼ばれたなら、放っておいても何とかなるんじゃないのか?」
俺はそう思ったことを口にしたのだった。
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