歌集「冬寂月」
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四十二
秋と思ゆ
夕に染まりし
木々の葉に
消えぬ想いの
痛みもぞする
真っ赤な夕暮れの紅…その燃えるような光は、木々の葉さえも、まるで秋の紅葉のように紅く染める…。
もう夏になると言うのに、何とも寂しさの増す風景だ…。
そんな風景を見ると、やはり…心の奥が疼いてしまう…。
好きなのは仕方の無いことだが…この侘しさもまた、どうにもならぬものだな…。
夏の香の
匂ふは風の
宵月の
想ひそ秘めし
年は過ぎたり
夏の香りを運ぶ風は…毎年変わらぬものだ…。
宵に見上げた月もまた、変わらずに…。
もうこの土地に越して一年…想いを秘めたまま時だけが過ぎて行く…。
これが私の…生き方なのだな…。
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