提督はBarにいる。
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春はパスタの旬の季節です。その4
筍を使ったパスタ……か。筍の魅力と言えば、あのシャキシャキとした歯切れのいい食感と、独特の風味だ。食感を活かせばクリームソースだろうがオイルパスタだろうが万能に合わせられるが、更に風味も活かすとなれば、その選択肢は難解な物になる。が、飲んでいる酒が爽やかな口当たりの物だからな。どっしりと重厚な味のパスタにしよう。
《筍とベーコンのアンチョビパスタ!》※分量2人前
・パスタ:200g
・筍(水煮):100g
・しめじ:1株
・豆苗:20g
・スライスベーコン:60g
・アンチョビ:20g
・ニンニク:2片
・顆粒コンソメ:小さじ1
・醤油:小さじ1
・塩コショウ:少々
・バター:10g
・オリーブオイル:大さじ1
さて、作っていこう。パスタを茹でる為の湯を沸かしつつ、具材の下準備から。しめじは石附を取り除いて手で細かく解す。ベーコンは1cm幅に刻み、アンチョビとニンニクはみじん切りにする。豆苗は食べやすい長さにざく切りにしておき、主役の筍は薄く櫛切りにする。
鍋の湯が煮立ったらパスタの1/10の量の塩を入れ、パスタを茹でていく。袋の表示より1分短く茹でるのもお決まりだな。
パスタを茹でている間に具材を炒めていくぞ。オリーブオイルを中火で熱し、ニンニクを入れて炒めていく。香りが立ってきたら弱火にし、ベーコンとアンチョビを加えて更に炒める。
ベーコンに軽く焼き目が付いたら、しめじと筍を加えてしんなりするまで炒めていく。パスタが茹で上がったらザルに空けて、水気をよく切ってからフライパンに移して具材とよく絡める。
豆苗を加えてサッと炒め、豆苗がしんなりしてきたらバターと醤油を加えてよく絡める。味見をして、塩コショウで味を整えたら盛り付けて完成だ。
「ほらよ。『筍のアンチョビパスタ』だ」
白露にパスタを盛り付けた皿を手渡してやると、待ちきれなかったのか右手のフォークで猛然とパスタを巻き取っていく。頬張って咀嚼すれば、シャキシャキとした筍とコリコリとしたしめじの食感のコラボレーションが口の中で広がる。そこにベーコンやアンチョビ、ニンニクの風味がガツンと効いていて食欲を増進させる。バター醤油の香ばしさもまたそれを引き立てていて良い。ただ、女子が食べるには匂いがちとキツいかとも思ったが、白露はあまり気にしない質みたいだな。それにA1の柑橘系の爽やかな香りが多少口臭を打ち消してくれているようだ。
「提督、カクテルお代わり!」
「おいおい、あんまし夜に食うと太るぞ?」
「だいじょ~ぶ!明日朝早くから他の鎮守府で演習だから!」
「尚更早く寝ろバカ野郎」
消費カロリーよりも明日の演習に寝坊しないかどうかを心配してくれ……。
「あっはっは!大変じゃねぇ提督さんも」
「笑ってねぇでどうにかしてくれよ浦風」
笑い声を上げた声の主は、空豆をツマミにビールを飲んでいた浦風だった。
「心配ないよ。ウチも明日白露と同じ班で演習に行くけん、縄付けて引き摺ってでも連れてくけぇ」
「そうか、なら任せた」
「うぉい!アタシの扱い酷くね!?」
アホな事を喚いている白露は放っておこう、ウン。
「さてと、明日も早いけぇそろそろお開きにしようかのう……提督さん、コレ残すのも勿体無いけんパスタにしてくれん?」
そう言って浦風は自分の摘まんでいた空豆の残りをこっちに寄越した。
「あいよ。ちっと待ってな」
《残り物でもOK!空豆のクリームチーズソースパスタ》※分量2人前
・パスタ:180g
・茹でた空豆:12個位
・クリームチーズ:40g
・牛乳:100cc位
・塩:少々
・ホワイトペッパー:少々
・パセリ:少々
・ハラペーニョソース:少々※無ければゆず胡椒、タバスコ等でもOK!
さて、作っていこう。まずはパスタを茹でる。湯を沸かし、パスタの1/10の量の塩を入れ、パスタを袋の表示通りに茹でる。
パスタを茹でている間にソースを作るぞ。クリームチーズは室温に戻しておき、皮を剥いた空豆とパセリはみじん切りにする。
ボウルに空豆とクリームチーズを入れ、スプーン等で潰しながらよく混ぜる。空豆とチーズがよく混ざったら、塩、ホワイトペッパー、ハラペーニョソースを加えて更に混ぜる。
牛乳を加えてペースト状になっているソースを延ばしたら、茹で上がって水気を切ったパスタを加えてよく絡ませる。ここでのポイントは、パスタが熱い内に和える事。パスタの余熱を活かしてチーズを溶かし、牛乳と馴染ませる事でクリーミーなソースに仕上がるぞ。
器に盛り、パセリを散らしたら完成だ。
「へいお待ち、『空豆のクリームチーズソース』ね」
「うんうん、いつもながら美味そうじゃ♪」
浦風は満足そうに頷くと、フォークでクルクルとソースを絡ませながらパスタを巻き取っていく。口に含めばクリームチーズの酸味と塩気に混じって、空豆の風味が広がっていく。
「ん~♪今日も提督さんの料理はぶちうまじゃ!提督にしとくのが勿体無いくらいじゃ」
「おいおい、俺が提督やってなかったら浦風はそのパスタ食えなかったんだぞ?」
「それもそうじゃ。なら、やっぱり提督さんは提督で良かったんじゃねぇ」
ケラケラと笑う浦風。浦風の周りの奴等も、ウンウンと頷いている。
「さてと、白露もそろそろお開きにせんといかんよ?」
「え~、もう少しだけ……」
「何がもう少しだけ、なのかしら?姉さん」
声のした方を見ると、店のドアの前に村雨がニッコリ微笑んで立っていた。しかし、今はその笑顔が怖い。
「明日は演習で早く起きるんでしょ?暁ちゃん程ではないけど、姉さんも寝坊の常習犯なんだから早く寝なさい!」
「うぅ、解ったよぉ……」
村雨に怒られて、ノロノロと帰り支度を始める白露。入れ替わりに村雨がカウンターに着いた。しかし今日の装いは黒を基調としたセーラー服のような制服ではなく、ラフで動きやすそうな私服だった。
「どうした?今日は。ちょっとお洒落じゃないか」
「うん、今日は非番だったし街に買い物にね。……ホラ、改二になったら服のサイズとか……その、下着のサイズとか合わなくなってて」
「成る程、胸がデカくなったからブラを買いに行ってたのか」
俺がニヤリと笑ってそう言うと、
「その通りだけど、私がぼかして言った意味ないじゃない!」
と顔を真っ赤にして怒ってきた。正直可愛いと思った。確かに、改二になって胸やら尻やらがボリュームアップして女子からオトナの女にグッと近付いた感じがする。
「そういうのってセクハラに当たると思うんですけど?」
「でも嫌いじゃないだろ?」
俺がそう言うと、村雨は更に赤くなって俯いてしまった。こういう場合、沈黙はYESと取って相違ないよな?
「……提督のスケベ」
「スケベで結構。性欲は人間の根元的欲求だ」
そもそも、俺からスケベ心を取ったら死ぬかも知れんぞ?
「そ、そんな事より!晩ご飯まだだからお腹空いてるの。春っぽい、ちょ~っといいパスタ、お願いね?」
「へいへい」
さて、何にするかな。
後書き
今回で450話に到達しました。いつもの企画の方、準備しておきます。
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