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レーヴァティン

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第五十二話 水の都その四

「ですが先程お話した通り」
「共和制は商業が発達した街でか」
「出て来ていました、そしてそれはこの島でも同じで」
「このヴェネツィアもか」
「商業都市なので」
「共和制になってるんだな」
「そうなのです」
 順一は運河を進むゴンドラを見つつ久志に話した。
「この街は」
「成程な、街の在り方で政治システムも変わるんだな」
「地域によっても変わりますね」
「ああ、何かとな」
「そういうことです、そしてこのヴェネツィアがどういった街か」
「今から見て回ってな」
「頭に入れていきましょう、今後の為にも」
「それでそれからか」
 久志もゴンドラを見た、舟は人を乗せ静かに運河を進んでいる。
「ミラノに行くんだな」
「そうなります」
「そうか、じゃあミラノに行く前にな」
「この街を見ていきましょう」
「ここにいる全員でな」
 久志は順一に笑みを浮かべて応えた、そうしてだった。
 一行は港の出口に停まっていたゴンドラに乗った、舟を動かす親父には久志が言った。
「街を一通り見たいんだけれどな」
「どの運河も通ってかい」
「ああ、一周じゃなくてな」
「街の大体の場所を見たいか」
「そうしてくれるかい?」
「いいぜ」
 親父は久志に笑って答えた。
「それじゃあな」
「今からだな」
「街回るぜ、回ったらな」
 親父は久志にそれからも話した。
「今からだと夕方だな」
「そうか、じゃあいい宿屋も紹介してくれるかい?」
 久志は親父にこうも言った。
「そうしてくれるかい?」
「いいぜ、じゃあ最後はな」
「宿屋を紹介してくれるんだな」
「そうするな、この街はいい宿屋が多いけれどな」
「その中でもか」
「値は張るがいい宿屋があるんだよ」
「じゃあそこを頼むな」
 久志は親父にここでも笑顔で話した。
「最後に行くのは」
「そうするな」
「それじゃあな」
「行くぜ」
 親父は舟賃を受け取るとすぐにだった、舟を進ませた。ゴンドラは街の運河、建物と建物の間や橋の下を進んでいく。
 そのゴンドラから街を見てだ、淳二はこうしたことを言った。
「何か不思議だね」
「ああ、海に街が浮かんでるみたいなな」
 芳直が淳二に応えた。
「そんな感じがするな」
「こうしてゴンドラで回ってるとね」
「こんな街他にないだろうな」
「そう思うよ、湖の中に浮かんでいる」
「そんな街だな」
「ははは、ここは実際は沢山の島が集まってる場所でな」
 親父は舟を動かしながら二人に笑って話した。
「その島の上に建物を建ててな」
「運河や港も造っていった」
「そうした街なんだな」
「そうさ、だから水に浮かんでいるっていうとな」
 二人が言ったその言葉はというと。
「そう言っても外れじゃないさ」
「島が湖の上に浮かんでいる」
「そんな風か」
「そうさ、それがこのヴェネツィアなんだよ」
 この街だというのだ。
「島と島の集まりさ」
「成程ね、ただゴンドラがないと移動は」
「かなり難しいんだよ」
 これがというのだ。 
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