レーヴァティン
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第五十二話 水の都その三
「そうなるべきです」
「それが政治だな」
「はい」
順一の返事は即座にかつ率直なものだった。
「国力を備えそうしてです」
「強い軍隊も出来るな」
「その通りです、ですから」
「戦争もな」
「政治からであり」
「そしてだよな」
「戦争も然りです」
資金と食料がなければというのだ。
「その二つがあってこそおです」
「その通りなんだよな、やっぱり」
「ですから」
「何においてもこの二つです」
資金と食料だというのだ。
「幾らあっても足りないものですし」
「いつも頭の中に入れてな」
「そのうえで政治も戦争もしていきましょう」
「旗揚げしたら本格的にな」
「そしてその意味でもです」
「ヴェネツィアは大事な場所になるな、港にいるだけでな」
この港にだ、まさにそれだけでだった。
「船も人もものも多くてな」
「大変な賑わいですね」
「ここは豊かな街だよ」
「大商人も多くいます、そして」
「その大商人の力が強いか」
「そうした街です」
順一は久志にヴェネツィアの特色も話した。
「この街は」
「領主様とかいなくてか」
「商人達の合議制によってです」
「政治やってるんだな」
「その中から選挙で市長も選んでいます」
「つまり共和制か」
久志はこの街がどういった政治システムかもわかった。
「そうなんだな」
「はい、その通りです」
「そうか、この世界にも共和制あるんだな」
「はい、ただ」
「少ないよな」
「大抵は領主が治めています」
「街なり地域なりをな」
「そうです、君主制ですね」
領主を君主として見ての言葉だ。
「世襲の」
「やっぱりそうだよな」
「商業が発達している都市なら」
それならとだ、順一は久志に話した。
「そうした街もあります」
「昔の日本で言うと堺か」
「はい、あの街もそうですね」
「だよな、商業が発達して商人の力が強いとな」
「市民と言ってもいいですね」
「市民だよな、その市民が強いとか」
「共和制にもなります」
俗に言うこのシステムの国家になるというのだ。
「古代ギリシアの都市もそうでしたね」
「アテネとかな」
「ローマも商業都市ではなかったですが」
あまりにも有名なこの都市もというのだ。
「共和制でしたね」
「あそこは王様追い出してだよな」
「共和制になりました」
エトルリア人、異民族の王が君主であったのだ。だがローマ市民はこの王を追い出して自分達の街としたのだ。
「そうなりました」
「そうだったよな、あそこは」
「はい、それは歴史にある通りです」
順一は久志に話した。
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