レーヴァティン
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第五十二話 水の都その一
第五十二話 水の都
一行はハンブルグから川でヴェネツィアまで向かい船旅を楽しんでいた、途中何度かモンスター達も出て来たが。
これといって苦戦せずにヴェネツィアまで着いた、久志は船からヴェネツィアの港に降り立ってまずはこう言った。
「何かここまでな」
「すぐだったね」
「ああ、本当に船だとな」
隣にいる剛に応えて言った。
「あっという間だな」
「順調に昼も夜も進むからね」
「馬で進むよりもな」
「早く行けるんだよ」
「そうだな、だからものを運ぶにもな」
「船は便利なんだよ」
「しかも量も多く運べるしな」
馬を使う以上にだ。
「だから船はいいな」
「流通には欠かせないね」
「そうだな、それでな」
久志は剛にさらに言った。
「ヴェネツィアに着いたからな」
「だからだね」
「ここからミラノか」
獣使い、八人目の仲間と思われる者がいる街のことも話に出した。
「そこに行くか」
「そうなるね、ただね」
「ああ、折角ヴェネツィアに来たからか」
「この街も見て行かない?」
剛は久志に素朴な笑みで答えた。
「そうしない?」
「そうだな、これからな」
「この街は商業で栄えているからね」
「この島を治めるにあたってな」
「絶対に重要になるから」
そうした街になるからだというのだ。
「よく見て行こう」
「そうだな、いい機会だしな」
久志は剛のその提案にその通りという顔で頷いて応えた。
「街の中を見て回るか」
「そうしようね」
「この街は拙者達の世界のヴェネツィアと同じでござる」
今度は進太が久志に話してきた。
「やはりです」
「あれか、街中を運河というか水路が巡っててか」
「船、ゴンドラで移動します」
「むしろそっちが移動のメインだな」
「そうでござる」
起きた時の世界のヴェネツィア、あの街の様にというのだ。
「橋もあるでござるが」
「あんまりにも水路が多くてか」
「ゴンドラで移動するでござる」
「そうしていくんだな」
「ではでござる」
剛は久志に微笑んで話した。
「これより。見回るならでござる」
「ゴンドラに乗ってか」
「そうするでござるよ」
「わかったぜ、じゃあここはな」
中世のイタリアを思わせる街並みだ、そしてその街並みの間に水路が見える。港から街に入るところからそうなっていた。
「ゴンドラに乗るか」
「そうするでござるな」
「そしてな」
久志は剛にさらに言った。
「ミラノに行く前にな」
「この街を知っておくでござるな」
「何処で旗揚げして戦うにしろ商業が盛んな街もな」
「重要でござるよ」
「金がないと戦争も出来ないさ、そしてな」
「政治もでござるな」
「出来ないからな」
だからだと言う久志だった。
「金がないとな」
「何につけてもでござる」
「まず金だな」
「そして食べものでござる」
進太はこれもと言った。
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