蒼穹のカンヘル
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二十六枚目
トンッとクレーターを飛び越え、黒歌の前へ立つ。
「じゃ、ちょっとついてこい」
「え?」
黒歌の腕を掴み、空間転移。
出た先は勿論領地管理室だ。
「ヴァーリ、戻ったぞ」
「…………変態」
ぐっはぁ!?
「にゃ?おい、セラフォルーのクイーン。
この女の子は誰にゃ?お前の番かにゃ?」
「つっ、つが、番じゃない!」
「まぁ、どうでもいいにゃ。
おい、セラフォルーのクイーン。
ここで何をするにゃ?
私を罠に嵌めようというならこっちにも考えがあるにゃ」
「あー…待て。取り敢えずセラフォルーの所行ってくるから待ってろ。
ヴァーリ、来るか?」
しかしヴァーリはそっぽを向いている。
はぁ…女心ってわかんないなぁ…
なぁ、どう思うよセルピヌス?
『知らん。自分で何とかしろ』
はいはい…
「じゃぁ、すぐ戻る」
セラフォルーの紋章が書かれた印章紙を使い、執務室へジャンプ。
「あれ?どうしたの少年?まだ15分も経ってないよ?」
「ああ、少し侵入者が居てな。その件で話がある」
「何々?下級堕天使が侵犯でもした?」
「いや、悪魔だ。一人を残して全て殺した」
「へぇ…なかなかやるじゃん」
さて本題だ。
「その一人がS級はぐれ悪魔でな。
そいつの"はぐれ"認定の解除をして欲しい」
「名前は?」
「黒歌。主は知らんが駒はビショップ二つ。
転生前の種族は猫又。
それと白音という妹が居るからそっちの保護も頼みたい」
「黒歌…黒歌…あぁ…四日前の事件の容疑者ね」
「頼めるか?」
「んー……別に構わないよ。だけど、少年が全ての責任を持つという条件が付くよ」
責任…つまり…
「その時は俺が黒歌を殺す…という事か?」
「勿論」
「いいだろう。それと、妹の保護はサーゼクスに頼むといい。
それがこの悪魔界にとって最良の結果をもたらす筈だ」
「またかい?君には未来視の能力でもあるのかな?」
「いや、無い。だけどわかる」
「ふーん…じゃぁ、サーゼクスちゃんに頼む事にするよ」
「あっさり信じるんだな」
「んー?その方が面白そうだしね☆」
快楽主義者め…
「あぁ、それと…奪ったイーヴィルピースって勝手に使っていいのか?」
「ふふふ…なるほど。力が増してるのはそういう事なんだね…
大丈夫。イーヴィルピースは"キング"に登録した悪魔しか使えないから。
君には"扱えないはず"だから」
「これは良いことを聞いた…」
手を広げ、その上に奪ったイーヴィルピースの力を顕す。
それぞれの駒は、エメラルドのように輝き、龍の意匠へ変化していた。
「つまりこれは俺の物にしてもいいって事だよな?」
「勿論だよ。魔王はレーティングゲームはできないからね…
君がどれだけ駒を奪い、力を得てもだぁれも気づかないよ☆」
「そうか。じゃぁ、俺は戻る。
仕事の邪魔して悪かったな」
「ふふ、対価はまた今度…そうだねぇ…
レヴィアたんに出てくれたらいいよ☆」
「……………………………いい、だろう」
【ロスト】
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