普通だった少年の憑依&転移転生物語
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【ハリー・ポッター】編
240―Ex.ちょっとした閑話集
<名前の由来>
SIDE ロナルド・ランスロー・ウィーズリー
「ところで、何で≪プロメテウス≫なの?」
簡単ながら開催された≪プロメテウス≫結成パーティーで、一員であるジニーからそんな質問が飛んできた。
「そもそもプロメテウスってのはギリシャ神話の神でな。〝プロメテウス〟は〝先見の明の者〟って意味があって、それに肖ったんだ」
「へぇ、詳しいわね」
アニーからのからかう様な視線は無視しながらジニーの問いに答えてやる。……男はいつまで経っても中二病なのだ。異論は多々あるだろうが、少なくとも俺は諦めて自身が中二病であることを自覚した。
「プロメテウスにはエピメテウスって弟が居て、こいつもまた神様なんだが〝エピメテウス〟は、プロメテウスとは真逆で〝後悔の暗の者〟って意味があってな。……どっかで聞いた事無いか?」
「あっ、ファッジやアンブリッジのことね!」
「〝お誂え向き〟だろう?」
「……あの二人が〝後悔〟なんて高尚な行為してくれるかは判らないけどね」
「くっ…ははははは! 確かに言えてる。アニーに一本取られたな、こりゃあ──ははははは!」
「「「「「あっははははははははははは!!!」」」」」
≪プロメテウス≫のメンバー達の爆笑が〝在ったり無かったり〟部屋に響く。その時の俺は、俺、アニー、ハーマイオニーの3人が卒業するまでに≪プロメテウス≫のメンバー数が何倍にも膨らむとは夢にも思っていなかった。
SIDE END
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
<夢での再会>
SIDE アニー・リリー・ポッター
(……さてさて、ここは何処か…)
【ゴドリック谷】にてヴォルデモートから〝死の呪文〟を喰らったら、【ドラゴンボール】の【精神と時の部屋】みたいなだだっ広い空間に居た。……何故か真っ裸で。
前世の男の身体であったならまだしも、今のボクは身も心女性のそれだ。……ゆえに羞恥心は多大なモノであったのだが──何とも不思議な事に、次の瞬間には先ほどまで【ゴドリック谷】で着ていた衣服を装着していた。
(……っ!)
軽く〝もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ〟などとポルりたいところであったが、数分〝この空間〟について色々と考察していると、何となく〝この場所〟がどういう場所なのか判った気がした。
「……夢と現の狭間──或いは一種の明晰夢とかかな?」
――「ほっほっほっ、概ね正解じゃ」
「〝幻想世界〟って可能性も──うきゃ!?」
一旦〝この空間〟について、色々と仮定していると背後から聞き覚えのある、聞こえるはずのない声が──故人であるはずの、ダンブルドア校長先生の声が聞こえて、思わず変な声をあげてしまう。……無意識下の考察を聞かれてしまっていた。普通に恥ずかしい。
羞恥心に悶え、遠き地にて闇に沈んでしまいたくなりながら後ろを振り返れば、そこにはやはりアルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドアその人が。
……そこでふと違和感に気付く。
ボクはロンみたいに仙術こそ使えないが、≪プロメテウス≫のメンバーの中でも一定の水準に至っていると自負しているので、〝魔法ケイドロ〟で培った〝気配察知〟には自信がある。
だから、〝背後の気配に気付かない〟なんて、〝まずあり得ない〟のだ。
(……んー、だとするとダンブルドア校長先生がいきなり〝現れられた〟のは、〝ボクが許した〟から? ……うん、そういうことにしておこう、そうしようっ)
ダンブルドア校長先生がいきなり現れた件については、無理矢理そう納得付けた。
……希望的観測でしかないが、全裸を見られてしまった可能性があるのだ──そう思い込まないとやっていられなかった。
閑話休題。
それから4つ、5つ──トレローニー先生の、〝予言〟解釈についての話や〝死の秘宝〟、ヴォルデモートの〝うっかり〟についての話をしたりしたあと、〝気になっていた事〟をダンブルドア校長へ投げ掛けてみる。
「あ、そういえば校長先生、訊きたい事があるんですが」
「何かな、アニー」
「……遺言の〝アレ〟、本当に良かったんですか?」
「アニーの云う〝遺言の〝アレ〟〟とは──もしかしなくても〝“賢者の石”の製法〟のことかの?」
「はい」
ボクは短い首肯で返す。……ダンブルドア校長先生の遺言に書かれていた暗号──単純なたぬき暗号と鏡文字の複合暗号を解読して見れば、何とそこには〝“賢者の石”の製法〟が記されていて、解読した時の驚きは今でも鮮明に思い出せる。
「構わぬ」
しかしダンブルドア校長は、あっけらかんと宣う。
「ボク達が“賢者の石”を悪用したりとか…」
「それは無いと儂は信じておる。……ニコラスとペレネレも長生きしているのじゃ──君達3人が長生きする事についてもそう悪いことではないじゃろう」
「……いや、フラメル夫妻みたいに600年とか生きるのはちょっと…」
「ほっほっほっ、儂の思っていた通りの答えじゃ。……しかし、そうでは無いのがヴォルデモートなのじゃ──知っての通り、あの者は〝死〟と云うモノを多大に恐れておるからの」
ダンブルドア校長先生の云う通り、確かにヴォルデモートは〝死〟と云うモノを恐れている。
……とそこで、〝ヴォルデモートは〝行き着く先〟で誰一人として居ない世界でも寂しくないのだろうか?〟──と自問してみるも、直ぐ様それが愚問であったと悟る。
ヴォルデモートは他人を愛さない。……少しでも人を愛そうと思えるなら、そもそも〝分霊箱〟なんてモノを作ろうとは思わないだろう。
「……ボクも〝女〟である身の上ですから、〝永遠の美しさ〟と云うものに興味は多少なりとも惹かれますがね」
「しかし〝永遠に生きたい〟とは思わぬじゃろう?」
「はい」
即答。
ボクはどこぞの〝幼女を蟲に犯させる鬼畜ジジイ〟みたいに、〝世界平和〟を目指す様なロマンチストじゃない。……多分、普通の人間なら150年や200年とかで生きるのに飽きるだろう。
……もちろん、〝死〟が怖くないわけではないが…。
「〝金〟についても、君達は真に必要としてないじゃろうし──これは儂の所感にしか過ぎないのじゃが、ロンは多大なる金運に恵まれておる」
「あー…」
思わず、〝良いところを突いてるな〟と納得してしまう。ロンが身内で麻雀を始めとした勝負事にお金を賭けないのはそこに起因している。
……尤も、〝某・黒ずくめ〟から〝御無礼〟を食らった最近では、ある程度金運をコントロール出来るようになったらしいが…。
閑話休題。
(〝のみ手〟並みの頻度で出される天和──うっ、頭が…。……っ…! 身体が…っ!?)
「さて、そろそろお別れの時間じゃな」
「……ええ、その様ですね」
脳内でふざけていると、ボクの足元から身体が透けていくのが判った。……ダンブルドア校長先生の云う通り、目覚める時がきたのだ。
ダンブルドア校長先生が言うには、〝一方がもう一方を殺さねばならぬ〟と云うトレローニー先生の〝予言〟通りで──〝ボクがヴォルデモートを殺さない限りは〟逆説的にボクはヴォルデモート以外には殺されないらしく〝杖〟の関係上、ヴォルデモートが自らボクを殺す事が難しいらしい。
「また会おうぞ、アニー・ポッター」
「アルバス・ダンブルドア、貴方の黄泉路に幸多からんことを」
ダンブルドア校長先生が消えるのを確認してからぐっと湧いてきた浮遊感に身を任せる。そしてボクはトレローニー先生の〝予言〟通り、ロンと共に本懐──ヴォルデモート卿に完全なる滅びを与えるのであった。
SIDE END
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
<19年後>
SIDE ロナルド・ランスロー・ウィーズリー
2017年9月1日。時計は10時50分を示していて、例年通り〝9と4分の3番線〟のホームはホグワーツへ行く生徒でごった返している。
「……んじゃあ、次会うとするならクリスマスだな」
「行ってらっしゃい、早く行かないとコンパートメントが埋まっちゃうよ」
「また手紙を送るわ」
子供たちに声を掛ける俺、アニー、ハーマイオニーの三人。昨晩パーティーを開催していても個別に声を掛けたいところだが、この場にホグワーツへ行く〝俺の子〟は計6人。……時間が怪しいので簡単ながらの挨拶だ。
〝お辞儀さん〟の討滅から約二十年──十九年が経過している。
[二十年]。こうして文字にしてしまうと実に短いが、日本では産まれた子供が成人する年齢で、17歳で成人となる魔法界では手が早い者なら、子をもうけていてもおかしくない歳月だ。……事実、俺もホグワーツを卒業してからそう時を置かずアニーとハーマイオニーに子供を産ませたし、それぞれの一番上の子は今年ホグワーツを卒業だ。
アニーとハーマイオニーとの最初の子は、ハーマイオニーが先でそれからアニーの子が大体5ヶ月違いで産まれていて、ハーマイオニーとの子がローズと云う名前の、〝瞳以外はまんまハーマイオニー〟な女の子で。アニーとの合の子は何の因果か──〝赤毛〟と云うウィーズリーの特徴こそ持っているが、アニーの父であるジェームズ・ポッターそっくりとなった。名前はかつての友人に肖り、ウェールズと名付けた。
……ちなみに、二人の姓だが実は変えてもらっていない。所謂〝内縁の仲〟と云うやつで、住んでいるところも一緒だったりする。いつぞやと同じ様に〝別魅〟と“己が栄光の為でなく(フォー・サムワンズ・グロウリー)”の悪用で荒稼ぎし、そのお金で手頃な土地を買い、そこにそこそこ立派なマンションを建てて最上階の一フロアと屋上を抑え、そこで共に住んでいる。
……尤も、マンションの住人達には俺達三人の仲は公然の秘密扱いだったりする。変に隠そうとしたりすると逆に目立ってしまうので、ある程度開けっ広げにしてある。……女性には白い目で──男性にはどこか呆れた様な目で見られるが、それはある種の対価だろう。
閑話休題。
「さぁ、帰ろうか」
「うん」「ええ」
〝ホグワーツ特急〟で運ばれていく子供たちを見送り、帰りの支度を整える。
(はぁ~…)
二人に悟られないように内心でため息。
欺瞞に洗脳に殺人など、【ハリー・ポッター】を円満に終わらせるために色々とやったものだが、これでとりあえず〝【ハリー・ポッター】と云うお話〟の幕は落ちたと云えるだろう。
(でも…)
しかし、両隣を連れ歩く二人の愛すべき女性と、来年再来年再々来年にホグワーツへの入学を控えている子供たちを見れば、気を抜くに抜けない。
確かに〝【ハリー・ポッター】と云うお話〟の幕は降りたが、俺達の〝人生〟と云う物語は続いていくのだ。
SIDE END
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