| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

初レギュラー

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第七章

「当然写真出す時もよ」
「ツイッターでもブログでも」
「結婚したら指輪するけれど」 
 左手の薬指、そこにだ。
「外しておいてね」
「そうしてなんですね」
「結婚は隠してね」
「三十までに」
「何なら三十過ぎても隠してもいいから」
「そういえば何かこの業界って」
 有紗も由美に言われて気付いた、そしてちらりと由美の左手の薬指を見るとちゃんと指輪が光っている。
「言わない人多いですね」
「結婚してることはね」
「それどうしてって思ってたんですが」
「ファンの人で怒る人もいるから」
 応援している声優が結婚すればだ。
「それだけでね」
「何かアイドルみたいですね」
「だからアイドル声優っていうのよ」
 この言葉があるというのだ。
「わかったわね」
「そういうことですか」
「そう、アイドルと一緒でね」
「交際していることは隠して」
「結婚もね」 
 若しそうしてもというのだ。
「くれぐれもよ」
「わかりました、それじゃあ次のお仕事もですね」
「オーディション受かってるし」
「主役のお友達のあの役が」
「もう一つ受かってるからね」
「そちらもですか」
「そっちは主人公の妹役よ」
 そうした役だというのだ。
「じゃあそっちもね」
「はい、頑張っていきます」
「そうしてね」
 笑顔で言う由美だった、そのうえで有紗と仕事についての話をしていった。有紗は初デビューの作品で評価を上げた。
 そしてイベントやグラビア、キャラクターソングでも人気を上げアニメも好評で二期も決定した。そうして由美に笑顔で言った。
「あの役が来て本当によかったです」
「有紗ちゃんにとってターニングポイントね」
「はい、あの役に出会えてこそ」
 満面の笑みで話していく。
「今の私があります」
「そうね、じゃあ二期でもね」
「頑張っていきます」
 その役をというのだ、こう話してこの日も仕事に励むのだった。


初レギュラー   完


                  2017・10・14 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧