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オズのトロット

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第四幕その四

「ご馳走を食べよう」
「海で食べるのもいいものよ」
 笑顔で言ったトロットでした。
「そちらもね」
「そうですよね」
「海でのディナーとかも素敵ですよね」
「船旅の醍醐味です」
「じゃあ海に出た時もですね」
「楽しめますね」
「そうよ、それでここはね」
 トロットは記念館、オズマがかつて住んでいたそのお家のお話に戻しました。本当に質素なお家なのですが。
 そのお家の中を見回してです、また言うのでした。
「今は誰も住んでいないの」
「だから記念館にもなっていますね」
「誰も住んでいないから」
「だから記念館にもなってますね」
「けれど奇麗ですね」
「よくお掃除がされていて」
「時々近くの人がお掃除をしてくれているの」
 だから奇麗だというのです。
「皆オズマが大好きだから」
「オズの国の人だから」
「だからですか」
「オズマ姫が大好きで」
「好意で、ですね」
「お掃除をしてくれているんですね」
「そうよ、全部ね」
 まさにというのです。
「オズマの人徳故よね」
「オズマ姫程好かれる人はそうそういないよ」
 モジャボロもオズマのことをこう言います。
「こう言うとトロット達もだけれど」
「心根がとてもよくて明るいからね」
 それは何故かと言ったのは教授でした。
「だからだよ」
「そしてそのオズマ達を見ているとね」
「我々もかくありたいと思って」
「自分の悪いところをなおしていく」
「そうなっていくね」
「そうだね」
 その通りとです、キャプテンも二人に同意して頷きます。
「わし等にしても」
「私も以前はね」
 教授は昔のご自身のことを思いました。
「知ったかぶりをしたりお話していて急にそっぽを向いて本を読む」
「よくそうしていたね」
「今思うと甚だ失礼なことをしていたよ」
 こうキャプテンに言いました。
「けれどそれをね」
「あらためたね」
「そうしたよ」
「オズマ姫達を見てだね」
「そうしたよ」
 まさにというのです。
「今はね」
「そう、悪いところを気付かせてくれるから」
 オズマを見ているとというのです。
「余計にだよ」
「皆オズマが好きになるのよ」
 こう言ったのはトロットでした。
「本当にね、私もね」
「そうだね、自分の悪いところをね」
「なおしていっていけてるわ」
「だからオズマ姫が好きだね」
「そのこともあってね、若し私がここの近くに住んでいたら」
 宮殿でなくというのです。
「その時はね」
「奇麗にしていたね」
「ええ、お掃除に来てね」
「そうしていたね」
「絶対にね、ただ宮殿にいたら」
「お掃除はしてもね」
「それが遊びになっているわ」
 オズの国ではあらゆることが遊びになってです。 
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