ゲート自衛隊 超化学提督物語
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オリ主は基本的に温厚な人物が多いですが、たまに冷酷なオリ主も存在します
第56艦隊旗艦 『タケミカヅチ』 司令官室
「これが次に地球世界に送るやつか?」
「そうです。旧ネオチェンスター社製のM790アサルトレールガンです」
「おいおい……実弾銃なんて、完全に博物館域の中でもかなりの骨とう品の分類だろ。明らかに第一陣で無償提供した兵器と比べたら価値的に劣るだろ」
タロウはM790アサルトレールガンを構えてサキに呟く。M790アサルトレールガンは、まだ銀河歴の前の地球連邦時代の治安部隊が好んで使っていたアサルトライフルである。西暦 2300年代から2400年代まで使用された域が長いアサルトライフルとして長保されていた。地球世界でいえばベトナム戦争以降より莫大な実戦経験を得てM16が絶大な支持を得たように、M790アサルトレールガンも地球連邦治安部隊が犯罪者や宇宙海賊相手に実戦を経験した事で治安部隊より信頼を得て支持されたのだ。地球世界で例えるならM790アサルトレールガンはM16シリーズのような存在であった。
そんな傑作銃でも流石にタロウの時代では既にかなりの骨とう品扱いであり、使用している人間など余程のガンマニアでもない限りは使用しておらず、タロウも好き好んで使いたいとも思っていない。
「確かにAT-ATと比べるとインパクトに欠ける事は事実ですね」
「だろ?地上兵器のAT-AT以外に、駆逐艦のスターレット級を提供しようと考えてたんだよ」
「司令官。スターレット級といえば銀河大戦時の王政惑星連邦の駆逐艦じゃないですか。そんな兵器を地球に提供しようと考えていたんですか?」
サキは呆れた表情でタロウに呟く。
「そんなに変かな?銀河大戦時の戦闘艦なんて2000年以上も昔のポンコツだぜ。そんなポンコツ渡しても大して痛手にもならないだろ」
「問題です。司令官、西暦2000年代初頭の技術力を理解しているのですか?」
「まあ、それなりにな」
「絶対に理解していませんね司令官。貴方は自分の趣味以外の知識は本当に浅いですね。理解していないならはっきりと申し上げますが、スターレット級を地球に無償提供しても地球側は困るだけですよ」
「マジで?俺達の時代だとポンコツでも、地球世界ならオーバーテクノロジーの塊で、どうしても手に入れたいと思うだろ」
「ええ、確かにスターレット級は地球各国からすれば全てがオーバーテクノロジーの塊です。しかし、スターレット級を提供しても地球各国はスターレット級の部品の一つも模倣も出来ませんよ。よく考えても見てください、西暦2000年代初頭の地球は惑星近辺の宇宙ステーションに行くことですら国家プロジェクトなんですよ。そんなレベルの技術力の地球でスターレット級の部品を生成する事は不可能です」
「あ、確かにな」
西暦2000年代初頭の時代では太陽系すら人類の勢力圏に入っていない。未だに地球という一つの惑星が勢力圏が限界であった。無論、宇宙技術も日に日に進化はしているが、それでもやはり個人で気軽に宇宙に行くことは未だに達成できていない。何しろタロウの世界では既に旧式のスターレット級でも太陽系の範囲なら地球から冥王星にワープなしで航行しても一週間もかからないで到達することが可能である。当然のようにワープ技術も初期のものと比べてかなり高性能であり、現時点の地球ではスターレット級の部品を劣化コピー品を作る事も不可能であった。まあ、そのまえにAT-ATでも地球各国でも作ることは不可能であるが、これはタロウがあまり地球世界の技術の基盤をあまり理解していない事でもあった。
「そんな模倣もできない艦艇を与えても、置物以下の鉄くずを渡すようなものですよ」
「そうだな。まあ、しばらく宇宙船の無償提供はなしでいこう」
「その方がよろしいと存じます。下手に地球世界の列強に提供でもしましたら宇宙資源の奪い合いの戦争になりかねませんよ」
タロウはそのように決断して、出来る限りは地球世界でも少しは模倣できるレベルの武器や民間製品を提供する事に決めたのだった。
「それよりサキ。俺に何か地球以外の事で報告があったようだが何だ?」
「はい。実はその事で司令官にお伝えしたいことがありました。地球に潜伏させましたスパイロボから新たにゲートを使った痕跡を発見したと報告が入っています」
「なに?」
サキの報告にタロウは驚いた表情で呟いた。
「地球世界にゲートを扱う技術力がない事は判明しています。疑問に思い調査した結果は、我々と別の世界によるゲートを使用したことが判明しました。」
「おいおいマジかよ。それで、その勢力とは接触できたのか?」
「接触は出来ましたが、どうやら相手は地球世界に対する侵略を計画していた勢力であることがわかりました。実際に相手はこちらのスパイロボを拉致しよと実行に移そうとしました。無論、相手は強化処置もしていない生身の人間でしたので返り討ちしましたが……」
「はあ、地球侵略っていつの時代の映画の設定だよ。それよりも何で量産型のスパイロボだとしても、強化処置していない人間が挑むんだよ。ゲートを使うくらいの勢力だからスパイロボの正体くらい直ぐにわかるだろ」
そもそもどうして一惑星を侵略するためにゲートを使用する事にタロウは首を傾げた。空間を常に安定させるために精密な計算が必要なゲートを使ってまで一惑星を制圧するなんてデメリットしかない。タロウの世界で言えば、莫大な予算を使って一惑星を制圧するなんてそれこそ金を湯水のように使って捨てるような行為だからである。
「ええ、その事で私も疑問に思っていました。別のゲートを使う勢力の密偵を捕らえ『色々』な手段用いて情報を得て信じがたい事が判明しました」
色々の部分についてはタロウは深く聞かなかった。聞いて飯が食えなくなるのは嫌であるからだ。
話は戻り、サキの説明はタロウを驚愕させるに至った。別のゲートを使用している勢力は、タロウのような銀河世界の住人でもなければ地球世界のような世界の出身でもない全くの別物。それは地球世界で言えばまるでファンタジー世界のような世界の列強が、地球世界の日本の一都市の銀座の民衆の暮らしぶりを見て、この世界の住民たちは貧弱であり、いつでも制服できると判断して、その列強は軍隊を派遣する事を決定したそうだ。
この話を聞いたタロウはファンタジーのような世界が地球世界に侵略する事に驚きはしたが、次に呆れもした。
「なあサキ。ファンタジー世界は科学技術を無効化するような魔法でもあるの?」
「ありません。魔法は存在するそうですが、基本的に日常生活を便利するレベルのものが基本のようです。軍隊のレベルも産業革命前であり、12世紀や14世紀のヨーロッパのような軍隊が主力です。」
「俺は相手が日本の自衛隊に蹂躙される光景しか浮かばねえぞ」
「私も同感です」
タロウの時代より明らかに文明も武力も下であるが、地球世界の武力はファンタジー世界からすれば絶大だ。剣や槍の武装で切りつける前に、戦闘ヘリや歩兵の機関銃やロケット砲の雨によって蹂躙される光景がタロウの脳内に浮かんだ。
しばらくしてタロウはある事を思いつきニヤリと笑みを浮かべた。
「しかし、この別ゲートを使用した『帝国』という勢力は使えるな」
「使えるのですか?」
「ああ、別世界が相手ならこっちも思う存分にやれるからな」
タロウは、これからやる事をサキに説明した。サキはタロウの説明を聞いて呆れた表情だった。タロウは、これまで地球世界に対して武力行使は最低限の範囲で収めようと考えている。地球世界の列強があまりに強欲な場合は韓国のような報復措置を取るが、基本的に相手がどんな要求をしてこうよとも基本的に不干渉が前提であった。地球世界に対してある程度は遠慮しているのも並行世界とはいえ、やはり自分たちの祖先に対して武力行使を行うのは対外的に受けも悪いからだ。実際に銀河連邦上層部の命令とはいえタロウが韓国を滅亡させた事は旧朝鮮系の銀河連邦市民より非難されていた。まあ、それでも外交の一環とはいえ考えなし挑発してきたのは相手の方であるため大半の銀河連邦市民は韓国の行動に関しては「自業自得」と思っている。
話は戻り、ファンタジー世界(次からはファルマート世界と記入)の頂点に立っている専制国家の帝国。人間至上主義者の集まりであり、そしてファルマート世界で多くの国を相手に戦争を仕掛けている典型的なまでの侵略国家だ。そして日本に対して宣戦布告もなしに突然と先端を開いた侵略国家が相手ならこちらにも大義名分がたつ。そんな侵略国家が相手なら考慮も必要ないため、タロウからすれば銀河連邦軍のデモンストレーション場にはもってこいの場所だった。
「韓国でだいぶやりましたけどまだやるのですか?」
「こういうのは見せ場が多いほうがいいだろ。それに帝国の圧政に苦しんでいる国はいっぱいあるから俺達が帝国を滅ぼしても問題はない」
「ファルマート世界は帝国という抑止力がなくなり覇権をめぐって戦国時代になりますよ。それに、そんな状況になれば日本もファルマート世界に対する利権を失ってしまいます。そのあたりをどうするつもりですか?」
「ああ、それはな……」
俺に秘策ありといったキザな表情でタロウは語る。サキは再度呆れた表情になってため息を吐いてタロウに呟く。
「司令官。貴方はここまで問題児でしたか?私は貴方を仕事のさぼり癖はありますが、基本的に温厚な司令官だったと認識していましたが」
「こんな厄介ごとを押し付けられたら誰だってこうなりますよーだ!」
陽気な口調でサキに返すタロウ。タロウは日本政府はおろか、世界各国が予想もしない異世界の情報を入手して、その異世界を銀河世界の地上兵器の実験場にするという良識のある人間からすれば考えられない行動を起こそうとしていた。
だが、タロウは異世界の侵略者に対してに同情も哀れみも感じていない。地上兵器の的という認識しかなかった。このような思考は非情と思われるが、だが、これがタロウ・ヤマダの本質である。日常や通常勤務であれば温厚でオタク志向な無害な人間だが、非常時であり、相手が自分に対して敵対行動をとったと認識した場合は非情なまでに冷淡になれる。それが、第56艦隊司令官であるそそタロウ・ヤマダなのだ。
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