おぢばにおかえり
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76部分:第十二話 制服その二
第十二話 制服その二
「かえってね。まあうちの女の子の制服って下がズボンだと」
「そう、絶対に似合わないわよね」
「試しにスカートじゃなくてズボン佩いてみたことある?」
流石にそれはないですけれど。何かこう考えただけで駄目なのがわかります。ベストとあとリボンじゃなくてネクタイだとどうかわかりませんけれど。
「ないわ」
「そうでしょうね。やっぱり似合わないから」
「セーラー服なら別にいいんだけれどね」
私はここでふと天理中学校の女の子の制服を思い出しました。天理中学では女の子の制服はセーラー服なんです。ネクタイが白の。
「ブレザー、っていうかうちの制服のブレザーには」
「どう考えても似合わないわよねえ」
「だからそれは駄目よね」
「そういうことね」
そう話をします。
「けれどあれね」
それから彼女はまた言いました。
「何気に真面目な制服よね」
「そうよね、高校のも中学のも」
「あまり真面目過ぎて堅苦しいかしら」
彼女はこう言って笑います。
「それに何よりも」
「先輩のチェック?」
「そうそう、それそれ」
何かこの台詞後でテレビで聴くような。そんな感じがしました。
「それもあるじゃない。寮だと」
「東寮ってそういうの凄く厳しいしね」
「ちっちの部屋もでしょ?」
「私の部屋も?」
「そうじゃないの?」
どうも私の部屋は先輩達がかなり厳しいって思われているようです。それを感じました。
「だって長池先輩じゃない」
「よく言われるけれど先輩って優しいわよ」
「全然そうは思えないんだけれど」
これもよく言われます。長池先輩に関しては。
「顔も雰囲気も怖いし。実際怒ると凄く怖いんでしょ?」
「全然怖くはないわよ」
そしてそれを私が否定するのもいつものことです。
「凄く優しい人だけれど。怒らないし」
「本当?」
「ええ、本当」
私はそれを保障します。
「全然よ。かなりよくしてもらってるわよ」
「そうなの」
「そうよ。何か長池先輩ってかなり誤解されているみたいね」
「奇麗な人だけれどね」
これは皆言います。確かに先輩って奇麗ですから。
「制服も似合うし」
「そうよね」
これも当たっています。先輩の制服姿って女の私から見てもかなりいけています。
「先輩の制服姿ってねえ」
「いいっていうか」
「私実は参考にしているのよ」
こう彼女に言います。
「先輩の制服の着方」
「着方?」
「だから着こなし。それをね」
「参考にしているの」
「まず先輩の制服の着方って真面目じゃない」
そもそも真面目に着るのが制服ですけれどその中でも先輩の着方って凄く真面目なんです。全てが折り目正しい着方なんです。
「それを見てね。やっているのよ」
「ふうん、そうだったんだ」
「その真面目さがかなりいい感じになっているし」
「きりってした感じね」
言葉で言い表すとそうなると思います。それが先輩の奇麗さをさらに際立たせています。何か美人の人ってそういうところが本当に得だと思います。
「そうね。先輩ってどっちかっていうとあれじゃない」
「クールビューティー?」
「そうそう、それそれ」
今度はこの言葉を私が言いました。
「だから真面目に着こなしているのが似合うのよ」
「何か本当に羨ましいわ」
これは私も心から思うことです。
「それって」
「先輩ってねえ。垂れ目だけれどね」
「そうよね」
実は長池先輩はそっちの方の目をしておられます。私も垂れ目なのが少しコンプレックスになっているのでそれが何か共感あったりします。もっとも先輩は背は普通ですしスタイルもかなりいいんでそれは私とは全然違うんですけれど。何気に私結構自分の容姿にはコンプレックスがあります。小さいですし胸もあれですし。
「それでクールビューティーってあまりないわよね」
「どっちかっていうとその奇麗さってね」
私もこれはわかります。
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