転生とらぶる
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ペルソナ3
2015話
「やっぱり制御剤……か」
「うむ」
チドリを辰巳記念病院に運び終わり、2時間程の検査を終えると、チドリが意識を失っている原因がはっきりとした。
荒垣という前例があったらからこそ、その辺りが判明するのも早い。
……まぁ、2時間の検査が早いと言うかどうかは、それこそその人次第といったとことなのだが。
ともあれ、元から制御剤の副作用の疑いがあり、ペルソナを暴走させる危険性があった以上、もしペルソナが召喚された時に対応出来る俺達がこうして検査が終わるまで待つのは当然だった。
チドリに想いを抱いている順平の場合は、そういうのがなくてもここで待っていただろうが。
そんな訳で、現在俺達はチドリが眠っている病室の中に集まっていた。
今のところは薬でチドリもぐっすりと眠っているので、すぐにペルソナの暴走が起きる可能性はないが、それでも念の為という訳で、こうしてチドリの病室の中にいる訳だ。
病室にいるのは、俺、ゆかり、順平、美鶴、荒垣の5人。
俺とゆかり、順平の3人はチドリと一緒に辰巳記念病院までやってきた流れからそのまま、美鶴は桐条グループ側の責任者として、そして荒垣は制御剤の関係で情報を持っているから。
そんな訳で、こうして5人が集まった訳だが……
「制御剤……なら、アクセル! 荒垣先輩を助けた時みたいに!」
勢い込んで俺に言ってくる順平。
その気持ちは分かる。実際に、制御剤の副作用で苦しんでいた荒垣が、俺の持っているイクシールで大幅に改善し、完治……と呼ぶにはまだちょっと難しいが、それでもそこまでの治療に成功したのだから。
だが……それは、俺が荒垣にイクシールを使ったのは、あくまでも荒垣だからだ。
俺とパーティを組み、戦力となってタルタロスを攻略していくメンバーだったからこそ。
ましてや、イクシールは異世界の……ネギま世界においても非常に稀少なマジックアイテムで、それこそ簡単に入手出来るような代物ではない。
「順平、俺とお前は友達だ。そうだな?」
「は? いや、いきなり何を……まぁ、そうだけど」
ストレートに友達だと言われた事が、若干恥ずかしかったのだろう。
ともあれ、順平は俺の言葉にチドリの方を見ながらも、頷いてくる。
「だが……友達だからといって、何でも出来るって訳じゃない」
「ちょっ……ちょっと待てよ。それ、一体どういう事だ!?」
数秒前の照れた表情はどこにいったのか、話の流れを理解した順平が、慌てたように視線をこっちに向けて叫ぶ。
「落ち着け、ゆっくり眠っているチドリを起こす事になるぞ」
「ぐっ……いや、けど、どういう事だよ。荒垣先輩を助けた時みたいに、マジックアイテムを……」
「荒垣を助ける時に使ったイクシールというマジックアイテムは非常に高価な代物だ。それこそ、この世……いや、ここでは金で買うのすら難しい程にな」
危なく、この世界と言おうとしたのを咄嗟に誤魔化し、言葉を続ける。
「荒垣の場合は、今はお前達と行動を共にしているが、当時は俺達のパーティの中でも貴重な戦力だった。だからこそイクシールを使ったし……それでも、荒垣は俺に対して払いきれない大きな借りを作った。そうだな?」
「ふん」
荒垣に視線を向けると、不機嫌そうに鼻を鳴らす。
この荒垣の態度は、別に俺に借りを作ったというのを十分に理解しているからこその態度だ。
いわゆる、ツンデレって奴だな。……違うか?
「さて、順平。お前は友人だからという理由だけで、数億……場合によっては兆の単位に届く金があっても買えるかどうか分からないマジックアイテムを使えと、それも恐らくはタカヤの仲間だろう女にそれを使えと、そう言うのか?」
「それは……けど!」
「1兆円を今この場で用意して、俺に払え。……そう言われて、はいそうですかと頷けるか?」
ぐっ、と。
順平は黙り込む。
俺も自分で無茶を言ってるのは分かっている。
だが、実際に順平が俺に要求しているのは、それに似たような事だというのも、間違いないはない。
「……まぁ、それでも……どうしてもイクシールを使って欲しいと言うのなら、使ってもいい」
「本当かっ!?
一度断った後だっただけに、順平が俺を見る視線には強い希望の色がある。
そんな順平に対して頷きを返し……だが、と続けた。
「だが、イクシールをチドリに使った場合、順平とチドリの2人は俺に返しきれない程の借りを作る事になる。それを、どう返す?」
その言葉で、再び順平は言葉に詰まる。
数億、数兆円という金額に等しい借り。
それをどう返すのかと言われ、そう簡単に順平が答えられる筈もない。
結局のところ、順平は普通の高校生でしかないのだから、それも当然だろう。
これが数十万……数百万円くらいであれば、まだ現実味もあったのだろうが、億や兆ともなれば、それに現実味を覚えろという方が無理だ。
……もっとも、タルタロスがあって、俺のようにスライムを使えるのであれば、そのくらい稼ぐのも何とかなるだろうが。
実際、タルタロスの中で見つかるマジックアイテムの中には、金持ちであれば数千万は平気で出すような代物も多い。
問題なのは、順平の能力でそんなお宝の眠っている宝箱を入手出来るかどうか……といったところか。
「それは……いや、けど絶対に何とかして返す。だから、頼む! 荒垣先輩に使った魔法薬を俺に譲ってくれ!」
「別に、魔法薬に拘らなくても、今のこの病院と桐条グループの技術力があれば、どうにか出来るかもしれないぞ? そうすれば、無駄に俺に大きな……それこそ、下手をすれば一生掛かっても返せないような借りを作らなくても済む」
そもそも、イクシールを荒垣に使った俺が言うのもなんだが、魔法薬はあくまでも他の世界の魔法薬だ。
それがこの世界の住人に対して悪影響を与えるという可能性は、ない訳でもない。
勿論、今までの経験から考えると、そんな心配はしなくてもいいだろうと思えるのは間違いないが。
「けど、この病院や桐条グループの治療だと、どれくらいで治るかは分からないんだろ? そして、アクセルの持っている魔法薬なら、チドリは一瞬で治る。……違うか?」
「それは違わない」
そう、結局この病院の施設や桐条グループの技術があっても、すぐにその辺りが治るかと言われれば、それに頷く事は出来ないのだ。
それに比べて、俺の持っているイクシールであれば、即座に治療する事が可能だ。
空間倉庫の中から、イクシールを取り出す。
もしかして、こうして簡単に取り出してるから、高価だと言われてもある程度使えるんじゃないかと勘違いしてたりするのか?
実際には、もしネギま世界の人間……魔法を知ってる奴がイクシールを見れば、驚愕で動きを止めるといったことすら起こりかねない代物なんだが。
「これがイクシールだ。……最後にもう1度だけ確認するぞ? これを使えば、順平は俺に対して大きな……それこそ普通の人間なら返すのはまず無理だと言いたくなるくらいの、大きな借りを作る。その借りを返す為には、それこそ俺が人を殺せと言えばそれに従うくらいの事はする必要すら出てくるかもしれない。それこそ、1人2人じゃなくて、100人、1000人……場合によってはそれ以上。それだけの覚悟を持って、それでもお前はこのイクシールを欲するか? ちなみに言っておくが、もしイクシールを使ってチドリが回復して、その上でいざって時……俺が命じた時にそれに従えない場合、相応の罰を受けて貰う」
そう言い、視線をチドリに向ける。
俺の言う相応の罰というのが、何を意味しているのか……それは、こうまであからさまな様子を見せれば、順平にもすぐに理解出来ただろう。
そう、もし順平がいざという時に俺の命令に従わなかった場合、チドリはその命を失う、と。
チドリが具体的にどれだけの力を持つのか、それは分からない。
タカヤの仲間だということを考えれば、間違いなくペルソナ使いではあるのだろうが。
だが……正直なところ、もしチドリがゆかりに匹敵するだけのペルソナ使いだとしても、俺が本気になれば容易に殺せるという確信があった。
いや、わざわざ俺がどうにかしなくても、それこそ刈り取る者でも召喚してしまえばどうとでもなる。
「本当にそこまでの覚悟があるのであれば……イクシールを使ってもいい。どうする?」
そんな俺の様子に、ゆかりと美鶴は何か言いたそうにしていたが、結局言葉には出来ない。
美鶴はイクシールがそれだけの効果を持つ、非常に稀少な魔法薬であるというのを知っているし、ゆかりにいたっては、俺が別の世界からやって来た……つまり、イクシールの正確な価値を美鶴よりも知っているというのが大きい。
……まぁ、実際には俺が順平にそこまで非道な命令をする訳がないと思っているかもしれないが。
実際には、もし本当に何かそういう必要性があれば、非道な命令を順平に命じる可能性は十分にあるのだが。
数秒……いや、数十秒か? とにかく、それだけの時間、順平は考え込み……やがて、俺の方に視線を向け、覚悟を決めた目で口を開く。
「頼む。この借りは何としてでも、どうやってでも返す。だから、その魔法薬を譲ってくれ」
「分かった。……ゆっくり飲ませろ。くれぐれも、無理に飲ませようとして落としたり、こぼしたりといった真似はするなよ。順平に譲るのはこれ1つだけだからな」
緊張した顔で順平が頷き、俺の渡したイクシールを手に取る。
そうして、意識がないチドリの口にイクシールを飲ませ……幸い、という言い方はどうかと思うが、とにかくチドリはイクシールをこぼしたりといった真似をしないまま、無事に飲む事に成功する。
そうしてイクシールを全て飲ませ……順平は緊張した表情のままでチドリを見守る。
いや、チドリをそのような視線で見てるのは、順平だけではない。この病室の中にいる全員が、じっとチドリの様子を眺めていた。
だが、数分が経過してもチドリが目を覚ます様子がないのを見て、順平は俺の方に視線を向け、不審を露わに口を開く。
「……おい、アクセル。これはどれくらいで効果が……」
「順平?」
効果が出る? そう言おうとした順平の言葉を遮るように、目を覚ましたチドリの声が病室の中に響く。
その声を聞いた瞬間、順平の動きは見事なまでに固まった。
そして数秒……ギギギと、まるで壊れた人形のような歪な動きで順平はベッドの上に顔を向ける。
そんな順平の視線に入ってきたのは、眠ったまま目を開いているチドリの姿。
他にも何人かいるのに、順平しか目に入っていない辺り、この2人は何気に良好な関係を築いているのだろう。
勿論、本人がそれを認めるかどうかは分からないが。
「チドリ……ちょっ、おい、チドリ! お前、大丈夫なのかよ!?」
「……大丈夫? 何が?」
「いや、だって、お前……」
そう言ってる順平の目からは、涙が零れている。
折角の再会……いや、目覚めか? ともあれ、苦難を乗り越えてきた2人の恋人――多分だが――の再会なんだから、ここは邪魔をしない方がいいだろう。
そう思いながら美鶴に視線を向けると、そんな俺の視線に美鶴も気が付いたのか、小さく頷きを返す。
ゆかりと荒垣の2人もそんな俺の判断に文句はないのか、取りあえず俺達4人はそっと病室の外に出る。
順平はチドリだけしか見えておらず、チドリの方も順平以外には興味がないのか、こっちに気が付きはしていたが、話し掛けてくる様子はなかった。
「さて、それでチドリが目を覚ました訳だが……出来れば早いところ順平やチドリから向こうの隠れ家がどこにあるのかを教えて貰って、一気に襲撃をしたいな。間違いなく幾月はそこにいるだろうし」
タカヤと一緒に行動しているのは、ほぼ間違いない。……どっちが主導権を握っていたのかといった事も、出来れば聞き出しておきたい。
この辺は、順平よりもタカヤの仲間だっただろうチドリの方が詳しい筈だ。
「アクセルの言いたい事も分かるけど、向こうが大人しく情報を話してくれると思う?」
「正直、難しそうな気がする。ただ、順平の方から話を通して貰えば何とかなるんじゃないか?」
「……どうだろうな」
俺の言葉に小さく疑問を口にしたのは、荒垣。
「何だ? 駄目だと思うのか?」
「多分、だけどな。……勿論、何か根拠がある訳じゃねえ。だが……それでも、何となく情報を口にするかどうかは、怪しいところだと思う」
不良の勘と言うべきか。
「その辺は、伊織に期待するしかないだろう。あの様子を見れば、伊織を通せば意外とあっさり情報提供をしてくれるように思うのだが……な」
そんな美鶴の言葉に俺も頷き、取りあえず順平が出てくるまでは4人で世間話をするのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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